【ソムリエ監修】シャトー・ラグランジュを徹底解説!歴史、こだわり、種類をご紹介!

2019/06/11
フランス

今回ご紹介するシャトー・ラグランジュ( Chateau Lagrange )は、ボルドーの格付けでグランクリュ3級に位置する名シャトーですが、経営しているのは日本の企業なのです。

この記事では、シャトー・ラグランジュの歴史、こだわり、ラインナップをご紹介します。

記事の監修者

杉浦 直樹

J.S.A認定ソムリエ

歌舞伎役者として人間国宝 中村雀右衛門に師事。15年ほど主に歌舞伎座に舞台出演。 その後銀座のクラブマネージャーを経て、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。 現在は支配人兼ソムリエとして、ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒を専門としたフレンチレストランを経営する。


シャトー・ラグランジュとは

シャトー・ラグランジュはボルドーのメドック地区サンジュリアン村にあるシャトーです。

その歴史は古く、1600年代にはワインを醸造していたことが古地図に残されています。

1800年代にはフランス王朝の閣僚がオーナーとなり、1855年のメドック格付けでグランクリュ3級に格付けされるなど、豊かで長い歴史を誇るシャトーです。

シャトー・ラグランジュの歴史

経営難にあえぐシャトーをサントリーが買収

1900年代に入ると、世界恐慌や第一次大戦の影響もあり、次第に経営が悪化していきます。畑が切り売りされ、ブドウの質が悪化。

オーナーも次々と入れ替わるので、ワイン造りのポリシーがゆらぎ、品質も安定しませんでした。

1983年、シャトー・ラグランジュに転機がおとずれます。なんと、日本のサントリーがシャトーを買収したのです。

欧米以外の企業がボルドーのワイナリー経営に進出するのは、歴史上初めてのことでした。

 

ボルドーの一流職人たちとの二人三脚

サントリーが新しいオーナーとなったことで、経営陣が一新されます。

顧問としてワイン造りのすべてに目を光らせる要職には、ボルドー大学の醸造研究所所長を務め、シャトー・マルゴーの再生請負人として名高いエミール・ペイノー博士を迎えました。

社長にはペイノー氏の門下生であるマルセル・デュカス氏、副会長には同じくペイリー氏門下であるサントリーの鈴田健二氏が就任。

資本注入と経営はサントリーが行うものの、ブドウとワイン造りについてはボルドーのベテラン職人が先頭に立つ。

この柔軟な協力体制をとることで、「よそもの」を嫌うボルドーの環境にもすんなり馴染むことができたのだといえます。

 

ブドウの木の植え替えから始まったシャトーの一大改革

シャトー・ラグランジュの改革は、朽ちはてたブドウの木を植え替えることから始まりました。

もともとラグランジュの土壌は「メドックの上位10シャトーにも引けを取らない」とまで言われていましたが、植え替えから20年を経て2000年代に入り、ようやくシャトーものにふさわしい「使える畑」へと再生を果たしました。

さらには醸造設備から城館、庭園に至るまで、膨大な時間とお金を投入してシャトーのすべてに手が加えられました。

 

復活から創造のステージへ

2005年に2代目副会長に就任した椎名敬一氏は、「これからのシャトー・ラグランジュは、復活から創造のステージに入る」と宣言しています。

日本企業の潤沢な資本、再生を果たしたブドウ畑と醸造設備、そしてボルドートップクラスの職人たち。これらが三位一体となれば、グランクリュ3級に格付けされたかつての名声を完全に取り戻す日も、そう遠くはありません。

シャトー・ラグランジュのこだわり

シャトー・ラグランジュのワイン造りの哲学は「自然との共生」です。

・農薬や化学肥料は極力使わない
・畑にあえて草を生やして、土の水分量を減らす
・畑を100以上に区分し、熟し具合に応じて収穫時期を変える

といった手法には、自然との共生を実践しようとする考え方がよく表れています。

とはいえ決して自然一辺倒ではなく、科学の力も活用するのがこのシャトーの優れているところ。たとえば収穫時には手作業の選別に加え、光センサーで未熟な実を取り除くよう徹底しています。

こうしたきめ細かなワイン造りによって、「果実味があり、エレガントで、誰が飲んでも素直に美味しいと感じられるワイン」が出来上がるのです。

作付面積は、サンジュリアン118ヘクタール(そのうち白が4ヘクタール)、オー・メドック25ヘクタール、合計143ヘクタール。これはメドック格付けシャトーのなかで最大規模です。

シャトー・ラグランジュの種類

シャトー・ラグランジュのラインナップは、赤ワインが3種類、白ワインが2種類です。

赤ワインは3段階のクラスにわかれています。

ファーストワインである「シャトー・ラグランジュ」、セカンドワインである「レ・フィエフ・ド・ラグランジュ」、サードワイン的位置付けの「ル・オーメドック・ド・ラグランジュ」です。

