【ソムリエ解説】ボルドーのワインの特徴は?産地、品種、格付け、有名銘柄を解説!

2019/04/19
ワインの基礎知識

ボルドーワインが長きに渡りフランスワイン界をリードし、世界中のマーケットを魅了し続ける理由はどこにあるのでしょうか?

歴史、味わいの特徴、主要産地、主要品種など、徹底解剖してお伝えします。

「A.O.C.」、「格付け」といった用語も解説していきますので、これを機会にしっかり理解して楽しみながらワインの知識を増やしてくださいね。

記事の執筆者

林 英公子

日本ソムリエ協会認定ソムリエ

ワインテクニカル監修。 なぜか宅建資格もあり。 CF制作会社・情報出版・IT企業に勤務後、 長らく印刷媒体制作ディレクター。 Uターン後は、ちょっといいピノ・ノワールを飲みながら 大音量で好きな音楽を聴ければ、ほどほどに幸せ。 真昼っから数十本のワインをテイスティングする修羅場も経験。

なぜボルドーのワインは有名?

ボルドーワインが世界的な評価と知名度を獲得した根拠は、どこにあるのでしょうか?

品質と歴史

ボルドーワインの知名度の背景にあるのはその品質です。世界基準を満たすクオリティは、イギリス・オランダ・仏領植民地への輸出によって世界的な名声を築きあげてきました。

ボルドーワインの発展のきっかけは、12世紀に英国領となったことです。これを機に英国への交易が盛んになってワイン生産は大いに繁栄します。

 

たくみで魅力あふれるブランディング

品質を背景にしたブランディングのうまさもボルドーのすごいところです。国際マーケットで勝負をかけるために、後述する「格付け」を導入するなど、歴史に甘えない革新的な一面を持っています。

時代を超越したクオリティは歴史上の人物も次々に魅了します。ルイ15世の美しき愛妾ポンパドール夫人は、シャトー ラフィット ロートシルトを溺愛し、「ベルサイユのばら」にも登場するデュ・バリー夫人はシャトー マルゴーを愛好しました。

現在も、フランス大統領が主催するエリゼ宮の晩餐会では、賓客に対し「ここぞ」というときは、五大シャトー ・シャトー ラトゥールに代表されるボルドーワインが選ばれます。

このようなエピソードの数々も、ボルドーワインのブランディングを強固なものにしています。

ボルドーのワインの特徴

「ボルドーの赤ワインはフルボディ」くらいなら、ご存知の方は多いはず。それ以外の特徴も把握しておきましょう。

ブルゴーニュとの対比

フランスでボルドーと並ぶワイン銘醸地はブルゴーニュ。ボルドーの特徴はブルゴーニュとの対比でわかりやすくなります。

赤なら「ピノ・ノワール」、白なら「シャルドネ」と、一つの品種からワインを造るブルゴーニュとは対照的に、ボルドーでは複数のブドウ品種をブレンドしてワインを造ります。

また、ブルゴーニュは「フランスワインの王」、ボルドーは「フランスワインの女王」と形容されることは、ぜひ覚えておいてください。

濃厚なタンニンから構成される複雑な味わいが「女王」で、エレガントでしなやかなタンニンが特徴の味わいが「王」。日本的な感覚では逆のような気もしますから、間違えないようにしましょう。

A.O.C.ワインのリーダーとして

A.O.C.はフランス産ワイン・チーズ・バターなどに対して与えられる認証で、「原産地統制呼称」と訳されます。

産地・原材料・製造過程・品質評価の基準を満たす物のみに与えられる品質保証の一種です。商品選択の目安として良いでしょう。

ボルドーは、その知名度ゆえに大量生産された「偽ボルドー」対策としてA.O.C.制定を主導しました。また、現在もA.O.Cワイン産地としてはフランス最大の面積を誇ります。

また、エリアが狭くなるほど基本的に基準は厳しくなります。A.O.C.マルゴー>A.O.C.ボルドーです。お米で考えてみましょう。「新潟産コシヒカリ」より「魚沼産コシヒカリ」と限定された地域産の方がより細かく品質が把握できるのと同じです。

ボルドーワインの格付け

ショッピングサイトには「ボルドー格付け4級です!」といったコピーを良く見かけます。「格付け」を理解しておくと、ワイン選びに奥行きが出てきます。

メドックの格付け

1855年のパリ万国博覧会の際に、ナポレオン3世の要請を受け、ボルドー市商工会議所がメドック地区の第1級から第5級まで60の赤ワインの格付けを作成。

ワイン産業の国際的振興を意図し、本音の部分では偽ボルドーワインの駆逐も狙い、世界各国のワインファンにフランスワインの基準を示すために作られました。

第1級では当初の3銘柄シャトー ラフィット ロートシルト・シャトー ラトゥール・シャトー マルゴーにシャトー オー ブリオン(唯一メドック地区外)が加わり、1973年に1855年当時2級だったシャトー ムートン ロートシルトが昇格、ここに第1級、いわゆる「五大シャトー」が出そろいます。

