「魚料理には白ワイン」と一般的には言われています。
しかし白ワインと言っても様々なタイプがありますし、さらには赤やスパークリングだってお魚に合うものがあるんです!
今回は魚とワインの相性の決め手となるポイントと、魚料理にぴったりなワインをいくつかご紹介します。
選び方のポイント
ワインは「マリアージュ(結婚)」という表現があるほど、食材との組み合わせによってワインの味わいが大きく変わってくる奥が深いお酒です。
マリアージュとは料理とワインの相性が絶妙に調和した状態を指します。ワインと料理がお互いを引き立て合うバランスがとても大事になります。料理だけ主張しても、ワインだけ個性的でも美味しく食事はできません。
それに産地や味付け、季節、飲むシーンによって選ぶワインも変わってきます。そう言うとなんだかワインを選ぶのは難しいように思えてきましたね。いえいえ、ちょっとしたことを知っているだけでワインのチョイスはぐっと簡単になるのです。
では実際にどのように選んだらいいのか、見てみましょう。
素材とワインの産地を合わせる!?
料理に使われている素材に合わせて選ぶのもコツの一つです。
地方料理にはその地方のワインがとても合います。
例えばフランスのブルゴーニュ地方の郷土料理「エスカルゴの塩焼き」は同じくブルゴーニュの白ワインと合わせて楽しむのが定番です。
ブルゴーニュは貝殻の化石が多く残る土壌でぶどうが育つためミネラル分が豊富です。ですのでブルゴーニュ産の白ワインは土壌のミネラルが貝類とマッチして良い組み合わせとなるのです。
また、エスカルゴはパセリやニンニクなどを練りこんだバターと共にオーブンで焼かれます。パセリは白ワインのハーブの香りと共通します。それに、バターの香りは樽熟成したワインの香りと共通しますので、樽熟成した白ワインと合わせるのもいいでしょう。
料理の色とワインの色を合わせるのが鉄板!?
料理の色に合わせてワインを選ぶのもハズレが少ない方法です。素材の色に合わせる、またはソースの色に合わせるなどバリエーションがあります。
素材に合わせるとするとお肉でもお魚でも基準は一緒になります。赤身のものはしっかりとした味わい、白身のものはさっぱりとした味わいのワインを選ぶと大きく間違えることはないでしょう。
ソースなどの味付けに合わせる場合、トマトソースのような赤やデミグラスソースのような茶色のソースがかかっていれば、同じような色合いなので赤ワインが合います。ホワイトソースや塩で味付けされた料理でしたら白ワインを選びます。
また、色の濃淡でも細かくワインを合わせることが出来ます。
クリーム煮のような濃い白色なら、ふくよかでコクのある白ワインが合うでしょう。オリーブオイルを使った料理では淡いイエローグリーンの色をしていますので、酸味のある軽やかな白ワインがおすすめです。
火を通した魚にはしっかりめのワイン
一般的に生で食べるよりは火を通したほうが重い料理になります。
酸味のきいたフレッシュで軽いタイプのワインより、料理に合わせて少ししっかりめのワインを合わせるのがポイントです。
赤身魚なら軽めの赤ワイン
まぐろやカツオなどの赤身魚は褐色の身で脂が乗っており、濃厚で旨味が強く皮が厚いのが特徴です。脂肪分が白身魚より多く、加熱すると、赤身魚は硬くなりやすい傾向があります。
脂がのっていることや、鉄分があり旨味がしっかりしているのでロゼやフレッシュな軽めの赤ワインなどと合わせるのがおすすめです。
白身魚なら酸味の少ない白ワイン
白身魚は赤身魚とは違って脂肪の量が少なく低カロリーで、味が淡白なのが特徴です。
基本的に魚臭さも少なく、脂肪は少ないがタンパク質が豊富です。
魚の味自体が淡白なのでソースなどの味付けがポイントとなってきます。クリーム煮のようなコクのある味付けですと酸味の少ないふくよかなタイプの白ワインがおすすめです。また、バターソテーですと樽の香りがあるタイプの白ワインも合うと思います。
貝や甲殻類なら海沿いのワイン
貝類にはヨード臭(海苔などの海草の香り)などの独特の風味があるので、海岸近くの石灰質を多く含んだ土壌から作られた磯のニュアンスを感じられるワインとの相性がいいです。
