【ソムリエ監修】ソーテルヌのおすすめ白10選!産地の特徴や選び方のコツ、飲み方も解説!

2018/10/18
おすすめ白ワイン

ソーテルヌとは、ボルドー地方の南東に流れるガロンヌ川の左岸に位置しており、その支流のシロン川を挟む形で広がっている地域を指しています。

ソーテルヌの白ワインはシャトー・ディケムを代表するように甘口ワインの代名詞となっています。これはぶどうの糖分が凝縮される「貴腐」という現象によるもので、1本の樹からワイングラス一杯分のワインしか造れないと言われるほど、その希少性は高いものとなっています。

希少性と蜂蜜のような甘さから「液体の宝石」と呼ばれ、世界を魅了するソーテルヌの白ワインを今回は紹介していきます。

記事の執筆者

佐々木 健太

J.S.A. ソムリエ・エクセレンス

ソムリエ/年間受講者数日本一を誇るカリスマワインスクール講師  21歳でソムリエ資格を取得。南フランスにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積み、帰国後は南青山「L’AS」を経て、株式会社WINE TRAILを創業。ワインのサブスク「HOME WiNE」を手掛ける。YouTubeチャンネル「ソムリエ佐々木」を運営。第9回全日本最優秀ソムリエコンクールファイナリスト。https://homewine.jp/

ソーテルヌの白ワインとは

ソーテルヌの貴腐ワインが出来る前にも、希少な蜂蜜の味をブドウを用いて表現するという挑戦がおこなわれていました。ぶどうから蜂蜜の味を表現するというのは自然摂理への挑戦ともいっても過言ではありません。

ソーテルヌ地区はぶどうの収穫期の秋になると、明け方に一帯が霧に包まれます。そのまま午後になると、その霧の影響で高温多湿の状態となり、この高温多湿の状態が「貴腐」の原因となる「ポトリティス・シネレア菌」という菌の理想的な繁殖環境となります。

つまり、自然環境においてこのソーテルヌは、貴腐が起こるのに最高の地域だったのです。これほどのテロワールは世界的にも稀有と言えるでしょう。

通常であれば果実に菌が付くという状態は好ましくはありません。しかしこのポトリティス・シネレア菌に限って言えば、果皮を破ることなく果肉の水分を排出する働きを起こすので、これが果実の糖度を高める働きをするのです。

結果的にこの「貴腐」は当初の挑戦であった蜂蜜を凌ぐ質の高い甘さを実現し、ソーテルヌに限って言えばその甘さに果実味を感じることのできる最高の出来栄えへと進化することができたのです。

 

ソーテルヌの白ワインの特徴

品種について

ソーテルヌの白ワインは「セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」「ミュスカデル」の三種類のブドウを用いて作られています。これらのブドウは貴腐しやすい品種で、貴腐ワインに向いている品種となっています。

セミヨンは穏やかであまり主張しない香りと果実味が特徴で、意外とどっしりとしたボディを感じさせてくれます。

ソーヴィニヨン・ブランは若々しいはっきりとした青さが特徴で、パッションフルーツやハーブ、青草などの香りを強く感じさせます。

ミュスカデルは、蜂蜜やジャスミンのような甘い香りをまとった品種であり、貴腐によって最高の状態に完成する品種となります。

完腐した「ロースト」状態のブドウは、通常のぶどうより水分が少なくなるため、醸造に回せる量が絶対的に少なくなり、結果的に生産量も少なくなってしまいます。

 

ソーテルヌの白ワインの選び方

格付けで選ぶ

ソーテルヌの白ワインを選ぶときに、数が色々ありすぎて何から選べばいいかわからない!という方も多いのではないでしょうか。そのような場合には格付けでワインを選ぶのも一つの選択肢です。

ボルドーの格付けは畑ではなく生産者に付けられたもので、このランキングはパリ万国博覧会(1855年)をきっかけにつくられたものです。その後ソーテルヌ地区にはプルミエ・クリュ・シュペリュール、その下にプルミエ・クリュ、その次がドュジェーム・クリュと格付けがされています。

これらの格付けは当時の仲買人によってつくられてから現在までほとんど変化していませんので、一概に格付けによって味などに優劣があるとは言えませんが、一つの指標として見ることは出来るのではないでしょうか。

 

プルミエ・クリュ・シュペリュール

プルミエ・クリュ・シュペリュールとは「第一」・「産地」・「特別」という意味で使われ、ソーテルヌの白ワインに関しては「シャトー・ディケム」の事を指しています。

シャトー・ディケムはご存知の通り最高品質の極甘口白ワインで、ソーテルヌから唯一特別一級に輝いた貴腐ワインとなっており、その芳醇な香り、甘美な味わいは他の生産者の追随を許さないものとなっています。

 

