みなさんはイタリア南部に位置するモリーゼ州のことを知っていますか? ブドウの栽培は盛んに行われているのですが、ピエモンテやトスカーナと比べて知名度が低く、日本で販売されているワインもそれほど多いとはいえません。 今回は、モリーゼ州のワインを飲んだことがないという方にも興味を持っていただけるよう、モリーゼ州で栽培されているブドウやワインの特徴を紹介します。
モリーゼのワインとは
モリーゼ州の隣のアブルッツォ州では、紀元前7世紀ごろからワインづくりが行われていたといわれています。
1970年にアブルッツォ州から分離したモリーゼ州でも、同様に古くからワイン生産が行われていた可能性が高いといえるでしょう。
現在もブドウの栽培が盛んに行われていますが、州の面積が小さいこともありワインの生産量は少なめで、格付けワインDOCの割合は0.3%程度。 しかし、モリーゼのワインは手頃な価格帯でありながらも、質のよいワインが多いといわれています。
モリーゼの赤ワインの選び方
品種で選ぶ
モリーゼ州では赤ワインの品種として、モンテプルチアーノを主力にアリアニコや土着品種であるティンティリアなどが栽培されています。
モンテプルチアーノ
モンテプルチアーノ種は、赤ワインの品種としてイタリアで2番目に多く栽培されており、アドリア海沿岸部のモリーゼ州やアブルッツォ州が産地として有名です。 モンテプルチアーノを使用した赤ワインは、豊かな果実味と強い香りを持ち、しっかりとしたボディでありながら、さっぱりとした味わいが特徴です。
アリアニコ
アリアニコは、イタリア南部で盛んに栽培されているギリシャ原産の黒ブドウ品種。 アリアニコはイタリア語で、ギリシャを意味する言葉です。 アリアニコを使用した赤ワインは、豊富に含まれるタンニンと強めの酸味によって力強いワインになります。
ティンティリア
ティンティリア種は、18世紀末にスペインから持ち込まれたといわれており、モリーゼ州では古くからこのブドウが栽培されていました。 1884年に書かれた文書には「ティンティリアは、モリーゼ州で最も栽培されているブドウの品種である」という記載もあることから、モリーゼのブドウの栽培の歴史を垣間見ることができます。 ティンティリアを使ったワインの特徴は、プルーンやチェリーのような香りと黒こしょうなどのスパイス、豊富なタンニンとのバランスが良いことです。
地区ごとで選ぶ
モリーゼには、イタリアワイン法によって格付けされたDOCが3つあります。
ビフェルノ
ビフェルノは、州の北東部のアドリア海に面した地域からモリーゼ州の州都カンパバッソ周辺まで含まれます。
沿岸部は比較的温暖ですが、標高の高いカンパバッソ周辺は昼夜の寒暖差が激しく、やや冷涼な気候です。
ビフェルノはモンテプルチアーノ種の栽培が盛んで、この品種を使用したワインは1983年にDOCに認定されました。 ビフェルノで作られる赤ワインは、酸味は弱めで凝縮された果実味とタンニンとのバランスがよく、しっかりとしたボディのものが多くなります。
モリーゼ
モリーゼは、州の中央部に位置するブドウの生産地です。 氷堆丘や石灰質の土壌が広がり、日当たりの良い丘陵地帯ではブドウの栽培が盛んに行われています。
気候の特徴は、冷涼で昼夜の寒暖差が激しいこと。 モリーゼでは、赤ワインの品種としてモンテプルチアーノやティンティリアの栽培が盛んに行われています。
モンテプルチアーノを使用したワインは1998年に、ティンティリアを使用したものは2011年にそれぞれDOCに認定されました。 モンテプルチアーノを使用した赤ワインは、ブドウの持つ果実の香りとほのかにタンニンを感じるしっかりとしたボディが特徴。 一方、ティンティリアを使用した赤ワインの特徴は、ブラックチェリーやドライフルーツのような果実味としっかりとしたタンニンのバランスがよいことです。
ペントロ・ディ・イセルニア
モリーゼ州第2の都市であるイセルニアは温暖な気候で、西部にある丘陵地帯は日当たりもよくブドウの栽培が盛ん。
1983年にDOCに認定され、モンテプルチアーノ(60〜70%)とサンジョヴェーゼ(45〜55%)をブレンドした赤ワインが造られています。
ペントロ・ディ・イセルニアの赤ワインは、隣接しているビフェルノのものと比較されることもありますが、ビフェルノのワインに比べ、酸味は強めでボディは控えめなワインとなります。
味わいで選ぶ
赤ワインの品種として多く栽培されているモンテプルチアーノやアリアニコ、ティンティリアを使用した赤ワインは、フルボディのものが多く販売されています。
これらのブドウは、含まれるタンニンの量が比較的多い品種。 タンニンが多く含まれるワインは、重厚感があるためフルボディのものが多いといわれています。
タンニンは、ブドウの皮や種子に含まれる渋味成分で、ポリフェノールの1つ。 ワインを熟成させることによって、渋味がマイルドになり、濃厚なワインを味わうことができます。
価格で選ぶ
