ドイツの南に位置するバーデンは、フランスのアルザスやロワールなどと同じ気候地区にあるワイン生産地です。
ブドウ栽培やワイン醸造に適している温暖な気候と、複雑かつ多種多様な個性を持つ土壌に恵まれているために、実にバラエティー豊かな白ワインを産出しています。
今回は、ドイツワインの中でも特に奥深いとされるバーデン地方の白ワインについて、基本情報や特徴などのほか、ぜひ味わっていただきたいバーデン産の白ワインを10本ほど厳選し、ご紹介いたします。
目次
バーデンとは
バーデンは、タウバーフランケンからボーデンゼーまでおよそ400kmほど南北に長く広がっている地方です。
それぞれの地区ごとに石灰質や火山性土壌など異なる性質の土壌を有しているため、生み出される白ワインは地区ごとの個性が表れやすくなっています。
バーデンの白ワインの特徴
9つの地区から成るバーデンでは、実に多彩な白ワインを産出していますが、バーデン地方らしい特徴をよく表しているのが、オルテナウとマルクグレーフラーラントの2地区から造られる白ワインです。
オルテナウの白ワインは、辛口が多めなバーデンの中では甘く、フルーティーなものが多く、特にリースリングはまるでハチミツを思わせるような濃厚な香りと、リンゴを思わせる豊かな果実味を見せます。
マルクグレーフラーラントはその逆で、グラウブルグンダーやグートエーデル(シャスラ)で造るトロッケン(辛口)が多く、マイルドな酸味で飲みやすいものが多いです。
また、カイザーシュトールも優れた栽培地として有名で、火山性土壌特有の石灰質が、力強くミネラル感のある白ワインを生み出します。
そのほか、タウバーフランケンは、1803年までフランケン地方に属していた影響もあり、フランケンの白ワインに似た、力強く骨太なリースリングやミュラー・トゥルガウを産出しています。
バーデンの白ワインの選び方
品種で選ぶ
バーデンは温暖で、年間日照時間もおよそ1,700時間とブドウの成熟に充分な日光量があり、ミネラル豊富な水はけのよい土壌から、『ブルグンダーの国』と呼ばれるほど、ブドウ栽培に適した土地です。
グラウブルグンダーやヴァイスブルグンダーのほか、エレガントな味わいを生み出すリースリングや、酸味が少なめなミュラー・トゥルガウなども栽培され、それぞれの持ち味と、土地の個性を活かしたワインがバーデンから産出されています。
ミュラー・トゥルガウ
ミュラー・トゥルガウはリースリングとシャスラ・ド・クルティリエールを交配して作られた、ドイツ生まれの白ワイン品種です。
バーデンでは主にボーデンゼーで栽培され、華やかで爽快感のあるアロマと、青リンゴやマスカットなどを思わせる、フレッシュで溌剌とした風味、そして穏やかな酸と果実味が心地よく、口当たりの良いワインに仕上がります。
ヴァイスブルグンダー
ヴァイスブルグンダーとは、ドイツでのピノ・ブランのシノニム(別名)で、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)の変異種として主に白ワイン用品種として使われています。
バーデンのヴァイスブルグンダーは、若いうちはフローラルで軽快な酸味なのですが、熟成するごとに、パイナップルなどを思わせる南国風の香りや、パンやナッツ、りんごなどの香りを生み出し、キリっとした酸味の、力強いワインに仕上がります。
グラウブルグンダー
グラウブルグンダーは、ピノ・グリのシノニムで、果実味豊かでコクのある味わいが特徴です。
ドイツでは、辛口で造られたものは『グラウブルグンダー』と呼び、甘口で造られたものは『ルーレンダー』と呼びます。
バーデン特有の複雑で栄養豊かな土壌の影響もあり、実にたくましいミネラル感と、骨太でコクのある、力強い味わいが実に魅力的です。
リースリング
世界中で広く栽培され、白ワイン用品種として使われるリースリングも、バーデンの白ワインを造るうえで欠かせないブドウの一つです。
特にオルテナウで造られるリースリングは、りんごのようにフルーティーな飲み口と、花を思わせるフローラルな香りは実に上品で、酸が少なめなのが特徴的。それでいて力強く、コクのある味わいを楽しめます。
価格で選ぶ
バーデンの白ワインの値段は3,000円~10,000円とお求めやすい価格のものが多く、ベルンハルト・フーバー氏といった名醸造家が手掛けるワインでも3,000円以下で入手することが可能です。
バラエティー豊かなバーデンの白ワインを試してみたいという人は、まずは3,000円未満のものから探してみるのをオススメします。
さらにバーデンの白ワインの魅力を堪能したいという場合は、5,000~10,000円ほど予算を用意すれば、よりハイクオリティーのワインを入手することが可能です。
バーデンのおすすめ白ワイン10選
地区によってバラエティー豊かな顔を見せるバーデンの白ワインの中でも、特にオススメしたいものを10本厳選してみました。
バーデンの白ワインに興味のある人は、ぜひ参考にしてみてください。
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第5位
シュロス・シュタウフェンベルク ソーヴィニヨン / ヴァイングート・マルクグラフ・フォン・バーデン
味わい:辛口
原材料:ソーヴィニヨン・ブラン
こちらのワインは、ドイツでは珍しいソーヴィニヨン・ブラン種を用いていて、グレープフルーツやレモン、ライムなどを思わせるシトラス系のアロマがフレッシュで爽快な印象を与えます。