プルミエ・クリュ

プルミエ・クリュとは「第一」・「産地」という意味で、プルミエ・クリュ・シュペリュールに続くソーテルヌの一級ワインとなっています。

ここには、シャトー・ギローやシャトー・リューセックのようなソーテルヌを代表するような計11の有名シャトーが軒を連ね、味わいも最高の貴腐ワインを生産しています。

シャトー・ギローは隣にシャトー・ディケムの畑があり、ソーテルヌ地区の中でも最高の立地です。極甘口ワインだけではなく貴腐する前の完熟ブドウから辛口白ワインも造っており、様々な味わいを楽しませてくれるシャトーと言えるでしょう。

これら11シャトーも決して格下というわけではなく、味、香り共に素晴らしい出来栄えのものばかりです。

 

ドゥジェーム・クリュ

ドュジェーム・クリュとはプルミエ・クリュの次に位置する格付けで、シャトー・ダルシュや、シャトー・フィロなど計15のシャトーがあります。

シャトー・フィロはシャトー・ディケムに続くソーテルヌワインと言わしめた程上質な貴腐ワインを造り上げているシャトーで、香りが強く、非常に洗練された甘さを造りだしています。

格付けが下なので味が劣っているということは決してありません。逆に価格も抑えられてソーテルヌのワインが楽しめるので、初めて貴腐ワインを試したいという方はぜひここから入ってみることをおすすめします。

 

価格で選ぶ

格付けで選ぶ他に、自分の財布と相談して価格で選ぶことも重要です。自分が今出せる価格でワインを楽しむのが一番良い方法だと言えるでしょう。もちろん希少性や品質、味、香りなどは価格に比例することがほとんどなので、最初に飲んだワインで気に入ったものがあれば、それよりも上級のワインを試してみるのが良いのではないでしょうか。

シャトー・ディケムなどは低価格では手に入りませんが、ソーテルヌの白ワインは5,000円未満でも楽しめるものも多いです。例えばドュジェーム・クリュであるシャトー・フィロに関しては4,000円程度で楽しめるので、まずは手ごろにソーテルヌ白ワインを飲んでみてください。

 

味わいで選ぶ

格付け、価格と来たら次は「味わい」を指標に選んでみるのも良いでしょう。基本的には格付けや価格で味わいも変化していきますが、生産者ごとに違うこだわり、畑の違い、テロワールの違いなど格付けや価格では測れない「個人の好み」があることは間違いありません。

シャトー・ギローの、ル・ジェ・ド・シャトー・ギローのように辛口白ワインも少数存在しますが、基本的にソーテルヌの白ワインはデザートワインと言われるほどの極甘口で蜂蜜やレーズンのような味、芳醇な香り、宝石のような見た目などと共通しています。

その口当たりの滑らかさや、セパージュ、テロワールの違いなどは生産者によってそれぞれなので、自分の好みを見つけるのも、ワインを楽しむうえで大切でしょう。

 

ソーテルヌのおすすめ白ワイン10選

 

来客などあるときなどにおすすめ!予算5,000円ベスト5

5位

シャトー・ラボー・プロミ 2009

詳細情報
度数:14%
味わい:甘口
品種:セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル

シャトー・ラボー・プロミは一級格付け(プルミエ・クリュ)シャトーであり、その上品な味わい、口の中に広がる果実味、濃厚な甘さ、豊かなボディはまさしくソーテルヌを代表とするワインの一つと言えるでしょう。

バランスの取れた、絶妙でエレガントな酸味を味わえるのも特徴で、まさに最高の一本です。

 

4位

シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー 2006

詳細情報
品種:セミヨン74%、ソーヴィニョン・ブラン24%、ミュスカデル2%

シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーはかつてシャトー・ディケムに次ぐ評判をほしいままにしており、現在でもその価格からは考えられない上質なソーテルヌワインを作り出しています。

アーモンドや蜂蜜、アプリコットを思わせる上品な味わいと、貴腐ワインの特徴であるねっとりとした舌触りを最大限に感じさせてくれワインと言えるでしょう。

 

3位

カルム・ド・リューセック 2012

詳細情報
度数:13.5%
味わい:甘口
品種:セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル

シャトー・リューセックはソーテルヌの中でも最大の広さを誇る広大なワイナリーで、一級格付け(プルミエ・クリュ)シャトーに認定されています。

セミヨン種を主要品種として製造しており、豊かな果実味、滑らかな舌触りが特徴で、蜂蜜のような色や香りから、毎年高評価を得ています。

貴腐菌の繁殖状態を確認しながら収穫作業に入るので、収穫量は年ごとに変化し、大変貴重なワインということができます。

 

2位


シャトー・レイモン・ラフォンは、シャトー・ディケムのマネジャーであったピエール・メリエ氏が所有、運営していたシャトーで、現在子供たちに引き継がれていますが、その評価は衰えることがありません。

収穫量が1haあたり10hlとシャトー・ディケムよりも少なく希少で、醸造技術・セパージュに関してもシャトー・ディケムと同様に造られています。

ほとんどがヨーロッパで買われてしまうため、日本では希少なワインということが出来るでしょう。

 

1位


シャトー・フィロは強い香りのある、白い花、アプリコット、石灰などの非常に洗練されたプーケなどと評され、非常に注目されているシャトーです。他のシャトーよりもソーヴィニオン・ブランの割合が多く、果実味が強く表れているのも特徴の一つと言えるでしょう。

