ジャパニーズウイスキーとは?種類、おすすめのジャパニーズウイスキーまで徹底解説!

2020/10/03
ウイスキー

世界の5大ウイスキーの1つであるジャパニーズウイスキー。

人気のため、銘柄によっては、品薄や終売が相次いでいますね。

今回は、そんなジャパニーズウイスキーの定義や歴史から、日本各地の蒸留所、おすすめのジャパニーズウイスキーまでご紹介します。

記事の執筆者

穂園 雅志

・ウイスキー文化研究所認定 ウイスキープロフェッショナル

あるバーで偶然飲んだラフロイグからウイスキーにハマって早数年。日本国内の蒸留所を巡ったり、日夜バーでウイスキーを飲んでいます。飲み手の立場からウイスキーの良さやお勧めを伝えていきたいと考えて日々勉強しています。 アイラウイスキー好きで1番好きな蒸留所はブルックラディ。 Twitter:@masashi_islay

ジャパニーズウイスキーとは

ジャパニーズウイスキーは日本国内で製造されたウイスキーの総称です。

ただし、スコッチやアイリッシュと違い、必ずしも「生産」に関しては日本で行われていない場合でもジャパニーズウイスキーと呼ばれることがあります。

 

ジャパニーズウイスキーの条件

①発芽させた穀類及び水を原料とし、糖化させて発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの

②発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させ、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの

③上記①②の酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素または水を加えたもの。
ただし①②の酒類の総量が、その酒類すべての10%以上のものに限る

④蒸留の流出時アルコール度数が95%未満であること

⑤上記①②の酒類において、しらかばの炭、その他政令で定めるもので濾したものは除く

⑥アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたものは除く

 

定義は定まっていない!?

一般的には①がモルトウイスキー、②がグレーンウイスキー、③がブレンデッドウイスキーと解釈できます。

しか、原料や蒸留器、樽熟成年数、生産場所、瓶詰時の最低アルコール度数に関する規定はありません。

酒税法により上記の規定はありますが、あくまで課税を目的とした規定になります。

原酒混和率が10%でほとんどがスピリッツといったような商品でも③の規定により「ジャパニーズウイスキー」と名乗れてしまうのが現状。

そのため、数年前より日本洋酒酒造組合やウイスキー文化研究所を中心に新たにジャパニーズウイスキーの定義を制定しようといった動きも出ています。

 

ジャパニーズウイスキーの歴史

ジャパニーズウイスキーは1923年、寿屋(現サントリー)により山崎蒸溜所が建設されたのが始まりと言われています。

 

日本のウイスキーの父「竹鶴政孝」

連続テレビ小説「マッサン」でご存じの方は多いでしょう。

その竹鶴政孝がスコットランドに留学。

ロングモーン蒸留所とヘーゼルバーン蒸留所にて、スコットランドの伝統的なウイスキーの製法を学んで持ち帰ってきました。

ジャパニーズウイスキーでスコッチに近い製法が主に用いられているのは、竹鶴政孝が残した影響があります。

 

2023年は節目の年

1923年の山崎蒸溜所開設から100年の2023年が、ジャパニーズウイスキー100周年ともいうべき年になります。

それまでに定義を確立させようという動きもあり、さらなる盛り上がりに期待できます

2025年の大阪万博ではジャパニーズウイスキーで海外の方をおもてなしできれば素敵ですね。

 

原酒不足による品薄

冬の時代

1980年代から90年代にかけ、ウイスキー冬の時代と言われる売上の落ち込みがあり、各社とも生産量を減らした時代がありました。

 

需要増による価格高騰

しかし、2010年代に入ってから朝の連続テレビ小説「マッサン」放映や、ハイボールブームをはじめとした急激なウイスキー需要の増加。

原酒が足りなくなり、終売や品薄が相次いでいます。

山崎や白州、余市などの有名シングルモルトウイスキー年数物で価格の高騰や転売が増えているのはそのためです。

 

いつ供給が追いつく?

