ペンフォールズのワインは、何と言ってもオーストラリア最高峰のワインと言われるグランジが有名です。ペンフォールズは独自のワイン醸造哲学で、グランジをはじめとする最高品質のワインを製造。世界中の賞賛を集めています。
そこで今回は、ペンフォールズのワインについて詳しくご紹介し、おすすめのラインナップもお伝えしましょう。
目次
ペンフォールズとは
ペンフォールズの起源は1844年、診療所における医療を目的としたワイン造りに始まります。1950年代には消費者の嗜好に沿ったワイン造りに転向し、チーフワインメーカーのマックス・シューバート氏を中心に「グランジ」を生み出しました。
グランジはリリース当初こそ酷評されたものの、その後は高い名声を勝ち取ります。このグランジにより、ペンフォールズはオーストラリア最高峰のワインメーカーとして世界中にその名が知れ渡ることになったのです。
ボルドーやブルゴーニュに代表される偉大なワインが単一畑による醸造であるのに対し、グランジは「さまざまな畑や地域からブドウを寄せ集めてブレンドし、最上のワインを造る」という独自の製法。その年のブドウの出来具合いを最大限に生かしているワイン造りです。
ペンフォールズのワインの特徴
ペンフォールズは南オーストラリアの、バロッサ・ヴァレー、マクラーレン・ヴェイル、クレア・ヴァレー、マギル・エステートという4つの地域のブドウを使っています。
ワイン造りは「マルチ・リージョナル・ブレンド」という考え方を基本に、ひとつの畑だけではなく、複数の畑のブドウを使ってワインを造るという方法で行なっています。
自社で所有する畑の他に、独立したブドウ農家から仕入れたり、農家に畑を貸し出して栽培。畑のグレードなどによって選別したブドウを別々に醸造しています。ワインメーカーたちは、毎日厳密なブラインドテイスティングを実施。そのワインのスタイルに合った最上のブレンドを決めています。
この個性的な方法は、ファーストリリースのあと60年以上に渡って一貫して続けられ、グランジ以外のワインでも同じようなスタイルを保っています。
ラインナップは赤ワインと白ワインがあります。
ペンフォールズの種類とクラス
ペンフォールズのラインナップは赤ワインと白ワインがあります。
赤ワインに使用されるブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー(シラーズ)です。白ワインには、シャルドネ、リースリんグが使われます。
ペンフォールズのワインはクラスごと、4つのシリーズに分かれています。
アイコン&ラグジュアリーシリーズ
グランジを含む最高品質のワインです。
厳選されたブドウのみを使用しています。その量は収穫量のわずか5%程度。
ペンフォールズのワイン造りへの情熱と、熟練した職人技が築き上げた最高峰のワインです。
それぞれの個性が強く、口にすればすぐにペンフォールズのワインと分かるほど。長期熟成のポテンシャルが高いワインばかりです。
グランジ以外のラインナップはシラーズ100%で造られた赤ワイン、シャルドネ100%の白ワインがあり、どれも現代的なワインメイキングを用いて、ブドウの特徴を最大限に引き出した極上の味わいです。
ビンシリーズ
さまざまな畑のブドウをブレンドする独自のスタイルはそのままに、気軽に楽しめるよう造られたカジュアルなワインです。
「BIN」の後にナンバーがつけられていますが、これはシリーズ誕生の当時使われていた樽の管理番号が由来となっているもの。ラインナップは、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、マタロを用いた赤の6本と、シャルドネ1本です。
ペンフォールズのスタイルを継承しながらも、それぞれに個性を持ち、互いに「家系」のような関係性を築いています。
マックスシリーズ
1948年~1975年に初代チーフワインメーカーを務め、「グランジ」の生みの親でもあるマックス・シューバート氏に敬意を表して造られたシリーズです。