その味わいは実にエレガントで、オルテナウ地区特有の凝縮された果実味と落ち着いた酸味に土壌由来のミネラル感が合わさり、リッチな飲み心地を楽しめる1本です。
第4位
アッフェンターラー・リースリングQ.b.A
原材料:リースリング
まるでボトルを抱え込むような、猿のモチーフが印象的なこちらのワインは、12世紀に地元の修道女が醸造した『アヴェ・マリアのウェアイン』を由来とした、伝統ある1本です。
一口含めば、リースリング特有のハチミツやレモンのような上品なアロマが口中に広がり、ほのかな甘みと穏やかな酸が実に心地よく、まろやかな飲み口が実に魅力的。辛口の白ワインが苦手な人でもおいしく味わえます。
第3位
トラウトワイン グラウアーブルグンダー Q.b.A. トロッケン
味わい:辛口
原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ)
こちらのワインは所謂『ビオディナミ』で、化学肥料や除草剤・殺虫剤などを一切用いず、有機栽培に天体の運行などを取り入れた、きわめて自然な農法によって栽培されたブドウのみを使用しています。
華やかなアロマが実に上品で、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)の持ち味を活かしたコクのある味わいと凝縮された果実味、そしてミネラル感と、ボリューム感抜群の飲み心地です。
第2位
フランツ・ケラー グラウブルグンダー・オーバーベルゲナー・バスガイゲ・エアステ・ラーゲ
味わい:辛口
原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ)
フランツ・ケラーが手掛けるグラウブルグンダー(ピノ・グリ)は、力強さと深いコクとともに、表現力豊かで洗練された味わいを楽しめます。
グラスに注ぐと、まず目に映るのが淡く、緑がかった輝くようなレモンイエロー。そこから漂うリンゴや洋ナシ、シトラス系などのフルーティーな香りとスパイシーな香りやナッツ香が合わさったアロマは、実にスモーキーで豊かです。
その味わいも実にリッチで、白桃や洋ナシを思わせる、瑞々しくも豊かな果実味が口中に広がり、まろやかな酸味ながらもしっかりとしたコクとミネラル感があり、充実感のある余韻を与えてくれます。
第1位
フーバー ミュラートゥルガウ Q.b.A. トロッケン
味わい:辛口
原材料:ミュラー・トゥルガウ
世界的に有名なワイン醸造所『ベルンハルト・フーバー』が手掛けるミュラー・トゥルガウは、『軽く、フルーティー』という一般的なイメージを覆すほど、表現力が豊かな1本です。
ミュラー・トゥルガウ特有のフレッシュ感と果実味を最大限まで活かし、かつブライスガウ地区特有の石灰質の土壌由来のミネラル感があり、スッキリとした味わいながらも、奥行きを感じさせます。
軽快さとリッチな飲み心地を両立した味わいは、和食・洋食問わずマッチし、特に素材感を活かした料理との相性は抜群。デイリーワインとしてはもちろんのこと、仲間内のパーティーにオススメできる1本です。
3,000円以下のバーデン白ワイン比較表
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商品名 | フーバー ミュラートゥルガウ Q.b.A. トロッケン | フランツ・ケラー グラウブルグンダー・オーバーベルゲナー・バスガイゲ・エアステ・ラーゲ | トラウトワイン グラウアーブルグンダー Q.b.A. トロッケン | アッフェンターラー・リースリングQ.b.A | シュロス・シュタウフェンベルク ソーヴィニヨン / ヴァイングート・マルクグラフ・フォン・バーデン |
詳細 | アルコール度数:12% 味わい:辛口 原材料:ミュラー・トゥルガウ | アルコール度数:13% 味わい:辛口 原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ) | アルコール度数:12% 味わい:辛口 原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ) | 味わい:やや甘口 原材料:リースリング | アルコール度数:10.5% 味わい:辛口 原材料:ソーヴィニヨン・ブラン |
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来客用やちょっとしたご褒美に!3,000円~10,000円ベスト5
第5位
ベッツィンガー ヴァイサーブルグンダー アイスヴァイン バリック
味わい:極甘口
原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)
ベッツィンガー醸造所は、バーデン地方で3本の指に入るほどの実力を持つワイナリーで、その上質さからヨーロッパはもちろん、日本でも高評価を得ています。
そのベッツィンガーが手掛けるこちらのアイスワインは、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)の魅力を活かして造られていて、エレガントでスパイシーなアロマと、果実味あふれる豊かな甘みは、まさしく甘露と呼ぶべき味わいです。
第4位
[マルターラー] ヴァイサーブルグンダー & フライザマー Q.b.A. トロッケン
味わい:辛口
