【ソムリエ監修】オーストリアのワインの特徴は?産地、品種、有名銘柄を解説!

2019/04/19
ワインの基礎知識

オーストリアのワイン生産量は世界全体の1%ほどと少ないですが、品質の高いワインが多く造られています。

とくに白ワインの生産が盛んで、世界中のワイン愛好家や専門家から高い評価を受けている高級ワインもたくさん。

赤ワインは生産量こそ少ないものの、固有品種のツヴァイゲルトで造られるワインなど良質で味わい深いワインが多く、見逃せません。

そこで今回はオーストリアのワインにスポットをあて、その特徴や産地、品種について詳しく掘り下げてみましょう。有名ワインやおすすめのワインもご紹介します!

記事の監修者

杉浦 直樹

J.S.A認定ソムリエ

歌舞伎役者として人間国宝 中村雀右衛門に師事。15年ほど主に歌舞伎座に舞台出演。 その後銀座のクラブマネージャーを経て、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。 現在は支配人兼ソムリエとして、ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒を専門としたフレンチレストランを経営する。

オーストリアのワインの特徴

オーストリアのワインの特徴を、いろいろな角度から見ていきましょう。

気候について

オーストリアではグリューナー・フェルトリーナーやツヴァイゲルトなど古くからの固有品種が多く栽培され、ブドウ栽培やワイン造りの歴史が長いことを物語っています。

オーストリア全体の気候は比較的寒冷で、降水量が少ないのが特徴。そのためブドウの生産地は気候条件が栽培に適した東部に集中し、4つの州でほとんどのワインが造られています。

また、寒暖の差が激しいことからよく熟した旨味のあるブドウが育ち、果実味溢れるワインが造り出されています。

幅広い味わいの白ワイン

オーストリアの寒冷な気候は白ワイン用の品種の栽培に適していて、生産量は全体の7割になります。その中でも中心的なのが、グリューナー・フェルトリーナーやヴェルシュリースリングという固有品種です。

これらはライトな辛口から長期熟成タイプ、貴腐ワインまで、幅広い味わいのワインを造りだしています。

同じ品種でも生産者や土壌により味わいは異なります。果実味豊かなものからミネラル感あふれるものまで、さまざまな個性を発揮。違いを楽しむことができます。

他にもリースリングやヴァイスブルグンダー(ピノ・ブランの別名)といった国際品種の栽培も盛んに行われ、軽快な辛口ワインや高級な貴腐ワインなどが造り出されています。

濃厚な味わいの赤ワイン

オーストリアの赤ワインは生産量が3割と少なめですが、良質な赤ワインが多いのが特徴。

固有品種のツヴァイゲルトやブラウフレンキッシュ、ピノ・ノワールの別名であるブラウアーブルグンダーを中心に栽培されています。

固有品種で造られるワインは軽やかな味わいのワインもありますが、長期熟成により複雑で濃厚な味わいのあるフルボディのワインが多く生産されています。

ナチュラルワインの先進国

オーストリアのブドウ栽培はオーガニック率が20%と、世界最高水準にあります。

有機農法やビオディナミ農法などを積極的に取り入れ、ナチュラルワインの先進国と言われるほど。

無農薬・無化学肥料の有機栽培に取り組んだり、保存料の亜硫酸塩を抑えたりなどが行われていますが、さらに一歩進んでいるのがビオディナミ農法です。

オーストリアの学者、ルドルフ・シュタイナーが提唱した理論に影響を受けた農法で、化学的、人工的なものを排除して、自然の力を最大限に引き出すことを重視。土壌や植物だけでなく、天体の動きも反映した栽培方法です。

オーストリアのワインの産地

オーストリアは全体的に寒暖差の激しい冷涼な気候で、降水量が少なく乾燥しています。

そのため生産地は気候条件がブドウ栽培に適した東部に集中し、ニーダーエスタライヒ州、ウィーン州、ブルゲンラント州、シュタイヤーマルク州の4州でほとんどのワインが生産されています。

ニーダーエスタライヒ州はオーストリアワイン最大の生産地。全体の約6割を占めます。オーストリアの東端で、気候の違いで3つに分けられた8つの生産地があります。

次に生産量が多いのはブルゲンラント州で、オーストリアの赤ワインの半分はこの地域で造られています。4つの生産地があり、中でもノイジードラーゼー湖に発生する霧を利用して国内最高級の貴腐ワインを造る、ノイジードラーゼー・ヒューゲルラントが有名です。

シュタイヤーマルク州は全体のワイン生産量は少ないものの、白ワインの生産が多い産地。オーストリアの南部にあり地中海性気候の影響を受けるため、比較的温暖です。3つの生産地があります。

ウィーン州はオーストリアの首都ですが、首都でワインが作られているのは世界でも唯一です。ワイナリーが経営するワイン酒場のホイリゲや、さまざまなブドウ品種を混醸したゲミシュターサッツで有名な産地です。

