シチリアはワイン生産量世界一を誇るイタリアの中でも、トップを争うワイン生産地です。
地中海性の温暖な気候がブドウの栽培に適していることから、土着品種を中心にした飲みやすいワインが多く生産されています。
以前は樽で取引する安価なバルクワインが生産されていましたが、最近はテロワールを活かした個性溢れる高品質なワインが多く造られるようになり、人気を集めています。
今回はそんなシチリアのワインについて、特徴や生産地、品種など詳しく解説していきます。これだけは押さえておきたい有名ワインも取り上げました。
シチリアのワインの特徴
シチリアの特徴を、その歴史やテロワールを通してご紹介します。
長い歴史
シチリアのワインには、長い歴史があります。
シチリア島に最初にワインをもたらしたのは、古代ギリシャ人と言われています。
シチリアの恵まれた気候と豊かな土壌がワイン造りをシチリア島に根づかせ、ヨーロッパ全土に広がっていったのです。
紀元前7世紀の絵画や文献にはワイン造りが記されていて、シチリアでのワイン醸造の始まりは紀元前1300~1100年ごろと推測されていました。
しかし最近、それを覆すような発見がされています。
2017年にシチリアの洞窟から発掘された古代の陶器の中から、6000年前のワインの痕跡が見つかったというもの。
これまでの推測をはるかにさかのぼり、シチリアでのワイン醸造は紀元前4000年ごろから始まっていた可能性があるわけです。
恵まれたテロワール
シチリアはイタリアの西南端、地中海のほぼ中央にある島です。
州としてもイタリア最大の面積で、典型的な地中海性の温暖な気候。
夏は気温が高くなることもありますが、エトナ火山を筆頭にして標高が高いため比較的冷涼な畑が多く、多様性に富んでいます。
この恵まれた気候は、古くからブドウ栽培やワイン醸造が行われていたという事実を裏付けるものでしょう。
その長い歴史から土着品種が多く、今でも白ワイン品種のインツォリアやグリッロ、赤ワイン品種のネロ・ダーヴォラなどを中心としたワイン造りが行われています。
畑は火山性土壌や石灰質土壌が多く、酸とミネラルが豊富なワインが生み出されます。
シチリアのワイン産地
シチリアの代表的な生産地は、島の南東に位置するチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアと、ヨーロッパ最大の活火山エトナ山の麓にあるエトナ地域、そして島の西部に位置するマルサラです。
チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアは2005年にシチリア初のDOCGを受け、東西70kmにわたる範囲に適用されています。
主に石灰岩と粘土質の土壌で、夏は日差しが強く、雨の少ない地域です。
エトナ地域は近年ワイナリーの数が増え、世界的な評価を受ける高品質なワインを生み出している地域です。
標高が高く、昼間でも冷涼で1日の寒暖の差が激しいという気候や、樹齢100年を超えるブドウの古木があるなど、好条件が揃っている場所。これが質の高いワインが造られている理由と言えるでしょう。
島の西部にあるマルサラでは、世界的に有名な酒精強化ワイン「マルサラ」が生産されています。
酒精強化ワインとは、アルコールを加えて度数を高めたもの。
マルサラは船便による長期輸送で腐らないように、1773年、イギリス人商人により開発されました。
シチリアのワイン品種
シチリアのワイン品種は赤白とも、土着品種が主流です。
白ワインの品種
インツォリア
古代ギリシャからイタリアに伝わり、イタリア国内で広く栽培されている品種です。
日照りや乾燥に強く、栽培しやすいという特徴があります。
マルサラの原料にしたり、他のワインにブレンドして使われたりすることが多かった品種ですが、近年はその個性が見直され、単一品種のワインが造られるようになりました。
その多くは軽い口当たりのデイリーワインになり、人気を呼んでいます。
グリッロ
シチリアの代表的な品種です。
