フルミントは、世界三大貴腐ワインであるハンガリーのトカイワインの原料として有名です。
高級なデザートワインから辛口の食中酒まで、多彩なワインを生み出すポテンシャルこそがフルミントの魅力。
今回はそんなフルミントを使った白ワインについて、基礎知識から厳選おすすめワイン10選を紹介していきます!
フルミントとは?
フルミント種は白ワイン用ブドウ品種です。ハンガリーのトカイ地区で造られる、世界三大貴腐ワインの原料として有名です。
この品種は緑がかった黄色で、若いうちは酸味が強く、熟したリンゴの豊かな芳香があります。
世界三大貴腐ワインの原料であるフルミント
フルミントの知名度を高めたのはハンガリー・トカイ地方の貴腐ワインである「トカイワイン」です。
トカイ地方の自然条件が貴腐菌を発生させ、この奇跡のワインを造ることができます。一説によると、トカイ地方では1500年代からフルミントを使った極甘口のトカイワインを醸造してきたそうです。
このフルミントから造られるワインは、かのルイ14世から「ワインの王であり王のワイン」と賞賛されたほどでした。
辛口のワインも優秀
「トカイのフルミントワイン=極甘口」という印象が強いのですが、決して甘口ばかりではありません。
最近ではハンガリー国内のワイナリーにもフランスなど国外の醸造技術を取り入れる流れがおきており、フルミントを使った良質な辛口白ワインを醸造するワイナリーが増えています。
若々しく酸味のある、すっきりした辛口ワインが造られています。
フルミントの白ワインの選び方
フルミントの白ワインを選ぶなら、「味わい」「格付け」「予算」の3つの目安を参考にするのがおすすめです。
味わいで選ぶ
フルミントの白ワインは、まず味わい=甘口・辛口で選ぶのがシンプルでおすすめです。フルミントを使うワインといえば、貴腐化したフルミントで造る極甘口のデザートワイン。
特に世界中のワインマニアから絶賛されるトカイ地方産のデザートワインは、特別な人と過ごす大切な時間にゆっくり味わいたいですね。
もちろん良質の辛口ワインもお忘れなく。フルミントのドライは梨やライムの爽やかな香りが特徴で、食中酒として楽しむことができます。
格付けで選ぶ
フルミントを使ったワインの多くは、ハンガリー・トカイ地方で醸造されています。
日本国内で入手できるフルミントワインも、大半がトカイ地方のワイナリーが醸造したものです。
このトカイワインには、原料の配分を基準とする簡単な品質規格があります。フランスやイタリアのワインに見られるような厳密な格付けではありませんが、トカイワインを選ぶ際の目安にはなるので参考にしてください。
必ず押さえておきたいのが「プットニョシュ (puttonyos)」という言葉。これは136Lの大樽に入ったぶどうのうち、どれくらい貴腐ぶどうが使われているかを示す伝統的な用語です。「1プットニョシュ」につき約26キログラムの貴腐ブドウが使われています。
ただし、現在ではプットニョシュの意味は変化しており、貴腐ブドウの使用量ではなく、ワイン1リットルあたりの糖分の含有量を示しています。
トカイワインを選ぶ際はラベルに注目しましょう。「トカイ・アスー5プットニョシュ」などと記されています。プットニョシュの数値が大きいほど甘口のトカイワインとなり、糖度も値段も上がっていきます。
最上級トカイワイン「エッセンシア」
使用する貴腐ブドウの量が多いと、プットニュショの格付け数値(最大で6プットニュショ)ではカバーできないほど糖度の高いワインに仕上がることがあります。
そのような極甘口のトカイワインには「プットニョシュ」ではなく「トカイ・アスー・エッセンシア」という特別な呼び名がつけられます。3年の樽熟成、2年の瓶熟成、合計5年間の熟成を経ないと「トカイ・アスー・エッセンシア」を称することができません。
なお、トカイワインには「トカイ・アスー・エッセンシア」のさらに上をゆく「トカイ・エッセンシア」という特別な規格があります。
「トカイ・エッセンシア」は100%貴腐ブドウの果汁だけを自然発酵させたワインです。糖度が異常に高いため、酒というよりも薬として扱われてきた古い歴史があります。