各産地ごとに気候や土壌にははっきりとした差異があり、それぞれに個性的なワインが作り出されています。

オーストリアのワイン品種

オーストリアのワインに使われている品種について、説明していきましょう。

白ワインの品種

グリューナー・フェルトリーナー

 

栽培面積がオーストリア全体の30%以上を占める、オーストリアワインの主要品種です。

ウィーンで毎年11月に解禁される新酒の原料に使われるのが、このグリューナー・フェルトリーナーです。

トロピカルフルーツのようなフレッシュな果実味と、スパイシーさも感じられるワインに仕上がります。

ヴェルシュリースリング

オーストリアでは2番目に多く栽培されている品種です。

酸が強くクセのない味わいで、口当たりの良い飲みやすい白ワインになります。

柑橘系の爽やかな香り。酸味のきいたスパークリングから最高級の貴腐ワインまで、幅広いスタイルのワインに仕上がります。

ヴァイスブルグンダー

ヴァイスブルグンダーはピノ・ブランの別名です。

ハーブや柑橘系の爽やかな香りがあり、適度な酸味と苦みを持ちます。

若飲みから長期熟成まで幅広く使われる品種で、貴腐ワインの原料にもなります。

リースリング

リースリングはドイツの代表的な品種ですが、オーストリアでも長い歴史があります。

キリッと際立つ酸と、柔らかな酸が特徴。長期熟成させた高級ワインも造られています。

赤ワインの品種

ツヴァイゲルト

ツヴァイゲルトは耐寒性のある品種で、オーストリアで最も多く栽培されています。

タンニンが強いのが特徴。若飲みから熟成させた力強い味わいのワインまで、幅広く造られています。

ブラウフレンキッシュ

ブラウフレンキッシュは2番目に多く栽培されている品種です。

若いうちは飲みにくく、長期熟成させることで骨格のしっかりした味わいの赤ワインになります。

ブラウアーブルグンダー

ブラウアーブルグンダーはピノ・ノワールの別名です。

栽培が難しい品種ですが、理想的な環境で生育したものは品質の高い上品なワインを造りだします。

また、長期熟成することで、エレガントで複雑味のある最高級のワインができあがります。

オーストリアの有名なワイン銘柄

「オーストリアワインといえばこれ!」という有名なワインをご紹介しましょう。

グリューナー・フェルトリナー ベートーベン 第9ラベル

グリューナー・フェルトリナー ベートーベン 第9ラベル


オーストリアの首都ウィーンで1683年設立された、由緒あるワイナリーです。

ベートーヴェンが住んでいた「ベートーヴェンハウス」が ワイナリーの敷地内にあり、観光名所としても有名。

ワインボトルのデザインもベートーヴェンの肖像画で、クラシックファンの人へプレゼントすれば喜ばれるでしょう。

芳醇な果実の香りに、ハーブやスパイスのニュアンスも感じられます。

グリューナー・フェルトリーナーの特徴がよく出た、バランスの良い辛口。長い余韻が続くでしょう。

 

クラッハー トロッケンベーレンアウスレーゼ

クラッハー トロッケンベーレンアウスレーゼ


1/4サイズのトロッケンベーレンアウスレーゼです。

10年後、20年後にようやく飲みごろになる貴腐ワインですが、 実際には早く空けてしまって本当の味がわからないままになることが多いもの。

それがもったいないと考えたクラッハーは、2005、2006、2007ヴィンテージをブレンドして、すぐに飲めるノン・ヴィンテージを造りました。

ヴェルシュリースリングを主体に、シャルドネをブレンドしています。

輝く琥珀色で、芳醇な香りと深い味わい。今すぐ本物の熟成した貴腐ワインを味わいたい人におすすめです。

ギフトパッケージ入りなので、贈り物にも最適。記念日やパーティーに添えれば、最高の演出になるでしょう。

 

マインクラング ブルゲンランド

マインクラング ブルゲンランド

マインクラングはビオディナミ農法を実践するワイナリーです。

ルドルフ・シュタイナー創立のビオディナミの協会が認証するデメテルを取得しています。

ツヴァイゲルト、ブラウフレンキッシュ、ザンクト・ラウレントをブレンド。

チェリーやカシスのようなフルーティな香りで、さわやかな酸味と柔らかな果実味が調和しています。

ナチュラルワインが、驚くほどリーズナブルな価格。この機会にぜひ、オーストリア先端のナチュラルワインをお試しください。

 

オーストリアのワインまとめ

オーストリアのワインについてご紹介しました。

辛口から貴腐ワインまでバラエティに富んだ白ワイン、テロワールごとに個性豊かな赤ワインと、その味わいはどれも特筆すべきものばかり。

手ごろな価格が多いので、ぜひ一度その素晴らしさを味わってみてください!

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