最近、新しいカテゴリーのワインが話題です。その名も「生ワイン」。まだご存知ない方もいるかもしれません。
そもそもワインが「生」とは、どういうことでしょう。
この記事では、生ワインの特徴や選び方、おすすめの生ワイン10選をご紹介していきます。
生ワインとは
日本で生まれた言葉
生ワインについて、ワイン業界で明確な定義があるわけではありません。
いくつかの日本の生産者が独自に自らの商品につけている呼び名です。
生ワインの特徴
大まかに言うと、生ワインと呼ばれているものは次のようなワインです。
・火入れ殺菌しない
・酸化防止剤や保存料を使わない
ろ過しない、または火入れ殺菌しないだけでも生ワインとして販売されている商品もあります。いずれにしても、ぶどう本来のフレッシュな味わいを生かしたワインという点が共通しています。
生ワインの選び方
産地で選ぶ
日本で生ワインと言われるワインは日本で造られています。日本の代表的な生ワインの産地を見ていきましょう。
やさしい味わいの山梨県
山梨県は日本のワイン造り発祥の地であり、日本最大のワイン産地。
中でもぶどう栽培の中心地、甲府盆地の気候は、ワイン用のぶどう栽培にぴったりです。寒暖差が大きく、日照量が多く、降雨量が少ないので、良質なぶどうが育ちます。
山梨県産の生ワインでは、日本固有の品種、甲州やマスカット・ベーリーAが使われています。
山梨県のワインは、長い歴史に裏付けられていて、安定したクオリティと言えます。和食全般に合う、やさしい味わいが山梨県のワインの特徴です。
甘い香りの長野県
長野県は、日本では山梨県に次いで大きなワイン産地です。
日本で初めて原産地呼称管理制度を導入した県でもあります。(原産地呼称制度とは、特定の地域に根ざした原産地名を認定し、保護する制度です)。
長野県のワイン産地はすべて盆地気候です。山梨県同様に寒暖差が大きく、降水量が少ない気候で、ぶどう栽培に適しています。
長野県産の生ワインには、ナイアガラやコンコードなどの品種が使われています。これらの品種は甘い香りが特徴なので、甘いワインを好きな方におすすめです。
すっきりとした酸味の北海道
北海道は日本では3番目に大きなワイン産地。
他の地域に比べて広大な土地が確保できるため、近年非常にワイナリー数が増えています。また、ワイン用の原料ぶどうを自社畑で造る「ドメーヌ」が本州に比べて多いことも特徴です。
冷涼な気候のため、ドイツ系の白ぶどう品種(ケルナー、ミュラー・トゥルガウ、バッカスなど)が多く栽培されていて、生ワインにもこれらの品種が使われています。
北海道のワインは酸味のきいたものが多いので、酸味のあるワインが好きな方におすすめです。
ぶどう品種で選ぶ
生ワインには、白ワイン、赤ワインとあり、品種もさまざまです。まずはそれぞれの代表品種をおさえて選びましょう。
繊細な味わいの白 甲州
甲州は100年以上の歴史を持つとされている日本固有の白ぶどう品種で、最もワイン向けに栽培されている品種です。主に山梨県で栽培されています。
青りんごや梨のような果実味、ほんのりとした苦味があります。少し日本酒を思わせるような味わいです。酸味がおだやかでやさしい風味なので、だしを使った和食と相性がいいです。
甘い香りの白 ナイアガラ
ナイアガラはアメリカ合衆国原産の白ぶどう品種です。コンコードとキャサディと言う品種の交配種で、主に北海道、長野県、山形県で栽培されています。
フォクシーフレーバーと言われる甘い香りが特徴です。
イチゴのような味わいの赤 マスカット・ベーリーA
甲州に次いで2番目にワイン用に栽培されている品種です。日本の新潟県が原産地の黒ぶどう品種です。果皮が薄いため、色調の明るいワインができます。
イチゴキャンディのようなチャーミングな香りとしっかりした酸味があり、渋みはおだやかです。
渋みのおだやかな赤 コンコード
コンコードは、アメリカ合衆国原産の黒ぶどう品種です。主な産地は長野県や山形県です。この品種もナイアガラと同様にフォクシーフレーバーと言われる、グレープキャンディのような香りが特徴です。
コンコードからは渋みのおだやかな、フルーティな赤ワインが造られます。