各社とも増産体制を整え生産していますが、ウイスキーは増産したからといってすぐに販売できるわけではありません。

最低でも3年以上の熟成が必要になりますし、3年以上経っても満足いく出来になるまで製品化はされないでしょう。

2015年前後にサントリー、ニッカ共に生産設備を増強。

ジャパニーズウイスキー100周年とも言える2023年には、照準を合わせていると考えられます。

海外での評価

今やジャパニーズウイスキーは、世界の5大ウイスキーの一つに数えられ、主要な賞を総なめにしています。

2020年の「ワールド・ウイスキー・アワード(以下WWA)」では、白州25年が「ワールドベスト・シングルモルトウイスキー」を受賞。

ブレンデッドウイスキーリミテッド部門ではイチローズモルト&グレーン リミテッドエディション2020、グレーンウイスキー部門では富士30年がそれぞれ受賞。

ジャパニーズウイスキーの世界からの評価の証明と言えます。

 

日本の大手メーカー&クラフト蒸留所

サントリースピリッツ


山崎蒸溜所、白州蒸留所、知多蒸留所と3つの蒸留所を国内に所有。

モルト、グレーンと多彩な原酒を作り分けることで、様々なブレンドが生み出されます。

主力商品は山崎や白州のシングルモルトはもちろん、響や角瓶など数えきれないほど。

海外にも多数蒸溜所を所有し、日本のウイスキー業界を牽引。

 

ニッカウヰスキー

竹鶴政孝が創設したニッカウヰスキー。

余市蒸溜所、宮城峡蒸留所と2つの蒸留所を所有。

余市蒸溜所では石炭直火焚き蒸留を行っており、スコットランドでもあまり見られなくなった伝統的な製造法を踏襲しています。

冬の余市蒸留所は絶景なので1度見学をお勧めします。

 

キリンディスティラリー


富士御殿場蒸溜所を所有。

モルトウイスキーとグレーンウイスキーを同時に製造する蒸溜所として設立されました。

主力商品である富士山麓シグネチャーブレンドや陸など、瓶詰時のアルコール度数が50度と高いのが特徴。

グレーンの穀物の甘みに加え高いアルコール度数で飲み応えが感じられます。

 

本坊酒造

信州マルス蒸溜所、マルス津貫蒸溜所の2つの蒸留所を所有しています。

本坊酒造の信州マルス蒸留所の設計に関わったのは、摂津酒造時代に竹鶴政孝の上司であった岩井喜一郎。

2016年には鹿児島・津貫に蒸溜所を新設。

まったく違った気候で造られたウイスキーがブレンドされてどういった商品が生まれるのかが楽しみです。

 

ベンチャーウイスキー 秩父蒸溜所


イチローズモルトといえば聞いたことがある方も多いかと思います。

飛ぶ鳥を落とす勢いの秩父蒸溜所。

地元産大麦を使用したり、クーパレッジ(樽工場)を自前で所有してミズナラ樽を製造するなどの試みも行われています。

世界のオークションで異常な価格で落札されたり、国内でも品薄でプレミア続きで大人気です。

 

長濱浪漫ビール 長濱蒸溜所


地ビールを長く作っていた長濱浪漫ビールが2016年に開設した長濱蒸溜所。

発酵行程にはビール作りと同じウォッシュバックを使用していて、まさにクラフトの手作り感に溢れています。

「AMAHAGAN」というウイスキーは、長濱蒸溜所所有の海外モルト原酒と長濱蒸溜の原酒をブレンドした商品です。

今年5月に3年熟成した初のシングルモルトが発売となりました。

今後も様々な商品の発売が予定され、数年後に向けて一押しの蒸溜所です。

 

堅展実業 厚岸蒸留所

日本でアイラウイスキーを作るというコンセプトとのことで、アイラ島に似た環境を求めてこの厚岸の地が選ばれたようです。

海沿いに立地していて冷涼湿潤、既に発売された製品にも潮の香りや海の要素が感じられます。

700mlフルボトルのシングルモルト発売も間近とのことなので期待!