シューバート氏の生誕100年目にあたる2016年3月にオーストラリアで発売され、グローバル・リリースされました。
ラインナップはフルボディのシラーズと、辛口のシャルドネの2本。高級感のあるボトルとペンフォールズ伝統のデザインが印象的。マルチ・リージョナル・ブレンドを採用して造られています。
クヌンガ・ヒルシリーズ
クヌンガ・ヒルは、ペンフォールズの所有しているバロッサ・ヴァレーの栽培地の名前。ペンフォールズのワインの入門用と言える位置付けで、価格も2,000円代とリーズナブルなシリーズです。
ラインナップは、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズを使用したミディアムボディ3本と、リースリング、シャルドネを使用した2本。お手ごろながら、ペンフォールズのワイン哲学がしっかり反映されたワインです。
ペンフォールズ アイコン
ペンフォールズ グランジ
ペンフォールズ グランジ
フルボディ
世界の愛好家を魅了
シラーズ主体で造られる、長期熟成型のフルボディです。完熟して凝縮度の高いシラーズを用いることで、世界の偉大なワインの中でもひときわ安定した品質に仕上がっています。
アメリカンオークの新大樽で18カ月間熟成。
新樽のみですべての成分を抽出させることで、タンニンがバランスよく引き出されています。凝縮した香りの広がり、バランスのとれた酸味と、成熟度したタンニンが特徴。
しっかりとしたストラクチャーで、芳醇で豊かな口当たり。深みのあるコクと、ほどよい重厚感が優雅な余韻をもたらします。
ヤッターナ・シャルドネ
ペンフォールズ ヤッターナ・シャルドネ
産地:オーストラリア
品種:シャルドネ
ヤッターナ・シャルドネは、フラッグシップブランドのグランジに匹敵する白ワインを造りたいという思いから生まれました。
かんきつ系果実を煮詰めたようなコクのある味わいです。
ろ過をしていないため、複雑味があります。白身魚のムニエルやホタテのバター焼きなどと相性が良いです。
ペンフォールズ ラグジュアリー
RWTバロッサ・ヴァレー・シラーズ
ペンフォールズ RWTバロッサ・ヴァレー・シラーズ
味わい:フルボディ
産地:オーストラリア
RWTとは、Red Winemaking Trialの略で、「赤ワインづくりのトライアル」という意味です。
RWTは単一の産地のぶどうをフレンチ・オーク樽で熟成させます。
同じペンフォールズのグランジが複数の産地のぶどうをアメリカン・オーク樽で熟成させるのとは対照的です。
RWTは、重厚感のあるグランジに比べ、より軽やかでフレッシュな味わいです。鴨のローストなどと合わせるとおいしいです。
セント・アンリ・シラーズ
ペンフォールズ セント・アンリ・シラーズ
味わい:フルボディ
産地:オーストラリア
品種:シラー、シラーズ
ワインを樽熟成させるとき、新しい樽または小さな樽を使うと樽の香りがしっかりとワインに移り、古い樽または大きな樽を使うと樽の香りはあまりワインに移りません。
セント・アンリは、新しい樽を使わずに熟成をさせます。
そのため、樽由来のバニラやナッツのような風味ではなく、果実本来の風味がより感じられ、繊細な味わいに。ラズベリーやクランベリー、シナモンのような風味が感じられます。熟成したチーズなどと一緒にどうぞ。
ペンフォールズ ビン
ビン407 カベルネ・ソーヴィニヨン
ペンフォールズ カベルネソーヴィニヨン ビン407
果実 カベルネ・ソーヴィニヨン
ワンランク上のフルボディ
ビン407は、1990年がファーストリリース。上質なカベルネ・ソーヴィニヨンの果実味を、さらに広げた仕上がりです。
マクラーレン・ヴェイル、バロッサ・ヴァレー、ローブ、クナワラという4つの産地のブドウをブレンド。フレンチオークとアメリカンオークの樽を使い分けて熟成させています。
濃厚なダークレッドの色調で、ミントやセージ、ローズマリーなどのドライハーブの爽やかな香り。さらにオーク樽の香りが複雑なニュアンスを与えています。
