【ソムリエ監修】サン・テミリオンのワインの特徴は?産地、品種、格付け、有名銘柄を解説!

2019/04/20
ワインの基礎知識

ボルドー地方のサン・テミリオンは、高級赤ワインや、まろやかなタンニンと芳醇な味わいの白ワインを生産しています。

高級シャトーが造る熟成した赤ワインには、一度は飲んでみたい逸品がたくさんありますよ。

今回は、サン・テミリオンのワインの特徴や選び方、おすすめのワインをご紹介します。


記事の監修者

杉浦 直樹

J.S.A認定ソムリエ

歌舞伎役者として人間国宝 中村雀右衛門に師事。15年ほど主に歌舞伎座に舞台出演。 その後銀座のクラブマネージャーを経て、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。 現在は支配人兼ソムリエとして、ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒を専門としたフレンチレストランを経営する。

サンテミリオンのワインの特徴

サン・テミリオンのワインの特徴を、テロワール(土壌や気候などブドウが育つための環境)や使用品種から説明します。

複雑で変化に富んだテロワール

サン・テミリオンには、ローマ時代からワイン造りをしていたという古い歴史があります。1999年には、ワイン生産地として初めて世界遺産に登録されました。

人口2,800人ほどの小さな町で、畑は小さく、中小の約1,000にも及ぶシャトーが密集しています。

ボルドー全体が属する温暖な海洋性気候ながら、内陸にあるため大陸性の気候も合わせ持ちます。ドルドーニュ川により豊かな水に恵まれ、ブドウ栽培には適した環境です。

土壌は複雑で変化に富んでいます。コートと呼ばれる粘土石灰質の丘陵地帯と、グラーヴと呼ばれる砂利質の斜面があり、この2つの地域で良質のワインが生産されています。

メルロ主体の品種について

サン・テミリオンのワインの使用品種はメルロが主体で、補助的にカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなどがブレンドされています。

主要品種について見ていきましょう。

メルロ

ボルドー地方原産の品種です。

フランス国内で最も生産量が多い品種で、世界規模でも、カベルネ・ソーヴィニヨンに次ぐ2位の生産量を誇ります。

カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランとブレンドする、ボルドースタイルのワインに多く使用されますが、サン・テミリオン では単一品種でも多く用いられます。

熟した黒い果実の香りで、コーヒーやチョコレートのニュアンス。酸味やタンニンは控えめで、芳醇でまろやかな味わいのワインに仕上がります。

 

カベルネ・ソーヴィニヨン

ボルドー原産で、生産量が世界第一位の品種です。土壌への適応力が高く、病気や害虫などにも耐性が強いといった特徴があり、世界中の生産地で栽培されている品種です。

深みのある色合いとしっかりとしたタンニンで、酸味と渋味のバランスが抜群。コクのある長期熟成型のワインになります。

メルロやカベルネ・フランとブレンドされることも多い品種です。

 

カベルネ・フラン

ボルドーで古くから栽培されてきた品種です。

カベルネ・ソーヴィニヨンとは品種が異なるものの、形や栽培方法などがよく似ています。

ブルーベリーのようなアロマと清涼感のある香り。柔らかなタンニンでほどよい渋み、豊かな酸。まろやかなワインに仕上がります。

 

サン・テミリオンのワインの格付け

サン・テミリオンでは右岸地域で唯一、公式格付けを設けています。メドック地区の格付けから約100年後の1958年に法定されました。サン・テミリオンのブランドを育てようと、生産者が主導となって作られた独自の格付けです。

サン・テミリオンの格付けは、AOCサン・テミリオン・グラン・クリュの中から優良シャトーを選出し、「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」と「グラン・クリュ・クラッセ」の2つに分類されました。

さらにプルミエ・グラン・クリュ・クラッセはAとBにランクが分けられています。

  • プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(第一特別級A)
  • プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(第一特別級B)
  • グラン・クリュ・クラッセ(特別級)

このサン・テミリオンの格付けは約10年に一度見直されるというのが、他にはない特徴です。メドックやソーテルヌの格付けが1855年に制定されて以降、一度だけ改定されただけで変わらないのと比べて対照的。この見直しは生産者主導のため、トラブルも起きています。

