【ソムリエ解説】スペインワインの特徴は?歴史から、産地、品種、格付け、有名銘柄まで解説!

2019/04/19
ワインの基礎知識

スペインやフランスに並ぶ、世界有数のワイン大国、スペイン。ブドウの栽培面積については常に世界1~2を争い、生産量は世界第3位を誇っています。
今回は、意外と知られていないスペインのワインの歴史や、産地、品種について探っていきましょう。

記事の執筆者

井出 玲子

JSA認定ソムリエ

イタリアンレストランなどで修行の後、ソムリエを取得。日本のワイナリーのコンサルティング会社にてプロモーション施策やマーケティング業務を行う。現在、フリーのフードコーディネーター、編集・ライターとして活躍中。

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スペインワインの歴史と今

紀元前1100~500年にかけて、カディスから北東端までのスペイン東海岸全域は、古代フェニキア人やギリシャ人に支配されていました。その間に、ブドウの樹やワインを製造する技術が持ち込まれ、スペインでのワインの歴史が始まりました。

 

紀元前100年頃、ローマ帝国がイベリア半島を征服した頃には、ひとつの産業としてワイン造りが栄え、ローマ帝国へとワインは運ばれ、評判になったと言われています。711年にイスラム教徒のイベリア半島侵攻が始まったことで、ブドウ畑はほとんどが壊されてしまいます。残っていたブドウ畑は当時名声を誇っていたところ。

 

飲酒を禁じる戒律を持つイスラム教徒も、大きな利益をもたらすワインの交易を無視することはできない存在だったと言えます。

ブドウ畑を再興したレコンキスタ

その後、キリスト教徒によるレコンキスタ(国土回復運動)が始まり、イスラム教徒は次第に南へと押し戻されます。11世紀後半頃には、北部に次々とキリスト教王国が誕生し、ブドウ畑も再興されていきました。

そして、レコンキスタが終わるのと同時に、15世紀末の大航海時代が始まり、スペインのワインは世界へと運ばれていったのです。

免れることはできなかったフィロキセラ

19世紀後半、フランスでフィロキセラが発生し、壊滅的なダメージを受けたフランスのワイン生産者はスペインへと流入してきました。
彼らがもたらす高度なワイン醸造技術はスペインのワインの品質をぐんと高めてくれはしたものの、スペインもまたフィロキセラから逃れることはできませんでした。

しかし、被害が広がるのとほぼ同時に、アメリカのブドウへの接ぎ木という対策が見つかり、20世紀初頭の早い段階でフィロキセラから立ち直ることができました。

当時、政治的な状況もあり、スペインのワインは国内で消費されるだけのものとなっていました。

 

1970年台に入り、半鎖国的な状況から抜け出したことにより、スペインのワインも量から質へとシフトすることになります。

これまではデイリーなワインの産地だったラ・マンチャなどでも高品質のワインが生まれるようになり、世界の注目を集めるようになります。

 

そして、21世紀に入った今、新しい世代による新たなスペインワインが続々と生まれ、スーパースパニッシュと言われるワインも誕生するようになりました。

スペインワインの産地と地図

スペインの代表産地と特徴

スペインの生産地域は50以上の地域に分かれており、スペイン全土でワインが造られています。中でも有名な産地をここではご紹介します。

リオハ

スペインを代表するワインの生産地域。標高の高い場所で品質の高いワインを造っています。リオハ・アルタ、リオハ・アラベサ、リオハ・バハの3つの地域に分かれています。

>>リオハのワイン

プリオラート

北部のリオハとともにDOCaに選ばれている地域。スレートの土壌から高品質なワインが生まれることで近年知られるようになった地域です。

ペネデス

瓶内二次発酵で造られる、カヴァの主要な生産地として知られています。

リベラ・デル・デュエロ

リオハと並び、高品質なワインが造られていることで知られている産地。赤とロゼのみが原産地を名乗ることができる。

ラ・マンチャ

世界最大のワイン産地。主には白ぶどうを使った蒸留酒が中心ですが、普通のワインも造られています。

シェリー&マンサニージャ

ヘレス・デ・ラ・フロンテラ周辺で造られる酒精強化ワイン、シェリーが有名な産地。

スペインワインの品種

スペインで育てられているワイン用ブドウは、古くからスペイン固有で育てられているものが多いのが特徴です。現在のスペインのワインの個性を形作っているとも言えるブドウ品種を紐解いていきましょう。