「トカイ・エッセンシア」は醸造に大変なコストがかかるため、本場トカイ地方でも量産するワイナリーは存在しません。そのため「トカイ・エッセンシア」が市場に出回ると、マニアの間で100万円を超える高価格で取引されます。
予算で選ぶ
あらゆるワインがそうであるように、フルミントを使ったワインも、予算をかけるほど上等のボトルを買うことができます。
特に上述した格付けのうち、「5〜6プットニョシュ」や「トカイ・アスー・エッセンシア」など上位ランクのフルミントワインは、気軽に買えるような値段ではない分、貴腐化したフルミントが持つ濃厚な甘さと香りを存分に堪能できる特別なボトルです。
もちろんお手頃価格と品質を兼ね備えたボトルもあるので、予算に応じて個性豊かなフルミントワインを楽しんでくださいね。
フルミントのおすすめワイン10選
日常使いにおすすめ!予算2,000円ベスト5
5位
ヘッツオーロ「ビストロ」
1502年創業のヘッツオーロは、トカイ地方でも屈指の老舗メーカーです。
「ビストロ」は100%フルミントで醸造した辛口の白ワイン。原料となるフルミントはオーガニック栽培で、収穫も手摘みと、自然に逆らわない手法で大切に育てられています。シトラス系のフレッシュな香り、ミネラル感たっぷりの華やかな仕上がりが魅力です。
4位
高畠ワイナリー「まほろばの貴婦人」
フルミント種にオレンジマスカット種をブレンドしており、白バラを想起させる上品な香りにマスカットの甘いフレーバーが特徴です。
テイストはあくまで極甘口ですが、オレンジマスカットの柑橘系の酸味のおかげでバランスの良い仕上がりとなっています。文字通り「貴婦人」を思わせる柔らかな甘さと優雅な香りの調和が見事なデザートワインです。
3位
パトリシウス「カティンカ」
フルミント種46%に、シャルガ・ムシュコタイ種を29%、ゼータ種を25%ブレンドした、ハンガリーの固有品種にこだわったワインです。
パトリシウスのオーナーであるキケシー家は、1800年代からこの地でブドウ栽培とワイン造りにたずさわってきた名門。畑ごとの育成条件を尊重し、低収量の高品質ワインを生み出しています。
2位
シャトー・エラ 「トカイ・フルミント・セミスウィート」
フルミント100%の甘口ですが、ボディは決して重過ぎず、程よい甘みのコクが魅力です。
1位
シャトー・デレスラ「 トカイ・フルミント・ドライ」
古くはハンガリー国王がオーナーだったというシャトー・デレスラまさにハンガリーワインを代表する名門ワイナリーといってよいでしょう。
伝統的な農法を重視し、化学肥料の使用は最小限に抑えて造られ「トカイ・フルミント・ドライ」は、フルミント85%にシャルガ・ムシュコタイ15%をブレンドしたもの。
味わいは辛口ですが、トカイワイン特有の糖蜜のような甘さもさりげなく隠されていて、食中酒からデザートワインまで色々な使い方ができる便利な一本。値段も手頃でコスパが良く、2000円以下で気軽にフルミントを楽しむなら最適のワインです。
2,000円以下のフルミント比較表
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商品名 | シャトー・デレスラ「 トカイ・フルミント・ドライ」 | シャトー・エラ 「トカイ・フルミント・セミスウィート」 | パトリシウス「カティンカ」 | 高畠ワイナリー「まほろばの貴婦人」 | ヘッツオーロ「ビストロ」 |
詳細 | ハンガリー、辛口、シャトー・デレスラ | ハンガリー、やや甘口、シャトー エラ トカイ フルミント セミ スウィート | ハンガリー、極甘口/フルボディ、モトックス | 日本、甘口/ミディアムボディ、高畠ワイン | ハンガリー、辛口、エノテカ |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
週末や来客などがある日に2,000円以上ベスト5
5位
オレムス「トカイ・アス-・3プットニョシュ」
メーカーのオレムスは元々王家が所有しており、トカイワインの品質規格を表す「プットニョシュ」が銘打たれた逸品です。