2006年の見直しではいくつかのシャトーが格付けを外されましたが、落選したシャトーが基準の不公平を理由に提訴。最終的に改定格付けが取り消されるという事態になりました。

結局、改定前の格付けシャトーが再び格付けを認められ、改定で新しく選ばれたシャトーも認められるという措置がされています。

直近の2012年の見直しでは、第一特別級Aには従来からのシャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブランの2シャトーに加え、シャトー・アンジェリュス、シャトー・パヴィの2つが昇格。合わせて4つのシャトーとなっています。

土壌の異なる2つの地域サン・テミリオン

サン・テミリオンのブドウ産地は、ドルドーニュ川の右岸に広がります。その規模はおよそ5,500ヘクタールと広大で、中小のシャトーが密集しています。

土壌の異なる2つの地域で大きく分類され、ひとつは高台という意味のコート地区。こちらはメルロの栽培に適した粘土石灰質の土壌です。

第一特別級のほとんどのシャトーがこちらに属しています。もうひとつはグラーヴ地区で、カベルネ・フランがよく栽培されている砂利質の土壌です。

第一特別級の中ではシャトー・シュヴァル ブランがこちらに属しています。

サン・テミリオンのアペラシオンは、サン・テミリオンで栽培されたブドウのみで造られたワインが名乗れる「サン・テミリオン」と、サン・テミリオンよりもアルコール度数や収穫量などの規制がより厳しい「サン・テミリオン・グラン・クリュ」があります。

サン・テミリオンの有名なワイン銘柄

「サン・テミリオンといえばこのワイン!」というべき有名ワインをご紹介しましょう。

極上の味わい・シャトー シュヴァル ブラン

シャトー シュヴァル ブラン


シャトー・シュヴァル ブランは、サン・テミリオンの格付けの最上級であるプリミエ・グラン・クリュ・クラッセAを獲得しているシャトーです。

カベルネ・フラン58%にメルロを42%ブレンド。

シュヴァル ブランはカベルネ・フランが多く栽培されているグラーヴ地域にあり、カベルネ・フランの特徴であるリッチで完熟感のある強い粘性のテクスチュアーを生み出しています。

ビロードのようなタンニンとシルキーな舌触りで、エキゾチックな余韻が長く続くでしょう。飲み頃の期間が最も長いと言われるワインです。

若いうちから楽しむことができますが、年を追うごとにますます調和がとれ、風格を増していくでしょう。

 

コスパの高いシャトー・オーゾンヌ


シャトー・オーゾンヌは、シャトー・シュヴァル ブランと並んでサン・テミリオンの格付けの頂点に立つシャトーです。

年間生産量がわずか2万本と少ないため、入手するのは非常に困難なワイン。他の高級ワインに比較すると、希少な割には価格は安めで、世界中の愛好家から人気を得ています。

オーゾンヌの畑はメルローの栽培に適したコート地域の中でも、日当たりのいい斜面にあります。栽培されているのは、平均樹齢50~55年を誇るメルロとカベルネ・フラン。収量を低く抑え、ブドウが完熟するまで待って収穫しています。

奥深い色合いで、熟した黒い果実の香りと精妙なアロマ。熟した果実味と凝縮感に溢れた味わいです。濃密なタンニンはあまりにきめ細やかで、一見穏やかな印象さえ感じるでしょう。

シュヴァル ブランとはまったく異なるスタイルを持ち、ミネラル感をベースとした、凝縮感と力強さを備えたワインです。

特別な日にも、自分へのご褒美にゆっくり味わうにも、最高の1本になるでしょう。

サン・テミリオンまとめ

サン・テミリオンのワインについて、ご紹介しました。

カベルネ・ソーヴィニヨン主体の他のボルドーワイン等とはまた違った魅力が、サン・テミリオン。

メルローやカベルネ・フランが造りだす芳醇な香りとなめらかなタンニンの味わいは、新鮮な驚きを与えてくれるに違いありません。

おすすめのワインを参考に、素晴らしいサン・テミリオンをご堪能ください。

ボルドー地方の他の産地もを知りたい方はこちらもどうぞ。

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