マルサラの原料や、他の品種とブレンドして辛口のテーブルワインになることが多いものです。
香りが高く、酸味の強いさわやかな果実味のワインに仕上がります。
ジビッボ
ジビッボは別名をマスカット・アレキサンドリアといい、甘い香りのするマスカット系の品種です。
果実味豊かでスパイシーな香りがあり、甘みのある滑らかなワインになります。
赤ワインの品種
ネロ・ダーヴォラ
古くからシチリアで栽培されてきた土着品種で、今でもシチリア全土で栽培されています。
温暖で乾燥した気候でよく育ち、これまで安価なブレンドワイン用に栽培されてきました。
しかし近年では高品質なワインも造られ、高い評価を得ています。
非常に色が濃く、早飲みから長期熟成までさまざまなタイプのワインが造られていますが、とくに樽熟成に適していて、力強い高品質のワインができあがります。
ネレッロ・マスカレーゼ
北東部の活火山、エトナの代表的品種です。
フランス・ブルゴーニュ地方のピノ・ノワールに似た特徴を持ち、綺麗なルビー色をしています。
しっかりした酸と、フレッシュでピュアな果実味のあるワインになります。
エトナ山麓のミネラルが豊富な火山岩の土壌で育まれ、ミネラル感あふれる高品質なワインが造られています。
フラッパート
以前はネロ・ダーヴォラよりもポピュラーな存在だった品種です。
現在はネロ・ダーヴォラが人気の品種となりましたが、今でもヴィットーリア地区では根強い人気です。
透明感が強く、赤ワインとしてはやや淡い印象。
赤い果実系の魅力的なアロマで、ネロ・ダーヴォラの補助としてブレンドされることが多い品種です。
シチリアの有名なワイン銘柄
シチリアを代表する有名ワインをご紹介しましょう。
ヴァッレ デラカーテ チェラスオーロ ディ ヴィットーリア クラシコ
ヴァッレ デラカーテ チェラスオーロ ディ ヴィットーリア クラシコ
シチリア初のDOCG認定ワイン、チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアです。
ヴァッレ・デラカーテはヴィットーリアの中心地アカーテで、6世代にわたってワイン造りを続けています。
ネロ・ダーヴォラを主体に、フラッパートをブレンド。
ラグーザのフラッパートの特徴が生かされた味わいとなっています。
フラッパートは甘さを感じる心地よい香りがあり、濃厚なネロ・ダーヴォラにブレンドすることで軽やかな爽やかさを与えています。
ラズベリージャムのような凝縮した果実感と、スパイシーのニュアンス。しっかりしたタンニンと、ほのかな酸も感じられます。
ネロ・ダーヴォラの重厚なトーンがフラッパートのエレガントな特徴とバランスをとり、繊細さの中に力強さを感じる味わいです。
シチリアワインが初めての人は、ぜひこちらを味わってみてください。
タヴェルネッロ ビアンコ
タヴェルネッロ ビアンコ
イタリア最大の農業協同組合カヴィロ社が手がける、手軽なテーブルワインです。
タヴェルネッロはイタリア語で「小さな居酒屋」の意味。
その名の通り、イタリアで30年以上も愛されているブランドです。
フレッシュで白い花や柑橘系のイキイキとした香り。軽やかですっきりとした味わいです。
爽やかな果実味と心地良い酸味で、飽きのこない味わい。さっぱりとした後味があります。
カルパッチョやチーズに合わせてどうぞ。ピザやパスタにもよく合います。
コスパ抜群で、毎日のテーブルワインに最適。ソーダやフルーツを加えてカクテルにするのもおすすめです。
シチリアワインまとめ
シチリア のワインについて、ご紹介しました。
伝統的な酒精強化ワインや土着品種で造られた重厚なワイン、個性の異なるエトナワインなど、さまざまな味わいがあるシチリアワイン。
恵まれた気候と土壌がもたらした、品質の高いワインばかりです。
おすすめワインも参考に、個性豊かなシチリアワインをお試しください。
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