「3プットニョシュ」は甘さのランクとしてはもっとも低いもの。そのため高級品ぞろいのトカイの貴腐ワインとしてはお手頃価格で手に入れることができます。
もちろん3プットニョシュに格付けされたトカイワインですので、持ち味である高貴な甘みも十分楽しめます。5,000円ほどで上等なトカイワインを味わえるなら文句なしです。
4位
シャトー・パジョス「トカイ・アスー・5プットニョシュ」
「エッセンシア」「アスー・エッセンシア」「6プットニョシュ」に続く格付け上位ランクのトカイワインです。
「トカイ・アスー・5プットニョシュ」の原料は100%フルミント。貴腐化したフルミントは糖蜜のようなねっとりとした甘さ、熟しきった花梨が放つ鼻腔にまとわりつくような甘美な香りを蓄えていますが、程よい酸味もわずかに残り、後味の切れもしっかりあるのが特徴です。
甘さだけだと物足りないという人には、このワインがおすすめですよ。
3位
セプシ「ウラジャ畑」
セプシのトカイワインは、伝統的手法に固執することなく、国外の醸造技術も積極的に採用するのが特徴です。
この「ウラジャ畑」は、セプシが手がけた現代的トカイワインの象徴です。それまで甘口一辺倒だったトカイワインにも「良質の辛口白ワインがある」と世界に認めさせたボトルといえるでしょう。
「噂のトカイワインにトライしてみたいけど、甘すぎるのは苦手かも・・・」という人にはぴったりのボトルです。
2位
シャトー・パジョス「トカイ・アスー・エッセンシア」
原料はフルミント60%、ハーシュレヴリュ30%、ミュシュコタリ10%。10ヘクタールのブドウ畑から収穫される貴腐ブドウ3トンを漬け込み、最終的に「トカイ・アスー・エッセンシア」としてボトル詰めされるのは、なんと1リットルのみ。
「ワインの王様、王様のワイン」の名にふさわしい希少な逸品です。親しい方の誕生日など特別な機会に使いたいですね。
1位
ドボゴ「トカイ・アスー 6プットニョシュ」
「2,000円以上のフルミント白ワイン」ランキング、映えある第1位は、ドボゴの造る「トカイ・アスー・ 6プットニョシュ」。その名のとおり、格付け「プットニョシュ」の中では最高ランクのボトルです。
ドボゴはハンガリーで国民的人気を誇るリキュール「ウニクム」の醸造で知られています。所有する畑はたったの5ヘクタールで、徹底的に品質にこだわったトカイワインを少量生産するメーカーです。
フランスの「ソーテルヌ」、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」とならぶ世界三大貴腐ワインのトカイワイン。その魅力を存分に、しかもお財布を気にすることなく味わいつくしたいなら、この価格帯がベストの選択だといえるでしょう。
2,000円以上のフルミント比較表
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商品名 | ドボゴ「トカイ・アスー 6プットニョシュ」 | シャトー・パジョス「トカイ・アスー・エッセンシア」 | セプシ「ウラジャ畑」 | シャトー・パジョス「トカイ・アスー・5プットニョシュ」 | オレムス「トカイ・アス-・3プットニョシュ」 |
詳細 | ハンガリー、極甘口、ドボゴトカイアスー 6 プットニョシュ | ハンガリー、極甘口、シャトー・パジョス | ハンガリー、辛口、szepsy | ハンガリー、甘口/フルボディ、株式会社トゥエンティーワンコミュニティ | ハンガリー、甘口、トカイ・オレムス |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
フルミントのまとめ
最上の高級デザートワインから気軽に飲める辛口の食中酒まで、フルミントの守備範囲の広さがおわかりいただけたでしょうか?
特に「最高のデザートワインを用意したい」と考えているなら、ぜひ一度はフルミントを使った格付け上位のトカイワインを手にしてください。
他の白ワイン品種も知りたい方はこちらをどうぞ。
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