ただしヴィンテージ(生産年)については別です。ブドウがシャトーもののレベルを満たすようになった2002年以降から選ぶようにしましょう。

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シャトー・ラグランジュのラインナップ

商品画像シャトー ラグランジュレ フィエフ ド ラグランジュレ ザルム ド ラグランジュル オーメドック ド ラグランジュレ フルール デュ ラック
商品名シャトー ラグランジュレ フィエフ ド ラグランジュレ ザルム ド ラグランジュル オーメドック ド ラグランジュレ フルール デュ ラック
詳細果実 カベルネソーヴィニヨン原産国名 フラ度数 11 %
果実  ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル
度数 13 %
ミディアムボディ
果実 カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ30%
果実 ソーヴィニヨンブラン、ソーヴィニヨングリ、セミヨン
商品リンク詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る

シャトー・ラグランジュ

シャトー ラグランジュ

復活を遂げた名門シャトーを象徴する逸品

ファーストラベルである「シャトー ラグランジュ」です。

シャトー・マルゴーの再生と並び称されるラグランジュ再興。その情熱がすべてこの一本に込められています。

値段もヴィンテージによってはセカンドラベルの倍以上しますがその価値は十分。赤・黒・紫のベリーやスパイスの香り、余韻たっぷりに広がる果実味、そして長期熟成に耐えうるカベルネ・ソーヴィニヨンのしっかりとしたタンニンを堪能できます。

メドックの王道を行く格付けワインを手軽な値段で楽しみたい。そんな方にぜひおすすめしたい一本です。

 

レ・フィエフ・ド・ラグランジュ

レ フィエフ ド ラグランジュ

格付けシャトーの名に恥じないセカンドラベル

第2位はシャトーのセカンドワインである「レ フィエフ ド ラグランジュ」です。

1985年から始まったブドウの植え替えと土壌改良を経て、素晴らしいブドウを安定して収穫できるようになったラグランジュの場合、セカンドラベルとはいえ決して「ファーストの劣化版」ではありません。

ボディはファーストよりも気持ち軽くなりますが、熟成を待たずとも濃縮された果実味が楽しめる、しなやかさと深みを兼ね備えたワインです。

赤身のステーキや蒲焼きのようなこってりとした味付けの料理によく合うので、ぜひ試してみてください。

 

ル オーメドック ド ラグランジュ

ル オーメドック ド ラグランジュ

詳細情報
度数 13 %
ミディアムボディ
果実 カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ30%

新ブランドの象徴となるサードワイン

シャトー・ラグランジュが新たなブランドの開拓を求めて購入したオー・メドック地区の畑。ここで収穫するブドウで醸造するのが「ル オーメドック ド ラグランジュ」です。

ランクとしては「レ フィエフ ド ラグランジュ」の下に位置しており、いわゆるサードワイン的ブランドといえます。

優れた果実味と、やわらかでエレガントな口当たりが特徴です。ファースト、セカンドラベルとは違って、熟成を待つよりも新鮮なうちに飲み切ることで個性が活かされるワインだといえます。

 

レ ザルム ド ラグランジュ

レ ザルム ド ラグランジュ

詳細情報
度数 11 %
果実  ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル

ボルドーらしい気品に満ちたラグランジュの白

ラグランジュが所有するサンジュリアンの畑118ヘクタールのうち、白ワイン用ブドウの作付面積はわずか4ヘクタール。その厳選された少量のブドウから造られる白ワインのファーストラベルが、「レ ザルム ド ラグランジュ」です。

使用品種は、ソーヴィニヨン・ブランをメインに、セミヨン、ミュスカデルをブレンドしています。

「レ ザルム」とはシャトーの池に自生している「オランダカイウ」のこと。深みのある高貴な白い花のイメージにふさわしい、気品に満ちたワインです。

「ボルドーの白って飲んだことないけど、どんなワインなの?」そんな疑問を持っている方はぜひこの一本を試してみてはいかがでしょう。

 

レ フルール デュ ラック

レ フルール デュ ラック

詳細情報
果実 ソーヴィニヨンブラン、ソーヴィニヨングリ、セミヨン

白い果実とヴァニラの香りをたたえる「湖の花」

湖の花という意味の「レ フルール デュ ラック」は、第3位で紹介する「レ ザルム ド ラグランジュ」のセカンドにあたるワイン。主要品種であるソーヴィニヨン・ブランのフレッシュな酸味と新鮮な果実味が魅力です。

どっしりとしたボディとコク、そして蜂蜜のような甘みを持つセミヨンをブレンドすることで、爽やかなだけではない落ち着きのある辛口白ワインに仕上がっています。値段も手頃なので、鍋などの庶民的な和食に合わせて楽しむのもいいですね。

 

シャトー・ラグランジュまとめ

サントリーが経営に参画したことで見事復活を遂げたシャトー・ラグランジュですが、畑の植え替えがスタートしてからはまだ30年ほど。50年100年先まで愛されるワインとなるのか、真価が問われるのはまさにこれからです。

私たちもラグランジュのワインを飲み続けて、末長く応援していきたいですね!

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