例えばフランスのプロヴァンス地方の郷土料理「ブイヤベース」は色合いが似ているプロヴァンスのロゼと相性がいいというように、同じ地域で選ぶのもポイントです。
また、ムール貝のワイン蒸しなど、白ワインで蒸す料理はもちろん白ワインが合いますし、焼き牡蠣のようにコクのある味わいですとシャンパーニュもおすすめです。
お刺身には軽めのワイン
「生ぐさくなる?! お魚と合わないワイン」でご紹介した通り、生のお魚とワインを合わせるときには注意が必要です。
鉄を感じにくいワインを選ぶか、料理方法でワインに合わせていくかがポイントとなります。
赤身魚なら軽めの赤ワイン
マグロのお刺身やカツオのたたきなどの赤身のお魚には、同じような色合いのロゼやフレッシュな軽めの赤ワインなどと合わせるのがおすすめです。
特にブルゴーニュのピノ・ノアールやボジョレーのガメイなどの軽く繊細な味わいの赤ワインがお刺身の繊細な和と調和しますので相性がいいです。
白身魚なら辛口の白ワイン
ヒラメのカルパッチョのようにオリーブオイルやハーブをつかった料理ですと、ハーブの香りが引き立つミネラル感がある辛口白ワインやシャンパンがおすすめです。
ワインが強いとお魚の味が隠れてしまうので、あまり重くない方が合います。
貝や甲殻類なら酸味のある白ワイン
「生牡蠣にシャブリ」というのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
レモンを絞った生牡蠣には同じように酸味のある辛口の白ワインであるシャブリがよく合うと言われています。
このように少し酸味のあるフレッシュな白ワインやキリっとしたスパークリングなどがおすすめです。
また、お刺身のエビなどは甘味とコクがあることからシャンパンがおすすめです。特に「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれるシャルドネ100%で造られるシャンパーニュがとてもよく合います。
お魚の種類別に紹介!おすすめのワイン6選
お魚の種類や調理法によって合うワインが違うということをご紹介してきました。
これからおすすめするワインを片手に、美味しいお料理と会話を楽しむ、なんていかがでしょう。
是非参考にしてみてください。
火を通した魚におすすめのワイン
赤身魚にコレ!
ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール
ボディー ミディアムボディ
原産国名 フランス
メーカー名 アサヒビール
果実 % ピノノワール
チェリーやプラムなどの赤い果実の香り、土のような香りも基調にあります。 フレッシュなラズベリーといきいきとした酸、そして程よいタンニンが調和しています。
万能で飲みやすいこのワインは、季節を問わず楽しめます。
繊細で軽やかな酸味のあるピノ・ノアールはマグロのソテーなどの赤身魚にぴったりです。
白身魚にはこれ!
バロン ド レスタック ボルドー ブラン
1,028円 (税込)
味わい 辛口
原産国名 フランス
メーカー名 サントリー
果実 % 白ブレンド
数々の受賞歴がある優秀な一品
ソーヴィニヨン・ブラン由来の柑橘系の爽やかな香りとすっきりした酸味、セミヨンならではの厚みが特徴です。6ヶ月以上熟成したオーク樽発酵によるバニラ香を感じる調和のとれた白ワインです。
口当たりは穏やかでコンパクトにまとまったイメージがあります。
樽の香りが白身魚のバターソテーやグリルなどと相性抜群です。
甲殻類にはコレ!
ミラヴァル コート ド プロヴァンス ロゼ
2,980円 (税込)
原産国名 フランス
メーカー名 ミラヴァル
果実 % グルナッシュ
ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー夫妻の超人気ワイナリー 「ミラヴァル」
プロヴァンス地方の中心にあり 畑では100%オーガニックを取り入れ、除草剤や殺虫剤など如何なる化学薬品も使用していません。
白い花や摘みたてのイチゴなどの繊細な香りでラズベリーやハーブの爽やかな味わいのロゼワインです。
同じプロヴァンス地方のブイヤベースに合わせて楽しみたいワインです。
お刺身におすすめのワイン
赤身魚にはこれ!
ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー
2,205円 (税込)
ボディー ライトボディ
原産国名 フランス
メーカー名 サントリー
世界中で愛される定番、ボジョレーの帝王
この華やかなボトルを見たことがある人は多いのではないでしょうか。
フランス・ボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワインのことを「ボジョレー ヌーヴォー」といい、解禁日となる毎年11月の第3木曜日には “旬を味わう、旬のワイン”として世界中で楽しまれています。
チェリーやいちごを思わせる香りとしなやかで丸みのあるフルーティな味わいが特徴です。
軽やかでフレッシュなのでまぐろのお刺身とよく合います。
白身魚にはコレ!
オイスターベイ マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン
2,450円 (税込)
味わい 辛口
原産国名 ニュージーランド
メーカー名 日本酒類販売
果実 % ソーヴィニヨンブラン
ニュージーランドの南島にあるマールボロ地区の冷涼な気候の中で栽培されたソーヴィニヨン・ブラン100%の白ワインです。
短期間のシュール・リー製法で造られているのでお刺身とも相性がいいです。
色合いは鮮やかに輝くレモンイエローで爽やかな柑橘系とフレッシュな果物の香りとキリッとした歯切れのよさが特徴です。フレッシュで爽やかながら、エレガントな余韻が魅力的です。
白身のカルパッチョやさっぱりとした和食に良く合います。
甲殻類にはコレ!
ウィリアム フェーブル シャブリ
2,396円 (税込)
原産国名 フランス
メーカー名 サントリー
果実 % シャルドネ
「生牡蠣にはシャブリ」の実力派白ワイン
フレッシュでミネラル感のある定番シャブリといえばウィリアム・フェーブルのシャブリです。
スタンダードなシャブリでありながら、しっかりとしたボディを備えており、シャブリ本来の魅力が充分に楽しめる白ワインです。
レモンやすだちなど、フレッシュでイキイキとした柑橘の香りが印象的です。はつらつとしており、柑橘のニュアンスとミネラル感がバランスよく全体に溶け込んでいます。滑らかで細やか、バランス良くナチュラルな美味しさが楽しめます。
これはNG!生臭くなるワインと魚の組み合わせ
鉄が原因だった?生ぐさくなる原因
お刺身やイクラなどの魚卵を食べた後、ワインを飲んだら生臭かったなんてことありますよね。
これはワインに含まれる「鉄イオン」が原因といわれています。鉄イオンと魚の脂質(特に過酸化脂質)が反応することで、独特な生臭さが生まれるのです。
ワインの中に鉄を感じるのは「ブドウ畑の土壌の成分」や「収穫から醸造段階までの金属製醸造装置との接触による混入」と言われています。
しかしワインの本場フランスやイタリアでも魚介類は豊富で、昔から当然のようにワインと一緒に楽しまれています。ヨーロッパなどでは生臭さを感じないのでしょうか。
レモンと油で解決!生臭さを消す食べ方
実は、生ぐささを消す鍵となるのが「脂」でした。脂分を何らかの形でプラスすることによって鉄分から発生する生臭みを消してくれるということが分かっています。また、レモンなどに含まれるクエン酸が鉄を包み込む効果があると研究結果が出ています。
確かにヨーロッパでは魚をバターソテーにしたり、生牡蠣もレモンを絞って食べるという文化があります。オリーブオイルもよく使いますね。
こうした調理法により生臭さを感じることなく魚介類とワインを合わせているのです。
鉄分を包みこんで解決!ワインの選び方
鉄分問題をどうするかというと、「シュール・リー」と呼ばれる製法で造られたワインや、シャンパーニュに代表される瓶内二次発酵で造られたワインなどを選ぶのがおすすめです。
シュール・リー製法で造られたワインは、澱(オリ)を抜かずに暫くワインと接触させておくことによって旨味を引き出す方法です。この澱が鉄を包み込むという働きをします。
また、瓶内二次発酵で造られたワインは澱と一緒に長時間熟成させられるので、その間に鉄が吸収されていきます。
このように鉄を感じにくいワインを選ぶか、料理方法でワインに合わせていくかがポイントとなります。
お魚に相性ぴったりのワイン まとめ
人の味覚は個人差がとても大きなものです。料理と合わせた時に「より美味しい」と感じることが何よりも大切だと思います。
いくつかご紹介したポイントを踏まえてワインを選んで、美味しく楽しく飲んでいただきたいです。
あなたの気に入ったワインを見つけてくださいね。
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