価格で選ぶ
生ワインの多くは1,000円台で販売されています。ワインの中では比較的手頃なので、普段の食事と合わせて試しやすいと言えるでしょう。
おすすめの生ワイン10選
白の生ワインベスト5
5位
北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン プレミアム 白
品種: ミュラー・トゥルガウ、デラウェア
タイプ: やや辛口
チーズやジャガイモと合わせて
ドイツ系品種のミュラー・トゥルガウとデラウェアをブレンドしたワインです。熱を加えずに瓶詰めしています。
青リンゴやマスカットのようなフルーティさと、さわやかな酸味があります。
チーズやジャガイモを使った料理と相性がいいでしょう。
4位
生ワイン 無ろ過 白
品種: 甲州
タイプ: 辛口
素材の味を生かした和食と共に
山梨県の甲州を使った生ワイン。ろ過をせずに瓶詰めしました。甲州はそもそもオリと共に熟成させるのが一般的ですから、無ろ過は他の品種以上になじむスタイルかもしれません。
繊細な甲州の味わいがフレッシュな状態で楽しめます。
素材の味を生かした風呂吹き大根、野菜の天ぷら、アサリの酒蒸しなどと合わせてお楽しみください。
3位
デラウェアにごり
品種: デラウェア
タイプ: やや甘口
レアチーズケーキと一緒に
山梨県で甲州より一足早く収穫されるデラウェアを使った無ろ過の生ワイン。同じ山梨県の甲州に比べると、酸味がしっかりしています。
アルコールが10%と低めで甘口なので、お酒の苦手な方でも飲みやすい味わいです。
レアチーズケーキなどと合わせるとおいしいです。
2位
無添加生ワイン ほいりげ
品種: セイベル
タイプ: やや甘口
かんきつ系フルーツのフレッシュさ
セイベルという品種を使った山形県のワインです。「ホイリゲ」はドイツ語で「新酒」という意味です。できたてのワインを酸化防止剤無添加で瓶詰めしています。酵母が生きている状態なので、微発泡です。
やや甘口ですが、さわやかな酸味があるのでスッキリした味わいです。アルコールが7%と低めなので、お酒の苦手な方でも飲みやすいでしょう。
かんきつ系のシャーベットなどと合わせてデザートに楽しむのがおすすめです。
1位
林ワイナリー 五一わいん ヴァンブーリュ にごり
品種: ナイヤガラ
タイプ: 甘口
年に一度しか味わえない
酸化防止剤無添加で、ろ過や加熱殺菌をしないワインです。元は新酒として工場の人しか飲めなかった特別なワインでした。現在は予約限定で1年に1度だけ味わえます。
酵母が生きているため、微炭酸が生じています。マスカットのような果実味と酸味の上に、微炭酸が感じられ、とてもさわやかです。
フルーツを練りこんだチーズ、ハチミツをかけたブルーチーズなどと合わせるとおいしいでしょう。
白のおすすめ生ワイン比較表
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商品名 | 林ワイナリー 五一わいん ヴァンブーリュ にごり | 無添加生ワイン ほいりげ | デラウェアにごり | 生ワイン 無ろ過 白 | 北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン プレミアム 白 |
詳細 | 産地: 長野県 品種: ナイヤガラ タイプ: 甘口 | 産地: 山形県 品種: セイベル タイプ: やや甘口 | 産地: 山梨県 品種: デラウェア タイプ: やや甘口 | 産地: 山梨県 品種: 甲州 タイプ: 辛口 | 産地: 北海道 品種: ミュラー・トゥルガウ、デラウェア タイプ: やや辛口 |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
赤の生ワインベスト5
5位
北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン 赤
品種: キャンベル・アーリー
タイプ: やや甘口
イチゴのデザートと合わせて