原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)フライザマー
フーバー氏の生み出すトロッケンは、パワフルでいてエレガントな味わいが魅力的。こちらのワインもまた、フーバー氏の誠実な人格がうかがえるような、端正で力強い味わいを見せてくれます。
ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)のほかに、バーデンで少量栽培されているフライザマーを加えることで、厚みのある果実味に、エレガントな風味を与えています。
若いうちはややクセがあるものの、熟成するごとにバニラやアーモンドといった香ばしく芳醇な香りが増していき、濃厚で力強い味わいに変化していきます。また、酸味も実にキレイでバランスよく、初めてトロッケンを味わうという人でもおいしく味わえます。
第3位
ドッティンガー カステルベルク [GC] ヴァイサーブルグンダー シュペートレーゼ トロッケン
味わい:辛口
原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)
こちらのヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)は、醸造所最高品質のものだけに与えられる[GC]マークが付くほど、上質で充実感のある味わいを楽しめます。
熟成には100%バリック(新樽)を使用しているため、非常にドライな仕上がりです。
それでいて、樽特有の香りが華やかなアロマに馴染み、端正な酸と豊かな果実味が実に上品で、マルクグレーフラーラント地区特有のマイルドでふくよかな味わいを如実に表現しています。
第2位
ベルンハルト・フーバー リースリング & ミュラートゥルガウ Q.b.A. トロッケン
味わい:辛口
原材料:ミュラー・トゥルガウ、リースリング
こちらのワインは、リースリングとミュラー・トゥルガウをブレンドし、バリック(新樽)で熟成したドライな仕上がりが特徴です。それでいて、ふくよかで心地よい味わいは、まさにフーバー氏らしい仕上がりと言えます。
リースリングの上品さとミュラー・トゥルガウの豊かな果実味がバランスよく合わさり、キレのある辛口ながらも口当たりよく、しっかりとしたコクと充実した飲み心地を堪能できる1本です。
第1位
フランツ・ケラー グラウブルグンダー・シュロスベルク グローセス・ゲヴェックス
味わい:辛口
原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ)
こちらのグラウブルグンダーは、カイザーシュトール地区の豊かな土壌と恵まれた天候によって育まれたブドウだけを使用した、上質な味わいのワインです。
グラウブルグンダー(ピノ・グリ)特有のパイナップルやマンゴーなどのトロピカルフルーツを思わせる芳香に、ハーブやナッツ類を思わせる香りが合わさり、実に豊かなアロマを堪能できます。
一口味わえば、確かなコクとギュッと凝縮された果実味があふれ、複雑で端正な酸味とバーデン地方らしい洗練された味わいが口の中で優雅に広がります。
3,000円~10,000円のバーデン白ワイン比較表
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商品名 | フランツ・ケラー グラウブルグンダー・シュロスベルク グローセス・ゲヴェックス | ベルンハルト・フーバー リースリング & ミュラートゥルガウ Q.b.A. トロッケン | ドッティンガー カステルベルク [GC] ヴァイサーブルグンダー シュペートレーゼ トロッケン | [マルターラー] ヴァイサーブルグンダー & フライザマー Q.b.A. トロッケン | ベッツィンガー ヴァイサーブルグンダー アイスヴァイン バリック |
詳細 | アルコール度数:13% 味わい:辛口 原材料:グラウブルグンダー(ピノ・グリ) | アルコール度数:11.5% 味わい:辛口 原材料:ミュラー・トゥルガウ、リースリング | アルコール度数:13.9% 味わい:辛口 原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン) | アルコール度数:13% 味わい:辛口 原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)フライザマー | アルコール度数:8.5% 味わい:極甘口 原材料:ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン) |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
バーデンの白ワインまとめ
ドイツ南部にあるバーデンは、温暖な気候を始め、成熟するのに充分な日照、雨量、豊かな土壌と、ワイン醸造に非常に恵まれています。
また、地区ごとの土地の個性によって、実に複雑で多種多様な白ワインを楽しめるのも、バーデンの魅力と言えます。
もし、今回の記事でバーデンの白ワインに興味を引かれましたなら、今回ご紹介しましたものをきっかけに、自分好みのものを探しだしてみてください。きっと充実したひと時を過ごすことができます。
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