【ソムリエ解説】日本を代表するワインメーカー、井筒ワインとは?

2018/10/09
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日本は多くの地域が高温多湿の気候なため、基本的にはワイン用ブドウ栽培に向かない土地です。

しかしながら、日本人の持ち前の勤勉さは、そのような環境を前にしても心折れることはありません。

日本固有の品種である「甲州」「マスカット・ベーリーA」は品質を向上させ、国際的にもワイン用ブドウ品種として専門機関に認められました。

また、日本各地のワイナリーは、国際品種であるシャルドネやメルロにも果敢にチャレンジ。

栽培の工夫、醸造の工夫を重ね、国産品種を使用した日本産ワインの国際的評価も高くなってきました。

今回は日本のワインの品質向上を牽引するワイナリーのひとつ、井筒ワインをご紹介します。

記事の執筆者

林 英公子

日本ソムリエ協会認定ソムリエ

ワインテクニカル監修。 なぜか宅建資格もあり。 CF制作会社・情報出版・IT企業に勤務後、 長らく印刷媒体制作ディレクター。 Uターン後は、ちょっといいピノ・ノワールを飲みながら 大音量で好きな音楽を聴ければ、ほどほどに幸せ。 真昼っから数十本のワインをテイスティングする修羅場も経験。

井筒ワインとは

井筒ワインは長野県塩尻市桔梗ヶ原にあるワインメーカー。

長野県塩尻市は日本屈指のワイン銘醸地。特に桔梗ヶ原は、国際的なワインコンクールで結果を出している土地です。

井筒ワインの栽培適地 桔梗ヶ原

ソース

桔梗ヶ原は、昼夜の温度差が大きい内陸性気候。夜間の気温低下はブドウの糖度を上げ十分な酸味も残します。

ブドウ収穫期の夏から秋にかけて雨が少ないのもブドウ栽培には利点です。

日本は元々多雨なエリアですが、全国平均に比べても長野県全体は雨量が少なめで、ワイン用ブドウ品種の栽培に適しています。

ブドウの糖度や酸度を高めるためには日照時間も重要です。

気象庁のデータによれば、ブドウが成長する春から秋にかけての桔梗ヶ原付近の日照時間は、同時期の東京と比較して大幅に長くなっています。

桔梗ヶ原は火山灰の土壌。小石の混ざった礫層に火山灰が堆積しているため、地下水位は低く、水はけは抜群。

農産物の栽培には向かないと敬遠されてきたこの土壌が、皮肉にもワイン用ブドウ栽培には適地だったのです。

井筒ワインはこの地に軸足を置き、ブドウ栽培・ワイン醸造を行っています。

井筒ワインの歴史

井筒ワインの歴史は1927年(昭和2年)に遡ります。同年井筒屋農園が醸造部門を開設し5年後の1933年井筒屋葡萄酒醸造所をスタート。

地元産のぶどう品種「ナイアガラ」「コンコード」を用いて自社ブランドのワイン醸造を開始しました。

1956年、現社長が研究生として山梨大学ワイン科学研究センターに入所し、ブドウ栽培とワイン醸造を科学的に学びます。

その研究の成果が、今日の結果にしっかり結びつきました。

創業以来、桔梗ヶ原一帯でブドウを栽培・収穫し、醸造から瓶詰めまで一貫して自社で行っています。

井筒ワインの評価

創業以来85年間、このワイナリーがあ地元に根を下ろして続けてきた地道な努力は、コンクール入賞という形で着実に結果を残しています。

1990年 リュブリャナ国際ワインコンクール 銀賞

※リュブリアナ国際ワインコンクール
スロベニアの首都リュブリアナで行われる世界的にも権威のあるワインコンクール。
約25カ国から1,000アイテム前後の出品があります。