モリーゼ州のワインは、地元で消費されることが多いため、なかなか手に入れにくいといえます。 しかし、高品質でありながら手頃な価格帯のものが多いため、見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。 日常使いのものをお探しであれば、2,000円未満の予算でも果実味とタンニンのバランスがよい赤ワインをみつけることができるでしょう。 来客用や自分のご褒美としてワインをお探しであれば、もう少し予算を上げることをおすすめします。
モリーゼのおすすめ赤ワイン10選
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日常使いにおすすめ!予算2,000円ベスト5
コスパのよいワインが多いモリーゼ。 2,000円未満の予算で購入できる、質のよいデイリーワインを5本紹介します。
5位
サンジョヴェーゼ テッレ デリ オシ 2015
原産国名 イタリア
メーカー名 Donguriano
果実 % サンジョヴェーゼ
ブドウを濃縮したような果実味と、スミレやベリーの香り、さらにタンニンとのバランスが取れた赤ワインです。 また、聖ゲオルギウスのドラゴン退治「サン ジョルジュ」をあしらったラベルは、高級感があり目を引きます。
4位
バカロ ロッソ モリーゼ リゼルヴァ 2011年
ボディー ミディアムボディ
原産国名 イタリア
果実 % モンテプルチアーノ
モンテプルチアーノを使用したこのワインは、2016年にベルリナー ワイン トロフィーとサクラ ワイン アワードで金賞を受賞しました。 明るめのルビー色は、熟成するとガーネットのような色へと変化します。 濃厚な味わいとなめらかな口あたりのバランスよく、フィニッシュは渋みを感じることができる赤ワイン。 肉のローストや、ジビエ料理によく合います。
3位
モリーゼ カベルネ ソーヴィニョン 2014
メーカー名 大榮産業
果実 % カベルネ・ソーヴィニョン100%
このワインの作り手サン・ツェーノは、気候や土壌を活かしたワイン造りを行っています。 有機肥料のみを与えたカベルネ・ソーヴィニヨンを使用して作られたこのワインは、力強いタンニンとスパイシーさが特徴です。 肉料理と一緒にどうぞ。
2位
ビフェルノ・ロッソ・リゼルヴァ カミッロ・デ・レッリス
原産国名 イタリア
メーカー名 I.E.I.
果実 % モンテプルチアーノ 65%、トレッビアーノ・トスカーノ 15%、アリアニコ 20%
モンテプルチアーノに、トレッビアーノとアリアニコをブレンドしたワイン。 ベリー系のジャムに似た果実味とペッパーのスパイス感があり、口当たりの良さが特徴的です。 主張しすぎないワインなので、肉料理をはじめ、さまざまな料理を引き立ててくれます。
1位
カピタニオ ロッソ・モリーゼ リぜルヴァ
ボディー フルボディ
原産国名 イタリア
メーカー名 三国ワイン
ドイツ上院とEU委員会に承認された組織が開催している国際ワインコンクール「ベルリン・ワイン・トロフィー2015」で金賞を受賞したワインです。 オーク樽で12ヶ月以上熟成させた後、さらにステンレスタンクで12ヶ月以上熟成させて造られます。 モンテプルチアーノが持つ豊かな香りと樽由来のスパイスのバランスがよく、余韻にはまろやかなタンニンが広がります。 ローストビーフや鶏肉料理などの肉料理との相性抜群です。 高品質ながら2000円未満で購入することができるため、デイリーワインとして申し分ないといえるでしょう。
2,000円以下のモリーゼ赤ワイン比較表
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商品名 | カピタニオ ロッソ・モリーゼ リぜルヴァ | ビフェルノ・ロッソ・リゼルヴァ カミッロ・デ・レッリス | モリーゼ カベルネ ソーヴィニョン 2014 | バカロ ロッソ モリーゼ リゼルヴァ 2011年 | サンジョヴェーゼ テッレ デリ オシ 2015 |
詳細 | アルコール度数 13 % ボディー フルボディ 原産国名 イタリア メーカー名 三国ワイン | ボディー フルボディ 原産国名 イタリア メーカー名 I.E.I. 果実 % モンテプルチアーノ 65%、トレッビアーノ・トスカーノ 15%、アリアニコ 20% | 原産国名 イタリア メーカー名 大榮産業 果実 % カベルネ・ソーヴィニョン100% | アルコール度数 13 % ボディー ミディアムボディ 原産国名 イタリア 果実 % モンテプルチアーノ | ボディー ミディアムボディ 原産国名 イタリア メーカー名 Donguriano 果実 % サンジョヴェーゼ |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
来客用や自分のご褒美に!2,000~5,000円ベスト5
高品質なワインを手頃な価格帯で手に入れることができるモリーゼのワインですが、予算を5,000円程度まで上げて、自分へのご褒美に最適なワインを見つけてみましょう。