黒ブドウ品種

テンプラニーリョ

リオハ、ナヴァーラなどで育てられているブドウ品種。
早熟、という意味を持ち、非常に繊細で香りがよく、タンニンや酸も豊か。長期熟成のワインが造られます。

 

ガルナッチャ

フランスで言うグルナッシュは、実はスペインのアラゴン地方が原産です。
日照や強風に強く、病虫害にも強い品種。長い間評価されていなかった品種ですが、近年では高品質のワインを生み出しています。

 

カリニェナ

フランスではカリニャンと呼ばれる品種で、これもアラゴン地方が原産。
濃い色調と高い酸、豊富なタンニンが特徴で、長期熟成に向くワインが出来上がります。

 

モナストレル


ソース

バレンシア州が原産地と言われているブドウ品種。
フランスではムールヴェードルと呼ばれており、幅広いタイプのワインを産み出します。

 

白ブドウ品種

アルバリーニョ

ガリシア州が原産と言われるブドウ品種。
現在ではガリシア州のスター品種とも言える人気の品種です。非常に香り高く口当たりの良いワインが生まれます。

>>アルバリーニョの詳細はこちらの記事から

 

ベルデホ

カスティーリャ・イ・レオンのルエダが主な栽培地のブドウ品種。
果実味が豊かでフレッシュ、アロマの豊かなコクのあるワインが生み出されています。

マカベオ

原産地ははっきりとしていませんが、主にスペイン北部で栽培されているブドウ品種。
若飲みも長期熟成もカバーできる品種で、カタルーニャ州では主にカヴァに使われています。

パロミノ

ガリシア州やカスティーリャ・イ・レオン州などで栽培されていますが、なんといってもアンダルシア州で造られるシェリーの原料となることで知られているブドウ品種です。

 

スペインワインの格付け

スペインワインの格付けは、EUのワイン法により、DOPとIGPの2つに分かれていますが、スペインの原産地呼称では7つにカテゴライズされています。EUのDOPに含まれる、スペインの原産地呼称のカテゴリーは、VP、DOCa、DO、VCIGの4つになります。

ヴィノ・デ・パゴ(VP)

特定の村落で、他とは際立った違いのあるテロワールの畑から生まれる高品質なワインのことを言います。単一ブドウ畑限定のカテゴリーです。

デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ(DOCa)

日本語では特選原産地呼称ワイン、と呼びます。DO産のワインの中から厳しい基準をクリアしたものに認められている格付けです。

デノミナシオン・デ・オリヘン(DO)

原産地呼称ワインのこと。原産地呼称統制委員会が設置された地域で、認可品種を原料にし、厳しい基準をクリアしたワインに与えられる格付けです。

ヴィノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ(VCIG)

特定の地域、地区、村落などで収穫されたブドウを原料とし、醸造、熟成されたワインのうち、その地域性を表現したと認定されるもの。このカテゴリーで5年経つとDOへの昇格を申請できます。

ヴィノ・デ・ラ・ティエラ

地方ワインの意味。フランスで言うとヴァン・ド・ペイに当たるものです。

ヴィニェードス・デ・エスパーニャ

安価な輸入ワインと区別するためにできたカテゴリー。一部の銘醸地域では使用が禁止されている。

ヴィノ・デ・メサ

いわゆるテーブルワインのこと。格付けされていない畑でできたワインや、異なる地方のワインを混ぜて造ったものなど。地域名、ブドウ品種名、収穫年の表記は許されていません。

スペインの有名ワイン銘柄

手頃な価格のものが多いスペインのワインにも高級なものはありますが、その中でもワイン愛好家の間で憧れの的になっているのは、ベガ・シシリアのウニコです。
リベラ・デル・デュエロにあるワイナリーで造られる、カベルネ・ソーヴィニヨンとテンプラニーリョのブレンドのワインですが、作柄の良い年にしか造られない希少なものです。

スペインワインまとめ

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スペインのワインについて、歴史、品種、産地、格付け、銘柄を解説してきましたが、いかがでしたか?

スペインのワインはまだまだ深いので、産地を深掘ってみたり、さらに追求していきましょう

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