シャトー ラトゥールをソムリエが解説!価格や当たり年、おすすめワインも紹介

2018/10/09
フランス

シャトー ラトゥールという言葉を聞いてことはあるけど、高級ワイン?ワインブランド?

というように、その意味を正確を把握していない方が多いのではないでしょうか。

今回はそんなシャトー ラトゥールについて、知っておくべき点を解説します。

記事の執筆者

林 英公子

日本ソムリエ協会認定ソムリエ

ワインテクニカル監修。 なぜか宅建資格もあり。 CF制作会社・情報出版・IT企業に勤務後、 長らく印刷媒体制作ディレクター。 Uターン後は、ちょっといいピノ・ノワールを飲みながら 大音量で好きな音楽を聴ければ、ほどほどに幸せ。 真昼っから数十本のワインをテイスティングする修羅場も経験。

 

シャトー ラトゥールとは

ボルドー地方は、フランスだけではなく世界を代表するワイン産地のひとつであり、その地位に揺るぎはありません。

このボルドーの地に1級に格付けされた世界屈指のプレミアムワイン「五大シャトー」が存在します。

「シャトー ラトゥール」はその中のひとつ。

1級の中で当初からこの級だったのは、シャトー ラフィット ロートシルト・シャトー マルゴーとこのシャトー ラトゥールだけ。

五大シャトーの中でもその完璧な品質絶対主義は孤高の存在で、荘厳ささえ漂わせています。

いつの時代も常にワインの最高峰に君臨し続ける至高のワイン、それがシャトー ラトゥールです。

そもそも五大シャトーとは

フランスワイン産業の国際的振興を意図し、ナポレオン3世が世界各国のワインファンにフランスワインのある程度の基準を示そうとしたことが誕生のきっかけです。

このナポレオン3世の要請を受け、1855年に行われたパリ万国博覧会の際、ボルドー市商工会議所がメドック地区の60銘柄の格付けを作成しました。

1級には当初の3銘柄にシャトー オー ブリオンが加わり、1973年に1855年当時2級だったシャトー ムートン ロートシルトが昇格、ここにフランスが世界に誇る五大シャトー時代が幕を開けたのです。

シャトー ラトゥールの存在意義

シャトー ラトゥールは五大シャトーの中でもいくつかの面で特別で、孤高の存在と称されるワインです。

ボルドーワインでは、瓶詰め前の熟成中のヴィンテージが「プリムール」として一部先行販売されます。

しかし、シャトー ラトゥールは、このプリムール販売から2012年に撤退。飲み頃に入ったもの以外一切リリースせず、プリムール販売とは一線を画しているのです。

経営面から考えれば決まった時期に一斉販売すれば収入が確保でき、健全なキャッシュフローが形成できます。

シャトー ラトゥールが何よりも大切にしているのはキャッシュフローではなく品質。

絶対的品質だけが全て。それこそがシャトー ラトゥールの本質であり、孤高の存在と呼ばれる由縁なのです。

シャトー ラトゥールの歴史

現在のエチケット(ワインのラベルをこう呼びます)に描かれた塔の原型は、14世紀後半には存在していたようです。

15世紀に要塞として建てられた現在の塔は、今日も変わらずブドウ畑を見守り続けています。

ラトゥールのワインは、16世紀には当時のフランスを代表する哲学者モンテーニュのエッセイに登場。

17世紀には後に名門シャトーを多く所有するセギュール家がオーナーとなり、18世紀に入るとその評価を確固たるものにしていきます。

メドックの格付けとシャトー ラトゥール

名門にふさわしい歴史を重ね、1855年パリ万博のメドックの格付けで堂々第1級の一つに選出、世界に向けてその地位を確立したのです。

シャトー ラトゥールの特徴

このシャトーのワインの最大の特徴は重厚なタンニンです。その重厚さは、男性的で頑強、剛健とも形容されます。

豊かなタンニンが醸し出す濃厚な味わいの力強さは、他の追随をなかなか許さない領域に達し、長期熟成を経てはじめて飲み頃を迎えると言われています。

その歴史と評価に溺れることなく、品質に対する姿勢はとても謙虚。

2000年にも設備投資を行い、醸造施設・貯蔵施設を最新のものに一新しました。

シャトー ラトゥールのブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド。ブドウの平均樹齢は約40年です。

