日本の古都として観光客からも人気の都市・京都。
古くから栄えていた京都は日本酒の歴史も長く、京都の各地には大手の酒蔵と小規模な酒蔵が入り混じって存在しています。
ということで今回の記事では、京都の日本酒の特徴や選び方、おすすめの銘柄についてご紹介していきます。
京都の日本酒の特徴は?
それでは、京都の日本酒にはどのような特徴があるのでしょうか。
詳しくご説明します。
平安時代から続く酒造りの歴史
京都の酒造りの歴史は平安時代から始まったとされています。
平安時代では酒造りは宮中で行われており、「造酒司(さけのつかさ)」という酒造り専門の役職が設けられていました。
鎌倉時代以降には酒造りの技術が民間へと広がっていきます。酒造りの普及は続き、室町時代には酒造りをしていた民家や施設の数は約350軒にも上ったとされています。
その後、京都の酒造りの中心地は名水地である伏見に移り、明治期に入ってからは鉄道の整備に伴って伏見の酒は全国に届けられるようになりました。
このような歴史があったからこそ、京都は全国2位の日本酒生産量を記録しており、全国的に有名な大手の酒蔵をいくつも有しているのです。
口当たり良くやわらかな「女酒」
京都の日本酒はその口当たりの柔らかさから「女酒」と表現されることがあります。
ソフトで滑らかなこの日本酒の味わいは、全国でも有数の酒どころとして知られてる伏見で採水される仕込み水に秘密があります。
京都の日本酒は生産量の大部分が伏見産のものなので、京都の日本酒は柔らかい酒質の「女酒」として知られているのです。
落ち着いた味わいの京都の日本酒は、同じく繊細な味付けの京料理と相性抜群です。
ちなみに京都・伏見の「女酒」に対して、兵庫県・灘でつくられる日本酒はその力強い味わいから「男酒」と呼ばれます。
伏見の御香水
京都の日本酒が「女酒」と呼ばれているのは、伏見にある「御香宮(ごこうのみや)」という神社から採水される仕込み水に理由があります。
その水は「御香水(ごこうすい)」と呼ばれ、神社の境内から香りの良い水が湧き出ていることからその名が付けられました。
ミネラルの少ない中軟水であるため、御香水で仕込んだ日本酒は穏やかできめ細やかな味わいに仕上がります。
伏見は昔から質の良い水が湧き出る地として知られており、かつては「伏水」との表記がなされていました。
京都の日本酒の選び方
京都の日本酒は飲みやすく優しい味わいの日本酒が多くあります。
とはいえ全ての日本酒が似た味わいではないので、より好みの日本酒を飲めるようにここで京都の日本酒の選び方を確認していきましょう。
甘口・辛口
京都の日本酒は全体として「女酒」のような飲みやすさが特徴ですが、甘口・辛口の味わいに関しては銘柄によって異なります。
日本酒の甘口と辛口は「日本酒度」という指標によって表されます。
日本酒度とは日本酒に含まれる糖分の量を示す指標で、プラスマイナスを付けて表される数値です。
日本酒度がマイナスに傾くほど日本酒は甘くなり、プラスに傾くほど辛口になります。
そのため、甘口が飲みたい方はマイナスの数値が高い日本酒を、辛口が飲みたい方はプラスの数値が高い日本酒を選ぶと良いでしょう。
日本酒度は日本酒の裏ラベルや酒蔵のホームページで確認できますので、ぜひチェックしてみてください。
産地
京都は北部と南部によって気候風土が異なり、それぞれの地域で造られる日本酒の味わいには違いが生まれます。
北部
京都北部は丹後半島や宮津を中心とした日本海側に面した地域です。
日本海に面しているため冬は雪が降り、湿度が高いという点が特徴です。そのため、京都北部の日本酒は寒さを耐え忍ぶために濃醇で旨味のある味わいにつくられる傾向があります。
また、丹後地方は稲作発祥の地とも言われており、酒造りの歴史も古いとされています。