5位
ガヴィオ 2015 カンティーネ デューヴァ
原産国名 イタリア
メーカー名 レストラン直営 『イタリア屋タニーチャ』
果実 % カベルネ・ソーヴィニヨン100%
このワインの作り手カンティーネ デューヴァが造るワインは、コスパのよさが評価されイタリアの豪華客船のワインリストにも採用されているほど。 このベリーの果実味と酸味のバランスが良く、しっかりとしたタンニンが余韻に残るワインです。 モリーゼ名物のカチョカヴァロにもよく合いますよ。
4位
アリアーニコ・コンタド・リゼルヴァ 2013
原産国名 イタリア
メーカー名 Donguriano
果実 % モスカート・レアーレ
このワインは、モリーゼ州で1番有名な生産者であるディ・マーヨ・ノランテが造っています。 深みのあるルビー色とスミレのような香りの中に、チョコレートのようなスパイスの香りを感じることができます。
3位
カタッボ ティンティリア・デル・モリーゼ 2013
ボディー フルボディ
原産国名 イタリア
果実 % ティンティリア 100%
このワインを作っているワイナリーのカタッポは、海に近い畑で栽培されたティンティリアを使用して赤ワインを造っています。 濃いルビー色としっかりとしたタンニンを味わうことができるフルボディの赤ワイン。 プラムやチェリーの果実味と、黒こしょうのようなスパイス感のバランスが絶妙です。 モリーゼ州の固有品種であるティンティリアで、大切な記念日をお祝いしてはいかがでしょうか。
2位
ネーラヴィーテ テッレサクレ イタリア モリーゼ
原産国名 イタリア
果実 % モンテプルチアーノ100%
このワインは、2006年に創業を開始したワイナリーのテッレサクレが手がけています。 新しいワイナリーですが、モリーゼ州のワイン造りの伝統を尊重しつつ、丁寧な選果と環境への配慮をし続けた結果、モリーゼ州における有力な作り手に成長しました。 ブラックベリージャムのような香りと、ブドウ由来の果実味が口の中に広がります。 チーズを使用したパスタや、赤身肉の料理と合わせるとよいでしょう。
1位
ドン ルイジ リセルヴァ
ボディー フルボディ
原産国名 イタリア
メーカー名 稲葉
果実 % 赤ブレンド
このワインを手がけるワイナリー ディ マーヨ ノランテが最も力を入れている一本で、イタリアで最もポピュラーなワインガイド誌「ガンベロ ロッソ ヴィーニ ディタリア2015」で最高賞の3グラスを受賞しました。 モンテプルチアーノの古樹から採れるブドウを使用したワインで、ブラックベリーのような香りと、ブラックペッパーを思わせるスパイス感。 穏やかな酸味と、シルキーな質感を持つタンニンとのバンスが絶妙です。 このワインに合う料理は、赤身肉のローストやデミグラスソースを使った料理です。 また、モリーゼ州特産のカチョカヴァロとの相性も良いといわれています。 記念日やおもてなし用に選んでみてはいかがでしょうか。
2,000円~5,000円のモリーの赤ワイン比較表
商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
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商品名 | ドン ルイジ リセルヴァ | ネーラヴィーテ テッレサクレ イタリア モリーゼ | カタッボ ティンティリア・デル・モリーゼ 2013 | アリアーニコ・コンタド・リゼルヴァ 2013 | ガヴィオ 2015 カンティーネ デューヴァ |
詳細 | アルコール度数 14 % ボディー フルボディ 原産国名 イタリア メーカー名 稲葉 果実 % 赤ブレンド | ボディー ミディアムボディ 原産国名 イタリア 果実 % モンテプルチアーノ100% | アルコール度数 14.5 % ボディー フルボディ 原産国名 イタリア 果実 % ティンティリア 100% | アルコール度数 13.5 % 原産国名 イタリア メーカー名 Donguriano 果実 % モスカート・レアーレ | ボディー フルボディ 原産国名 イタリア メーカー名 レストラン直営 『イタリア屋タニーチャ』 果実 % カベルネ・ソーヴィニヨン100% |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
モリーゼの赤ワインまとめ
今回は、日本ではあまり知られていないモリーゼ州の赤ワインを紹介しましたが、興味を持っていただけたでしょうか? これまで生産されるワインの多くは州内で消費されることが多く、なかなかお目にかかることができませんでしたが、徐々に州外での販売量が増加しつつあります。 ワインの産地としての知名度はまだ低めですが、高品質で手頃な価格帯のワインが揃っているため、ランキングを参考にモリーゼ州の赤ワインを手にとってみてはいかがでしょうか。
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