シャトー・マルゴーをソムリエが解説!価格や当たり年、おすすめワインも紹介

2018/10/09
フランス

ワインにそれほど関心のない方にまで、広く認知されている「シャトー マルゴー」。フランス・ボルドー地方の五大シャトーの一角を占めます。

五大シャトーの伝統と歴史・風格を持ち、それに加えてロマンチックな逸話やエピソードが多いワインです。

今回はシャトー マルゴーの魅力を歴史・味わい・逸話などいろいろな面からまとめてみました。

シャトー マルゴーとは

フランスを代表するワイン産地のひとつボルドー地方。ここにには1級に格付けされた世界屈指のプレミアムワイン「五大シャトー」があります。

「シャトー マルゴー」はその中のひとつ。1級の中で当初からこの級だったのは、シャトー ラフィット ロートシルト・シャトー ラトゥールとこのシャトー マルゴーだけ。

「ワインの女王」と称されるボルドーワインの中でも最も女性的と形容され、その形容にふさわしい味わいと華麗な逸話を持ったワインです。

そもそも五大シャトーとは

1855年、パリ万国博覧会の際に、ナポレオン3世の要請を受け、ボルドー市商工会議所がメドック地区の60銘柄の格付けを作成。

ワイン産業の国際的振興を意図し、世界各国のワインファンにフランスワインのある程度の基準を示すために作られました。

1級では当初の3銘柄にシャトー オー ブリオンが加わり、1973年に1855年当時2級だったシャトー ムートン ロートシルトが昇格、ここに五大シャトーが出そろったのです。

シャトー マルゴーの名前の意味

シャトー マルゴーは、ボルドー地方ジロンド県の県庁所在地ボルドーの北方に位置するメドック地区マルゴー村に位置するシャトー。

五大シャトーの中で唯一所在する村名がシャトーの名の由来です。

シャトー マルゴーの歴史

シャトー マルゴーは12世紀にはすでに文献に登場しています。数々の貴族の所有を経て、16世紀には現在のシャトーの礎が築かれました。

18世紀にワインの醸造技術は大きく進歩、現代的なワインが誕生しました。シャトー マルゴーでも土壌改良やのブドウ収穫に革新的な技術が導入されます。

ルイ15世の時代、ポンパドゥール夫人をはじめとした愛妾たちのワイン愛好が盛んになり、シャトー マルゴーをはじめとしたワイン文化は宮廷で大きく花開きました。

メドックの格付けとシャトー マルゴー

前述のように、現在のメドック格付け1級の中で、当初から1級だった3つのシャトーのうちの一つがシャトー マルゴー。

いつの時代も常に名声と地位を確実に獲得し続けたシャトーと言って過言はないでしょう。

シャトー マルゴーの特徴

「ワインの女王」と呼ばれるボルドー産ワインの中でも最も女性的と称されるシャトー マルゴー。なぜ「女王」で「女性的」なのでしょうか。

前提としてヨーロッパでは日本とは価値観が違います。

ポテンシャルを備えたものがしっかり手入れされ管理されれば、時を重ねても価値は下がることはなく、むしろその価値は上がっていくのです。

ワインのポテンシャルが、長期熟成を経て魅力として花開くところは、まさにフランス的な「女王」と形容するにふさわしい存在です。

強さの中のエレガント

味わいや香りが複雑で、しっかりとしたフルボディ。その中に柔和で優しい表情も持ち合わせているシャトー マルゴー。

タンニンが絹のスカーフが肌を滑るようにしなやかなに喉をすり抜けていく優美さ。

この「強さの中に秘められたエレガント」こそフランス的な「女性的」という形容詞がぴったりなのです。

シャトー マルゴーのブドウ品種

主体はカベルネ・ソーヴィニヨン、2割程度のメルローに少量のカベルネ・フラン、プティ・ヴェルト。

シャトー マルゴーのエレガンスを象徴するのはタンニンのしなやかさ。そのため、近年はタンニンを形成する源となるカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高い傾向です。

セカンドラベル

ワインの「セカンドラベル」という言葉をご存知ですか? 洋服で言えば「ジョルジオ・アルマーニ」と「エンポリオ・アルマーニ」の関係に近いと思ってください。

ブドウ樹齢・ブドウ選果・醸造過程など、ブドウ栽培とワイン生産過程で何らかの事情で1級を名乗らせるのは難しいとされたワインが存在します。このワインが「セカンドラベル」としてリリースされます。