以来、60+1の61シャトーの格付けは、シャトー ムートン ロートシルト以外は1855年当時のまま現在に至っています。

グラーヴの格付け

格付けが制定されたのは1953年。6年後に修正・補完されました。シャトー オー ブリオンはメドック・グラーヴ両方で選ばれている唯一のシャトー です。

格付けの16シャトー に等級はなく、赤のみ7シャトー、白のみ3シャトー、赤白両方が6シャトーとなっています。

クリュ・ブルジョワの格付け

グラーヴ・メドックの格付け外のシャトーが「クリュ・ブルジョワ」として格付け。省庁の認可を受けたものではなく、格付けとしては正直あまり使われていません。

ただし、メドック・グラーヴ両格付けに匹敵する品質のシャトー もあります。

サン・テミリオンの格付け

「生産者主導」の格付け。メドック地区の格付けは基本的に見直されませんが、サン・テミリオンの格付けは10年に1度見直されます。その柔軟性ゆえか、裁判沙汰等のトラブルが多い格付けです。

ボルドーのワインの産地

ボルドー地方の代表的な産地とワインの特徴をご紹介します。一口に「ボルドーワイン」と言っても地区・A.O.C.によって主要品種・味わいは違ってきます。この違いが少しでもわかるようになると、ボルドーワインは俄然楽しくなります。

ボルドーの代表産地と特徴

いくつかの代表的な地区・A.O.C.をできるだけ短い言葉で端的に紹介していきます。

ボルドーの象徴メドック地区

サン・テステーフ、ポイヤック、サン・ジュリアン、マルゴー、メドックと有名シャトーの所在するA.O.C.が多い地区です。グラーヴ地区とともに「ボルドーワイン」を象徴する地区です。

大御所が並ぶA.O.C.ポイヤック

ポイヤックには五大シャトーのうち3シャトーが位置し、しっかりとしたタンニンを持った濃密な味わいの長期熟成タイプのワインが造られます。この地区のワインは繊細でふくよか、エレガントさが信条です。

多くの格付けA.O.C.サン・ジュリアン

こちらのワインは、なめらかなタンニンと豊満さ・長期熟成能力が目を引きます。第2級から第4級まで11軒ものメドック格付けシャトーを擁し、どれも高い評価を獲得しています。

最も上流に位置するA.O.C.マルゴー

メドック地区では最も上流で最も広大です。かのシャトー マルゴーもこのエリアにあります。

白も魅力のグラーヴ地区

A.O.C.ペサック・レオニャンの赤は、しっかりとしたタンニンとどっしりとした骨格が特徴。白はソーヴィニヨン・ブランとセミヨンから造られ、複雑なアロマが魅力です。

A.O.C.グラーヴの赤はメルロ主体にカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。A.O.C.ペサック・レオニャンの赤より軽めです。白はセミヨン主体にソーヴィニヨン・ブランをブレンド。力強いながらも丸みのある味わいです。

個性が光るドルドーニュ川右岸エリア

メルロ主体サン・テミリオン地区

ドルドーニュ川右岸のリプルヌを中心としたエリアは、ローマ時代からの美しい街並みが広がる世界遺産の町サン・テミリオンを中心にA.O.C.が広がります。

鉄の酸化物を含む粘土石灰質土壌は保水性が高く、メルロ栽培に最適で、この地区のワインの主体はメルロです。

高額ワインが並ぶポムロール地区

小規模ながら国際的に高評価の産地です。中でもシャトー ペトリュス、シャトー ル・パンはあまりにも有名。 ちよっと下世話な話ですが、この二つのシャトーは「お高いボルドー」の代表格です。

シャトー ペトリュスはほぼメルロで、若干量のカベルネ・フランをブレンドする場合もあります。シャトー ル・パンはメルロ100%。

貴腐ワインのソーテルヌ・バルサック地区

ボルドー市の南東、ガロンヌ川左岸に位置します。二つの河川が合流する地点では水温の違いから秋には霧が発生。午後になると太陽の光が畑を温めます。

この気候条件の下「ボトリティス・シネレア菌」が発生。この菌の菌糸がブドウの果皮に穴を開け水分が蒸発します。ブドウは果実がしおれて果汁の中の成分が濃縮された「貴腐」と呼ばれる状態に。

この貴腐ブドウから造られるのが「貴腐ワイン」で、極甘口では世界最高クラスの品質と言われています。

A.O.C.ソーテルヌ・A.O.C.バルサック

貴腐ブドウのみから造られる貴腐ワインです。数あるワインの中でも群を抜いて長期熟成可能です。

ソーテルヌ・バルサック地区ワインは、1855年にメドックの赤ワインとともに格付けされています。制定以来一切の変動はなく、特別一級シャトー ディケムは昔も今も頂点に君臨します。