 

若鶴酒造 三郎丸蒸溜所


2016年にフルリニューアルされ、新たな蒸溜所が完成しました。

世界初の鋳造蒸留器「ZEMON」が有名。

ヘビリーピートで仕込んでいて、発売されているニューメイクやハイボールには強いスモーキーさがありました。

特にハイボールはアードベッグと近い味わい。

今後のシングルモルトに期待です。

 

木内酒造 八郷蒸溜所

クラフトビールで有名な常陸野ネストビールを製造しているのが木内酒造。

2015年からウイスキー製造を開始しました。

米原料のグレーンウイスキーなど新たな試みにもチャレンジしています。

常陸野ネストビールは世界中での評価も高く素晴らしい美味しさですので、今後発売されるシングルモルトウイスキーにもかなり期待ができます。

 

黒木本店 尾鈴山蒸溜所


麦焼酎「百年の孤独」を製造している黒木本店が設立した尾鈴山蒸溜所。

百年の孤独は樽熟成の麦焼酎ですし、熟成のノウハウもあると考えられます。

百年の孤独自体がウイスキーっぽさも感じられる焼酎ですし、それを活かした素晴らしいウイスキーの製造が期待できます。

 

ジャパニーズウイスキーの種類

モルトウイスキー

大麦麦芽のみを使用し、インフュージョン(抽出)式で糖化、発酵。

単式蒸留器で2回蒸留を行います。

スコッチのシングルモルトとほとんど同じ製法です。

単式蒸留では原料特有の特徴が残り、独特なクセがあるのが特徴です。

シングルモルトウイスキーとしては山崎、宮城峡、白州、余市などが有名です。

 

グレーンウイスキー

トウモロコシや小麦、大麦麦芽などの穀類を原料に、デコクション(蒸煮)式で糖化、発酵、連続式蒸留器で蒸留。

連続式蒸留器で蒸留されると、不純物が取り除かれすっきりと飲みやすいのが特徴です。

シングルグレーンとして製品化されているのは知多、富士などがあります。

 

ブレンデッドウイスキー

上記モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混和した製品です。

様々なウイスキーをブレンドし、バランスのとれた味や香りが特徴。

ジャパニーズウイスキーの場合は、90%まで他のスピリッツを混ぜたものもそう呼ばれます。

主な製品としてはサントリー角瓶、響、ブラックニッカなどがあります。

 

注意点

現在の規定ですと海外輸入のバルク原酒を使用して残るほとんどがスピリッツ。

それらしい名前をつけるだけでもジャパニーズのブレンデッドウイスキーと名乗れてしまいます。

消費者側にも見抜く目が必要です。

 

おすすめのジャパニーズウイスキー10選

フロム・ザ・バレル

フロム・ザ・バレル

酒類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」で2016年に金賞を受賞したジャパニーズウイスキー。

ブレンド後に再度熟成(マリッジ)することでより馴染んで深みがある味わいになっています。

余市のピーティーさと宮城峡の華やかさ、ニッカウヰスキーの良さがすべて詰め込まれています。

この価格帯でこの味わいは異常とも言えますし、最強コスパのジャパニーズウイスキーです。

 

ブラックニッカ ディープブレンド

ブラックニッカ ディープブレンド

ニッカのフラッグシップ製品のブラックニッカシリーズからはこちらを紹介。

安価ですがバランスが取れ、コクや重厚感も感じられます。

スモーキーさや苦みも感じるので好みは分かれるかと思いますが、この価格帯では圧倒的に味わい深いウイスキーです。

 

響 JAPANESE HARMONY

サントリーのブレンデッドウイスキーの代表格である響。

年数物は入手困難でプレミアもついていますが、こちらは比較的手に入れやすいです。
とてもバランスが良く飲みやすいです。

ハイボールに使われることも多いですが、ウイスキー本来の樽香などふんだんに感じられるのでストレートかロックがお勧めです。

 