シャトー マルゴーの場合、セカンドラベルは「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー マルゴー」。シャトー マルゴーに比較してメルローの比率が高く、ふくよかで果実味を感じる仕上がりです。

セカンドラベルの存在はシャトー マルゴーの品質を向上させます。また、消費者にとっては、比較的安価にシャトー マルゴーに近い味わいを堪能できることになります。

マルゴーAOCとの相違

AOCは品種・地域・醸造方等が規定を満たしたワインに与えられる認証です。

マルゴーという名前は、シャトーがあるエリア一帯の村の名前ですからマルゴーAOCのワインは多くも存在します。

ただし、1級に格付けされたシャトーはシャトー マルゴーのみですので、違いを把握しておきましょう。

シャトー マルゴーと当たり年

ワインの当たり年を「ビッグヴィンテージ」「グレートヴィンテージ」と呼びます。

ワイン輸入元のサイトなどでヴィンテージチャートが公開されていますので、興味があれば確認してみるのも良いでしょう。

シャトー マルゴーが位置するボルドー左岸の赤のグレートヴィンテージは最近では2009年、2010年、2015年です。

グレートヴィンテージのワインは価格が高騰しがちです。また、品薄にもなりがちですから、入手はそう容易ではありません。

世界中に愛飲家の多いシャトー マルゴーの場合、その状況はより深刻なものになります。

ただし、このクラスのワインは、「当たり年」でなくとも、その名に恥じない仕上がりでリリースされますから、「当たり年ではない」から品質に問題があるわけではありません。

日本でのシャトー マルゴー人気の背景

実は日本での五大シャトーの中でのシャトー マルゴーの人気は、少し他の国とは趣が違います。

五大シャトーの一つとしてというより、他の理由で一気に知名度と人気が上がったのです。

1995年から「失楽園」という渡辺淳一の小説が日本経済新聞で連載され、経済紙に不倫の物語と当時かなり話題になりました。

役所広司と黒木瞳主演で映画化され、1997年に公開。日経新聞読者の中高年サラリーマンから主婦・OLまで幅広く動員し、同年の配給収入はスタジオジブリ「もののけ姫」に次ぐという結果を残します。

この映画のラストで死を目前にした主人公二人が口にするのがこの「シャトー マルゴー」だったのです。

世界のシャトー マルゴー愛飲者

上記のような文学的エピソードが多いのもシャトー マルゴーの特徴でしょう。

「誰がために鐘はなる」「武器よさらば」等で知られる文豪アーネスト・ヘミングウェイはそのファッショナブルなルックス・ライフスタイルから現在も人気の高い作家です。

彼は直接シャトー マルゴーを訪れこのワインを楽しみました。

さらに、孫娘にマーゴ(マルゴーの英語読み)と名付けたほどの溺愛ぶりです。マーゴは・ヘミングウェイは後にモデル・女優として活躍します。

また、ルイ15世の愛妾で、「ベルサイユばら」の登場人物としてでおなじみのデュバリー夫人も愛飲者として有名。

デュバリー夫人がシャトー マルゴーを愛好したのは、ライバルのポンパドゥール夫人愛好の「シャトー ラフィット ロートシルト」に対抗したとも言われています。

のちの五大シャトーは、18世紀にすでにベルサイユでマウントを取り合っていたのです。

マルクスとともに共産主義思想を築いたエンゲルスは「あなたにとって幸せは?」と問われ、「シャトー マルゴー1848年」と答えたと言われています。

シャトー マルゴー まとめ

シャトー マルゴーはタンニンのしなやかさが特出していると言われています。

強さの中に秘めたエレガントさは、「ワインの女王」と言われるボルドーワインの中で最も女性的な存在として位置を獲得しました。

著名人に愛飲者が多く、五大シャトーの中でも特出して数多くの逸話・エピソードを持つシャトー マルゴー。

ワインという範疇におさまらず、もはや文化的な存在と言っても過言ではありません。。

逸話・エピソードなどを知っていれば、いつかこのワインを口にする機会に恵また時、その味わいはさらに深いものになるでしょう。

記事の執筆者

林 英公子

日本ソムリエ協会認定ソムリエ

ワインテクニカル監修。 なぜか宅建資格もあり。 CF制作会社・情報出版・IT企業に勤務後、 長らく印刷媒体制作ディレクター。 Uターン後は、ちょっといいピノ・ノワールを飲みながら 大音量で好きな音楽を聴ければ、ほどほどに幸せ。 真昼っから数十本のワインをテイスティングする修羅場も経験。

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