伝統的な酒造りを踏襲した酒蔵や、新しい味わいの日本酒に挑戦する若手の造り手が多いことも特徴のひとつです。
南部
全国でも有数の酒どころである伏見を含む京都南部。
京都の酒蔵44社のうちの半数以上が伏見にあり、南部地方はもとより京都の酒造りの中心地は伏見にあると言えるでしょう。
京都南部は盆地を多く有しており、夏と冬の寒暖差が大きいところが特徴です。
伏見の女酒のイメージ通り、京都南部の日本酒は穏やかで口当たりの良い味わいを感じやすい傾向にあります。
大手の酒蔵もこの南部地方に集中しています。
京都の日本酒ランキング10選
それでは最後に京都のおすすめ日本酒をご紹介します。
京都には全国的に有名な大手の酒蔵と、伝統や革新にこだわる小さな酒蔵があります。
ぜひ気になったものがあれば飲んでみてください。
10位 黄桜 金印
黄桜 金印
産地:日本、京都府
京都を代表する定番の晩酌酒です。
やわらかな口当たりと、ほのかに感じる甘味や酸味が飲み飽きさせない味わいがあります。ぬる燗にすることでよりふくよかさが引き立ち、米の旨味を感じやすくなります。
デイリー飲みに最適な伏見の酒です。
9位 花洛 純米吟醸 甘口
花洛 純米吟醸 甘口
味わい:甘口
産地:日本、京都府
ほんのり甘い味わいの純米吟醸酒です。
控えめな甘さにしっかりとした酸味がマッチし、ジューシーな味わいを楽しめます。フルーティーな香りもあるので、イタリアンや洋食との相性が良さそうです。
冷やして飲むことでキリっとした甘味を感じれるのでおすすめ。
8位 月桂冠 特撰
月桂冠 特撰
優雅な味わいの本醸造酒です。
シルクのような滑らかな舌触りと、口に含むとふわりと広がる甘い米の香りを楽しめます。
国際的な酒類品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018」にて、最もコストパフォーマンスに優れた銘柄として「グレートバリュー・アワード」を獲得しています。
7位 聚楽第 純米吟醸
聚楽第 純米吟醸
味わい:辛口
産地:日本、京都府
米の旨味を残した純米吟醸酒です。
軽やかな味わいと芳醇な香りが特徴の京都原産の酒米・祝(いわい)を原材料に使用。米の個性を活かしたまろやかで優しい味わいが感じられます。
京都の酒造り起源の地で醸される歴史ある1本です。
6位 玉乃光 純米吟醸 酒塊
玉乃光 純米吟醸 酒塊
産地:日本、京都府
キレと旨味を両立した純米酒です。
やや辛口な味わいにすっきりとした酸味が合わさって飲みやすい仕上がりに。純米ならではのコクと吟醸の軽やかさがどちらも感じられ、万能な味わいがあります。
素朴な味わいの京料理とうまくマッチします。
5位 酒呑童子 大辛口
酒呑童子 大辛口
味わい:鬼辛口
産地:日本、京都府
ボリューム感のある辛口の山廃本醸造酒です。
日本酒度は+10を超えており、かなりすっきりとした味わいがあります。ドライな味わいの中にも山廃仕込みによる米の旨味も感じられ、食事の美味しさを引き立ててくれます。
辛口好きにはぜひおすすめしたい1本。
4位 玉川 山廃純米 無濾過生原酒
玉川 山廃純米 無濾過生原酒
産地:日本、京都府
力強い味わいの山廃純米酒です。
山廃仕込みならではの強い酸味と旨味がはっきりと感じられ、抜群のコクが感じられます。さらには無濾過生原酒というパンチとフレッシュさもあり、飲みごたえもバッチリです。
生酒ですが熱燗にしても美味しくいただけます。
3位 松竹梅 特撰 純米大吟醸
松竹梅 特撰 純米大吟醸
味わい:やや辛口
産地:日本、京都府
上品な香りと味わいの純米大吟醸酒です。
酒米は精米歩合45%までに削られ、雑味のないクリアな口当たりとフルーティーな香りを楽しめます。高級な味わいながら低価格で味わえるのは酒蔵大手ならではのクオリティ!