1997年 リュブリャナ国際ワインコンクール 金賞

2006年 日本ワインコンクール NACメルロー樽熟 スーブリーム 金賞

※国産ブドウを使用した日本ワインの品質向上と認知度向上、それぞれの産地のイメージ・日本ワインの個性や地位を高めることを目的に、2003年より開催が始まりました。

主催は日本ワインコンクール実行委員会、外務省・国税庁が後援。

在外公館の求めに応じて本コンクール受賞ワインが提供され、公式行事などで使用されています。

2007年 日本ワインコンクール NACシャルドネ 樽熟 金賞

井筒ワインの特徴

生食用ブドウとして地元特産品であるコンコード種ブドウ、ナイヤガラ種ブドウを使ってワインを醸造します。

ブドウ本来の果実味を生かしたナチュラルで親しみやすい飲みやすさが特徴です。

同時に、早くからヨーロッパ原産のワイン用国際ブドウ品種の導入にも力を注いできました。

いくつかの主要品種の栽培に成功し、特に桔梗ヶ原産メルロ種ブドウを使ったワインは国際品評会でも高い評価を獲得するに至っています。

1972年にはコンコード種ブドウ、ナイヤガラ種ブドウの果汁100%ストレートジュースを中心に果汁飲料の製造部門も設置。

自然に近い味わいは多くのファンを獲得しています。

ワイナリー・ショップ

井筒ワイナリーは、信州のほぼ中央、北アルプスを望む松本平標高700メートルの桔梗ヶ原にあります。

三角屋根のワイナリーを中心に、周囲にはブドウ畑。

ブドウ園にはヨーロッパ由来の垣根仕立てはもちろん、日本に多い棚仕立てもあります。両方の栽培法が混在する日本のブドウ園らしい光景が広がっています。

ブドウ畑に囲まれたワイナリー内のショップでは、国産ブドウ100%のワインの試飲もOK。

ショップでは、ワインを使ったスイーツやジャム、絵葉書やストラップ等のグッズが販売されています。

井筒ワインの商品ラインアップ

井筒ワインの商品ラインアップを人気商品を中心にご紹介します。

生ワイン

井筒無添加生にごりワイン

1,475円 (税抜)

詳細情報
【コンコード 赤】
・やや甘口
・長野県塩尻・松本産コンコードぶどう
・720ml
・アルコール分 12~13%
・保存方法 冷蔵庫にて保存


【ナイヤガラ 白】
・やや甘口
・長野県塩尻・松本産ナイヤガラぶどう
・720ml
・アルコール分 12~13%
・保存方法 冷蔵庫にて保存
日本において、ワインは、通常瓶詰の際にワイン中に残っている酵母菌を濾過したり加熱殺菌をします。

酵母を残しておくと瓶内で発酵を続けてしまう可能性があるからです。

酵母を残した生のままのワインには、酵母由来のにごり、発酵による微炭酸があります。

ブドウ本来の濃厚な味がしっかり感じられるのも大きな特徴です。

酵母には酵素やビタミンが含まれている上に、酸化防止剤も添加されていないので、健康志向の方からも支持されています。

ナイヤガラ

NACナイヤガラ

井筒ワイン NACナイヤガラ 白

1,187円 (税抜)

詳細情報
容量 720ml

ワイン区分・タイプ 白中口

ぶどう品種 ナイヤガラ(100%)

ぶどう収穫地 長野県塩尻市

ぶどう収穫年 2017年

塩尻一帯広がる自社農園および契約農家で収穫したナイヤガラのみを使用して醸造されたワインです。

酸化防止剤に代表される合成添加物は無添加。ブドウ本来の濃厚な味わいを楽しめる1本。

ナイヤガラはマスカットのような香りと甘い果実みが特徴の品種です。ほどよい甘みがあり、ジュースのようにスイスイ飲めてしまいます。

※NAC長(野県原産地呼称管理制度)
長野産ワイン全体の品質向上を目指し、「栽培方法」「生産方法」「味覚」の観点から審査。日本では最初の原産地呼称制度です。

デザート ナイアガラ

井筒ワイン デザート ナイヤガラ

1,516円 (税抜)

詳細情報
ナイヤガラぶどう100%原料

■アルコール度数:16~17 度

桔梗ヶ原産のナイアガラを、高いアルコール度数で甘口に醸造。

暑い季節には氷を入れてオンザロックで、寒い時期にはお湯割りで楽しめるデザートワインです。

メルロ

※(井筒ワインの商品名はメルロー 国際品種としての表記はメルロ)

NACメルロー[樽熟]

井筒ワイン NAC メルロー


塩尻市で収穫されたのメルロを醸造、オーク樽で約18ヶ月間樽熟成を経て瓶詰め。

メルローらしい柔らかなタンニンと果実味に樽熟成に由来する深み・厚みが加わっています。

 

井筒ワインの魅力

国内ワイナリーとして、ナイアガラ・コンコードといった国産品種を大切に栽培し醸造。酸化防止剤無添加にも強くこだわっています。

濾過・加熱処理なしで瓶詰めする生ワインは多くのファンを獲得。

ドメステックな分野での努力と成果は井筒ワインの大きな魅力です。

このワイナリーのスゴイところは、こういった国産品種だけではなく、シャルドネ・メルロという国際品種にも果敢にチャレンジし、国際コンクールで結果を出しているところ。

日本人の勤勉さが商品にきちんと結実しているワイナリーと言って過言ではないでしょう。

国内ですから、ワイナリーにも気軽に立ち寄れます。信州を訪れる機会のある方は、ぜひワイナリーを訪れてみてください。日本らしいブドウ園が広がる中で試飲も楽しむことができます。

JR塩尻駅からタクシーで5分、長野自動車道塩尻インターからは車で7分と、アクセスも抜群です。

アルプスの山並みを楽しんで国産ワインを試飲。なかなか贅沢な休日の過ごし方ですね。

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