ボルドーのワイン品種

ブレンドでワインが造られるボルドー地方。品種に関して基本を抑えておきましょう。

赤ワイン品種

赤ワインのブドウ品種は5つです。

世界を代表する赤品種カベルネ・ソーヴィニヨン

ガロンヌ川やジロンド川左岸のように、温暖で乾燥した気候で水はけの良い砂利質土壌を中心に栽培されています。

メドック&グラーヴ地区でブレンドの主体となる品種で、ボルドーらしいしっかりとしたタンニンを形成します。ミントを感じる植物的でさわやかな香りが特徴です。

清涼感ある香りのカベルネ・フラン

ドルドーニュ川右岸エリアで多く栽培されています。比較的しっかりめのタンニンを持ちますが、カベルネ・ソーヴィニヨンよりは軽め。カベルネ・ソーヴィニヨン以上に清涼感のある植物を感じる香りが特徴です。

特に冷涼な年に収穫されたものは「ピーマン」を思わせる特徴的な香りを持ちます。

 

ニュートラルな魅力のメルロ

ボルドー全体で最も栽培面積の多い品種です。ボルドーの大半の土壌で栽培可能ですが、特に粘土質で湿気の多い土壌に向きます。

ドルドーニュ川右岸エリアのサン・テミリオン、ポムロールで造られる赤ワインの主要品種です。

豊富なタンニンのマルベック

色が濃く、濃い果実味と豊富なタンニンが特徴。フランス・南西地方カオールやアルゼンチンでは主役を張る品種ですが、ボルドー地方ではあくまでもブレンドの脇役です。

 

渋い脇役プティ・ヴェルド

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甘い芳香と酸味、しっかりとしたタンニンを持つ品種。その凝縮感とスパイシーさはボルドーワインの名バイプレイヤーです。

白ワイン品種

ボルドーの辛口白は、和食全般にとても合わせやすいワインです。

酸とミネラは刺身や寿司にしっかり寄り添ってくれます。さわやかなアロマは、山菜・サラダ・おひたしなどの野菜料理にもぴったりでしょう。

ボディのしっかりした熟成感のあるものなら、丁寧に取られた出汁の旨みを味わう料理から焼き魚・お肉料理まで、幅広い守備範囲です。

さわやかな香りソーヴィニヨン・ブラン

フレッシュな酸味と、鮮やかな果実味が特徴。「さわやか」という表現にふさわしい味わいのワインです。

セミヨンとブレンドされることで、キリッとしながらもふくよかという相反する特徴を持ったワインになります。

貴腐ワインもセミヨン

ボルドー地方のソーテルヌ地区原産。この品種からは、辛口と甘口の両方で高品質ワインが造られます。

辛口の場合、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドし、さわやかさとコクを持ったワインになります。和食にも合わせやすい味わいです。

貴腐菌が付着して貴腐ブドウになると、世界最高峰の極甘口ワインとなります。

控えめ酸のミュスカデル

ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンに比べてやや地味な存在です。控えめな酸とが花を感じる香りが特徴です。

ボルドーのおすすめワイン

ボルドーの赤ワイン、白ワインのそれぞれのおすすめを紹介します!

赤ワインはコレ!

カルベ セレクション デ プリンス ボルドー

1,719円 (税込)

詳細情報
アルコール度数 13 %
ボディー ミディアムボディ
ぶどう(メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン)

1818年に創業された歴史あるワイン商が自信をもってお届けする一本です。ボルドーの赤ワインってどんな特徴があるのか知りたい人におすすめです。こだわりのワインをお探しの方にはもの足らないかもしれませんが、安定した品質が楽しめます。間違いのないワインをお求めの人におすすめです。

>>ボルドーのおすすめ赤ワインをもっと見る

白ワインはコレ!

ミシェル リンチ オーガニック ブラン

1,512円 (税込)

詳細情報
アルコール度数 15 %
メーカー名 JMカーズ
産地(地方) ボルドー
産地(都道府県) メドック/オーメドック
味わい 辛口

有機栽培ブドウを100%使用した、EU認定のオーガニックワインです。トロピカルフルーツやピンクグレープフルーツ、レモンなどの爽やかで甘い香り。爽やかなのに丸みのあるエレガントな味わいで、長い余韻を楽しむことができます。

>>ボルドーのおすすめ白ワインをもっと見る

 

ボルドーワインの魅力 まとめ

ボルドーワインの幅広さ・奥深さを少しでもご理解いただけましたか。

逸話・エピソードに事欠かないボルドーワイン。ちょっとしたエピソードを覚えていると、ワインショップのセラーで見かけたときの見る目も変わってきます。

味わい以外にも、私たちを楽しませてくれるところは、さすが。ワイン界を牽引するフランスで伊達に「女王」とは呼ばれているわけではないですね。

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