しっかり冷やしてワイングラスでぜひお楽しみください。
2位 伊根満開
伊根満開
味わい:甘口
産地:日本、京都府
古代米を使った赤色の珍しい日本酒です。
ロゼワインのような鮮やかな赤色の外観をしており、味わいもまるでワインのように甘酸っぱくフルーティー。冷やして飲んでも熱燗でも、ソーダ割りで飲んでも味が崩れず様々な味わいを楽しむことができます。
この甘酸っぱさは肉料理と相性抜群ですので、ワインのようなペアリングをぜひお試しください。
1位 澤屋まつもと 守破離 五百万石
澤屋まつもと 守破離 五百万石
味わい:辛口
産地:日本、京都府
ジューシーでフレッシュな味わいの純米酒です。
爽やかな柑橘系の香りと、はっきりとした酸味がシャープな輪郭を生み出します。純米酒ながら吟醸酒のように低温発酵が行われているので、味わいにはどこか上品さが感じられます。
フレッシュさがウリなのでキリっと冷やしてぜひ!
【番外編】京都で日本酒を飲み比べできるスポット
最後に京都にある日本酒の飲み比べスポットをご紹介します。
美味しい日本酒を飲むのならやはり現地で飲むのが一番です!
京都に訪れた際にはぜひ足を運んでみてください。
1. 京都酒蔵館
京都府各地の日本酒が一度に飲み比べできる日本酒専門店です。
目玉商品は「十五蔵の飲み比べセット」!
飲み比べセットは2種類あり、伏見を中心とした京都南部と、丹後と宮津などを含む京都北部から選ぶことができます。
飲み比べセットにはしっかりとお酒の解説メニューが付いていますので、酒蔵の名前や産地、日本酒度、お店からのコメントなどを見ながら日本酒を楽しめます。
15種類も飲み比べはできないという方は「3種の飲み比べセット」もありますのでそちらがおすすめです。
京都市の中心部に位置するお店ですのでアクセスは良好。日本酒好きが京都を観光する際には絶対に外せないスポットです!
基本情報
営業時間:
火~金 15:00~24:00(L.O23:30)
土 12:00~24:00(L.O23:30)
日.祝 12:00~22:30(L.O22:00)
定休日:月曜日
住所:京都市下京区仏光寺通室町東入ル釘隠町236 寅ビル1階
TEL:075-354-5353
公式HP:https://kyotosakagurakan.amebaownd.com/
2. 伏水酒蔵小路
京都一番の酒どころの伏見にある、伏見のお酒と多種多様な料理の組み合わせを楽しめるお店です。
ここで飲めるのは伏見の18の酒蔵の日本酒。メニューには約120種を超える銘柄が用意されており、1杯あたり70mlの小容量なので多くの種類を飲み比べすることが可能です。
一番人気は「十八蔵のきき酒セット」で、18蔵の代表銘柄を贅沢にも一度に楽しむことができます。
また、店内は屋台村を思わせる作りとなっており、和食店や寿司、イタリアン、鉄板焼きなどバラエティ豊かな飲食店があります。
普段はなかなかできない食事と日本酒の組み合わせをすることができるので、日本酒と料理のペアリングを楽しみたい方にぜひオススメなスポットです!
基本情報
営業時間:11:30〜23:00
定休日:火曜日
住所:京都市伏見区平野町82番地2
TEL:075-601-2430
公式HP:http://www.fushimi-sake-village.com/
まとめ
京都の歴史は日本酒の歴史とも呼ばれています。
全国でも有数の酒どころとして栄えてきた伏見の酒蔵や、昔ながらの小規模生産を続ける丹後の酒蔵など、日本の古都・京都には様々な日本酒が存在します。
京都の日本酒を飲む際には、歴史に思いを馳せてロマンを感じながらぜひ飲んで見てください!
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