低価格でこのクオリティを作り出せるのはシャトー・フィロが人気の理由ともいえるのではないでしょうか。

5,000円以下のソーテルヌ白ワイン比較表

商品画像シャトー フィロー 2015シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー 2006カルム・ド・リューセック 2012シャトー・ラボー・プロミ 2009 シャトー レイモン ラフォン 2007
商品名シャトー フィロー 2015シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー 2006カルム・ド・リューセック 2012シャトー・ラボー・プロミ 2009 シャトー レイモン ラフォン 2007
詳細味わい:極甘口品種:セミヨン74%、ソーヴィニョン・ブラン24%、ミュスカデル2%度数:13.5%
味わい:甘口
品種:セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル
度数:14%
味わい:甘口
品種:セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル
味わい:甘口
商品リンク詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る

特別な日に!5,000円~10,000円以上ベスト5

5位

シャトー・クロ・オー・ペイラゲ 2007


元々は1855年にソーテルヌの格付けでプルミエ・クリュとして名をあげた「ペイラゲ」というシャトーの一部でしたが、1879年に独立して今の形になりました。
貴腐ワインの中でもエレガントさと、上品さ、豊かな味わいと香りが顕著に表れるワインとして高評価を得ているワインです。試してみる価値がある一本ということが出来るでしょう。

 

4位

シャトー・スデュイロー 1999


貴腐ワインの王様と言われているディケムに負けるとも劣らないと言われているシャトー・スデュイロー。桃やバニラを思わせるアロマが広がり、口に含むとスミレやバラの花びらのニュアンスが加わる、繊細かつ華やかな仕上がりになっています。
ロバート・パーカー氏に「スデュイローはソーテルヌの偉大なワイン」と言わしめた実力を一度試してみてはいかがでしょうか。

 

3位


ソーテルヌのベンチマーク的な存在感を示しているのがシャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーです。その味わいは上品な甘みとトロピカルフルーツや蜂蜜香がさく裂したような果実味。その最高のバランス感に多くのワイン愛好家たちが愛してやまないワインとなっています。
2007年は特に、白桃、レモンバタークリーム、オレンジなどの魅力的な香りとピュアな甘みが特徴で、余韻にはハーブなどの風味が続き、とても出来が良いワインと言われています。

 

2位

シャトー ラ トゥール ブランシュ2014


ソーテルヌ格付け第一級のシャトー・ラ・トゥール・ブランシュの2014。「ソーテルヌのスーパースター」と言わしめたその一本は、理想的な気候と理想的な貴腐ぶどうによって造られています。
全て手で摘まれるその果実から造られるワインは、フレッシュさと凝縮感のバランスが最高で、優雅さやフィネスに溢れているという特徴があります。

 

1位

シャトー・ディケム 2005

詳細情報
味わい:極甘口
品種:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%

堂々の第一位はやはり、ソーテルヌのプルミエ・クリュ・シュペリュール、特別一級のシャトー・ディケムでしょう。世界最高峰の貴腐ワインと評されており、他のワインの追随を許さない圧倒的な存在感を示しています。

完全に貴腐化したブドウのみ一つ一つ丁寧に収穫して造られるそのワインは、穏やかに感じる樽の香り、濃縮したジャム、いぶしたような独特のエキゾチックさが特徴となっています。その味わいは一度試してみると病みつきになって離れません。

5,000円~10,000円のソーテルヌ白ワイン比較表

商品画像シャトー ラ トゥール ブランシュ2014シャトー・クロ・オー・ペイラゲ 2007シャトー・スデュイロー 1999シャトー ド レーヌ ヴィニョーシャトー・ディケム 2005
商品名シャトー ラ トゥール ブランシュ2014シャトー・クロ・オー・ペイラゲ 2007シャトー・スデュイロー 1999シャトー ド レーヌ ヴィニョーシャトー・ディケム 2005
詳細味わい:極甘口味わい:極甘口味わい:甘口
品種:セミヨン
味わい:極甘口味わい:極甘口
品種:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%
商品リンク詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る

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ソーテルヌの白ワインまとめ

自然環境と人間の挑戦の結果生まれた貴腐ワイン。ソーテルヌの白ワインはそんな、人間の努力の結晶ともいえるでしょう。

蜂蜜やレーズンのような味わい、アプリコットのような上品な香り、宝石のような見た目、全てにおいて高級感を感じられるソーテルヌの白ワインは世界中から賞賛の声が絶えません。小さな生産者が多く、他のボルドー地区と比べても希少性の高いワインを造り続けています。それぞれのシャトーでそれぞれの味わいがあるので、色々試してみることを強くおすすめします。

シャトー・ギローのように辛口白ワインを作っているシャトーもありますが、ほとんどが貴腐を用いた極甘のワインとなっています。デザート代わりに一本、食卓に添えればきっと華やいだ素晴らしいものになるでしょう。

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