アメリカで開発された黒ぶどう、キャンベル・アーリーで造られています。キャンベル・アーリーは、日本で明治時代に導入された歴史ある品種です。食用でおなじみの巨峰もこの品種がルーツです。このワインは熱処理をしないで瓶詰めしています。
甘口ですがイチゴのような酸味も適度にあり、フルーティです。チーズケーキやイチゴを使ったデザートと一緒に楽しむのがおすすめです。
4位
新 【限定流通・要冷蔵】生ワイン赤
品種: コンコード
タイプ: やや辛口
煮物と楽しみたい
国産のコンコードと米国のコンコードをブレンドしたワイン。醸造後、ろ過をして、熱処理をせずに瓶詰めしています。
コンコード種特有の甘やかな香り、コクのある味わいを楽しめます。
相性がいいのは、しょうゆベースの煮物などです。
3位
北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン プレミアム 赤
品種: ツヴァイゲルト、セイベル13053
タイプ: 辛口
ジンギスカンと合わせて
北海道で栽培されたツヴァイゲルトとセイベル13053という品種のブレンドです。いずれも寒さに強い品種で、日本では北海道が主産地です。
熱処理をしないで瓶詰めをしたワインです。
酸味と果実味のバランスが良い辛口の赤ワインです。北海道の赤ワインですから、ジンギスカンが相性抜群です。
2位
生ワイン 無ろ過 赤
品種: マスカットベーリーA
タイプ: やや辛口
焼き鳥やうなぎと一緒に
山梨県産のマスカット・ベーリーAを使った無ろ過のワインです。沈殿物がありますが、その分果実の凝縮感を味わえます。
タレの焼き鳥や、うなぎの蒲焼きなどと合わせるのがおすすめです。
1位
井筒ワイン 無添加生にごりワイン
品種: コンコード
タイプ: やや甘口
季節の果物と楽しむ
井筒ワインは85年の歴史を持つワイナリーです。長野県桔梗ヶ原の風土を生かしたワイン造りを長くおこなっています。
キャンディのような甘い風味のある品種、コンコードを使ったワインです。
発酵が終わる前に瓶詰めをしているので、ワインの中に酵母が残り、少し発泡しています。酸化防止剤無添加です。冷たく冷やして、季節の果物などと一緒に楽しむとおいしいでしょう。
赤のおすすめ生ワイン比較表
商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
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商品名 | 井筒ワイン 無添加生にごりワイン | 生ワイン 無ろ過 赤 | 北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン プレミアム 赤 | 新 【限定流通・要冷蔵】生ワイン赤 | 北海道ワイン 日本ぶどうの生ワイン 赤 |
詳細 | 産地: 長野県 品種: コンコード タイプ: やや甘口 | 産地: 山梨県 品種: マスカットベーリーA タイプ: やや辛口 | 産地: 北海道 品種: ツヴァイゲルト、セイベル13053 タイプ: 辛口 | 産地: 山梨県 品種: コンコード タイプ: やや辛口 | 産地: 北海道 品種: キャンベル・アーリー タイプ: やや甘口 |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
生ワインまとめ
このように、生ワインはぶどう本来のフレッシュな味わいを生かしたワインです。そして、その「デリケートさ」のため、地産地消が前提になっています。船便での長距離輸送を想定していません。
これは、従来のワインとはまったく異なるもの、とも言えます。
念のため補足すると、通常ワインに使用されている酸化防止剤については、食品衛生法で使用基準が定められています。そのため、ワインに酸化防止剤が使用されていても、人体に影響を及ぼすほどの量ではありません。それは日本のワインでも、輸入ワインでも同様です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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