碧-Ao-

五大ウイスキーすべてをブレンドしたワールドウイスキー。

サントリーが所有する蒸溜所(アードモア、グレンギリー、クーリー、ジムビーム、アルバータ、白州、山崎)からブレンドしています。

個人的にはカナディアンのスムースさが強く出ているように感じました。

そのためとても飲みやすいです。ハイボールが向いてます。

 

AMAHAGAN Edition No.3

長濱蒸溜所の現在の主力商品「AMAHAGAN」。

No.3はミズナラ樽でウッドフィニッシュをかけています。

世界的なウイスキーのコンペティション「ワールド ウイスキー アワード」にてジャパニーズ ブレンデッドモルト ノンエイジ部門の最高賞(カテゴリーウィナー)を受賞しました。

長濱特有のモルトの甘み、ブラッドオレンジなどの芳醇な果実。

ミズナラ由来の香木の香りもしっかりと感じられ、AMAHAGANシリーズでは間違いなく最高傑作と感じます。

これを気に入ったらぜひ他のAMAHAGANも飲んでみてください。

若さは否めない部分もありますが、長濱のポテンシャルを間違いなく感じることができます。

 

岳樺

本坊酒造の製品からはこちらを紹介。

北海道限定発売ですが、通販では入手が可能です。

ピーテッド原酒を使っていると思われるスモーキーさがありますが、ハイランドっぽいフルーティーさや軽やかさもあります。

すっきり飲めて飲みごたえもあります。

 

富士山麓 シグネチャーブレンド

富士山麓 シグネチャーブレンド

終売してしまった富士山麓樽熟原酒50の上位商品。

グレーン特有の濃厚な穀物の甘みがありますが、贅沢にモルトも使っていると思われるフルーティーさもあります。

とても濃厚な味わいなのでそのままストレートで味わっていただきたいです。

 

富士山麓樽熟原酒50の後継に位置づけられるようなお手頃なブレンデッドウイスキー。

グレーンが強めに感じます。

穀物様の甘さを強く感じ、スパイシーさやアルコール感も強く、厚みのある味わいです。

モルトっぽさはそこまで感じ取ることはできませんでしたが、この価格帯としては飲み応えもあります。

ハイボール向きです。

 

イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル

イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル

イチローズモルトシリーズの中では1番手に入れやすいのがこちら。

ワールドブレンドなので海外原酒も使用されていると思われますが、秩父の原酒が持つ強い香木の香りも感じることができます。

甘みよりはスパイシーさがありますが、ハイボールにすると、チョコレートの香味も出てきます。

 

MOON GROW 10年

三郎丸の若鶴酒造からのブレンデッドウイスキーです。

旧蒸溜設備で製造された原酒を使用していると思われますが、三郎丸蒸溜所のポテンシャルを感じられる味です。

自然な甘さのなかにほんのり香るスモーキーさがあり、ハイボールにおすすめです。

 

ジャパニーズウイスキーの飲み方

ハイボール


日本のウイスキー人気の火付け役になったのは、やはりハイボールブーム。

この飲み方は外せません。

高価であったり、味が複雑なウイスキーはそのまま味わったほうがいいと思いますが、お手頃価格のウイスキーはハイボールにすると美味しくなる場合もあります。

 

ストレート


どのウイスキーでもやはり1度はストレートで味わっていただきたいです。

生産者が意図した味と香味をそのまま感じましょう。

 

ロック

そのウイスキー本来の味や香りを感じたいけどストレートではアルコール度数が高すぎるという方はロックで。

最初はウイスキー自体の香りを感じられ、徐々に氷が溶けて味わいを変化させてくれます。

水割りよりも味は薄まりませんし、ロックもおすすめです。

 

さいごに

一言で「ジャパニーズウイスキー」と言っても、本文で記載した通りで明確な定義もなく、名前だけで飲まれている部分も否めません

明確な定義が決まり、ご紹介した各クラフト蒸留所からのシングルモルトが出揃ってからはさらなるジャパニーズウイスキーの発展が見込まれます。

今は消費者側にも取捨選択の目が必要ですが、この記事が少しでも読者の方のジャパニーズウイスキー選びのお役に立てれば幸いです。

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