最近ではオーガニック肥料の採用、減農薬栽培、有機農法なども積極的に取り入れています。

シャトー ラトゥールの味わい

五大シャトーの中で最も長期熟成に向いていると言われています。

重厚なタンニンと濃厚な果実味が奏でる筋肉質な味わい。真価は20年以上熟成された時に発揮されると言われています。

熟成を経たワインのタンニンは丸みを帯び、果実味は芳醇さを増し、シャトー ラトゥールは本来の姿を見せるのです。

シャトー ラトゥールと当たり年

ワインの当たり年を「ビッグヴィンテージ」「グレートヴィンテージ」と呼びます。

ネットに多くのヴィンテージチャートが公開されています。興味がある方は、確認してみるのも良いでしょう。

シャトー ラトゥールが位置するボルドー左岸の赤のグレートヴィンテージは、最近では2009年、2010年、2015年です。

グレートヴィンテージのワインは元々価格が高騰しがちです。さらにシャトー ラトゥールは、各ヴィンテージが飲み頃になるまでワインをリリースしません。

ボルドーでは定番のプリムール販売からも撤退しています。高騰・品薄は避けられないワインです。

世界中のワイン愛好家にその存在感を見せつけるシャトー ラトゥール。

その名に恥じない仕上がりにならない限りリリースはされませんから、たとえ「当たり年」以外のワインでも、その品質に妥協などは見当たりません。

セカンドラベルとサードラベル

多くのプレミアムワインには「セカンドラベル」が存在します。

洋服で言えば「ジョルジオ・アルマーニ」と「エンポリオ・アルマーニ」の関係に近い感じです。

ブドウ樹齢・ブドウ選果・醸造過程など、ブドウ栽培とワイン生産過程で何らかの事情で1級を名乗らせるのは難しいとされたワイン。

このワインが「セカンドラベル」としてリリースされます。

シャー ラトゥールの場合、セカンドラベルは「レ・フォール・ド・ラトゥール」。

シャトー ラトゥールに比較してメルローの割合が多く、果実味を感じる味わいです。

サードラベルはポイヤック・ド・ラトゥール。

樹齢の若いブドウ樹や、ファースト・セカンドワイン用に造られたが何らかの理由で格下げされたワインなどが使用されています。

サードラベルとは言え、そこはシャトー ラトゥールファミリー。シャトー ラトゥールの片鱗を十分に感じられる仕上がりです。

セカンドラベル・サードラベルの存在によって、シャトー ラトゥールの孤高のクオリティは益々確固たるものになります。

消費者の側から見れば、比較的安価にシャトー ラトゥールに近い味わいを堪能できることになりますから、双方にメリットがあります。

宮中晩餐会とシャトー ラトゥール

フランスでは元首は共和国大統領。要人を迎えた際は大統領公邸であるエリゼ宮殿で大統領主催の晩餐会が催されます。

この際の食事メニュー・ワインメニューは、相手国との友好状況や相手国への敬意、これからの付き合い方を考慮して決められます。さすが美食とワインの国、フランスです。

ワインはフランスが威信をかけて守るべき文化であり重大な輸出品ですから、ワインメニュー作成の際の複雑な判断基準は、他国の元首主催晩餐会の比ではありません。

この時のワインメニューの赤がシャトーラトゥールであった場合、フランスは国家として最大限の敬意を示していると言われています。

下世話な言い方をすると、晩餐会に供されたワインで相手をどの程度と見定めているか判断できるのです。

アメリカ大統領でも無理?

フランスが国家として最大限の敬意を評する根拠は国力だけではありません。相手国の歴史と品格、友好関係の状況、あらゆるファクターが判断材料です。

フランスが最大限のおもてなしをするのは王室・皇室のトップ、次に皇太子クラス、続いて大統領・首相クラス。

実際にシャトー ラトゥールが供されたのは、英国エリザベス女王と日本の天皇陛下。チャールズ皇太子夫妻では供されていません。

エリザベス女王と天皇陛下が特別な国賓としてもてなされている証です。

シャトー ラトゥールの魅力

品質絶対主義にこだわる孤高の存在、シャトー ラトゥール。

重厚なタンニンと濃厚な果実味は、長期熟成を経て初めてその真価が発揮されると言われています。

フランス大統領主催の晩餐会でも、最高の賓客の場合のみにオンリストとなるフランス国家が誇るワインです。

供された実績があるのは英国王室エリザベス女王、日本国天皇とわずかな方たち。

もし口にする機会に恵まれたなら、あなたは世界最高峰のフルボディを口にし、世界を代表するVIPの気分が味わえることでしょう。

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