丸みを帯びて溶け込んだタンニンと爽やかな酸味。濃縮された赤系果実の味わいが、長い余韻となって続きます。
ビン311 シャルドネ
ペンフォールズ ビン311 シャルドネ[2016]
果実 シャルドネ
柔らかな酸味と長い余韻
シャルドネ100%の辛口です。柑橘類の果実の香りに、ヘーゼルナッツやビスケット、ブリオッシュのようなニュアンスが隠れています。
澱から生み出された複雑味があり、柔らかい酸味と絡まって、ゆっくりとした余韻を残します。
他のシャルドネとはひと味違った美味しさを堪能できるワインです。
ビン389・カベルネ・シラーズ
ペンフォールズ ビン389・カベルネ・シラーズ
産地:オーストラリア
品種:カベルネソーヴィニヨン51%、シラーズ49%
カジュアルライン、ビンシリーズのカベルネ・ソーヴィニョンとシラーズのブレンドです。
乾燥プルーンのような風味、マスタードやカレー粉のようなスパイシーなニュアンスがあります。和牛のステーキと相性抜群です。
ビン138・シラーズ・グルナッシュ・マタロ
ペンフォールズ ビン138・シラーズ・グルナッシュ・マタロ
カジュアルライン、ビンシリーズのシラーズ、グルナッシュ、マタロのブレンド。
フランスのローヌ地方でよくあるブレンドスタイルです。血のしたたる生肉、チョコレートなどの風味が感じられます。すき焼きなどと合わせるとおいしいです。
カリムナ・ビン28・シラーズ
ペンフォールズ カリムナ・ビン28・シラーズ
産地:オーストラリア、南オーストラリア
品種:シラーズ
カジュアルライン、ビンシリーズのシラーズです。
ラズベリーやチェリー、バニラやミルクチョコレートのような甘い風味、肉汁のような香ばしさが感じられます。
ビーフシチューなどとお楽しみください。
ビン8・カベルネ・シラーズ
ペンフォールズ ビン8・カベルネ・シラーズ
産地:オーストラリア、南オーストラリア
品種:シラーズ、カベルネソーヴィニヨン
同じビンシリーズの389と同様、カベルネ・ソーヴィニョンとシラーズのブレンドですが、こちらのビン8の方がやや青っぽい風味があり軽やかです。
カシス、サワーチェリー、グリーンオリーブのような味わいが感じられます。
ミートソースパスタなどと合わせてお召し上がりください
ビン2・シラーズ・マタロ
ペンフォールズ ビン2・シラーズ・マタロ
産地:オーストラリア、南オーストラリア
品種:シラーズ、マタロ
カジュアルライン、ビンシリーズのシラーズとマタロのブレンドです。
パプリカ、肉、ほんのりとした塩気、ダークチョコレートのような甘苦さが感じられます。
バーベキューなどと合わせ屋外で楽しむとおいしいです。
ペンフォールズ マックス
マックス・シラーズ
ペンフォールズ マックス・シラーズ
フルボディ
芳醇な香りと複雑味
シラーズ100%のフルボディです。アメリカンオークとフレンチオークの旧樽で、12ヶ月間熟成しています。
ベリー系果実のプラムやチェリーの香りに、樽由来のクリーミーなバニラのアロマが立ち上ります。チョコレートと焙煎したコーヒーのニュアンスが口いっぱいに広がり、どっしりとしたタンニンが長い余韻を与えます。
マックス・シャルドネ
ペンフォールズ マックス・シャルドネ
産地:オーストラリア、南オーストラリア
品種:シャルドネ
ペンフォールズの中では中価格帯に位置するマックスシリーズのシャルドネです。
かんきつ類の果実、黄桃のような風味、アーモンドのような香ばしさ、おだやかな酸味が感じられます。
イカのフリッター、天ぷらなどの揚げ物などと相性が良いです。
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル
クヌンガ・ヒル シャルドネ
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル・シャルドネ
味わい 中辛口
果実 シャルドネ
スッキリ飲みやすい
シャルドネ100%のやや辛口です。シトラスやグレープフルーツ、キウイの香りに、樽熟成によるクリーミーなニュアンスが感じられます。キレの良い酸味と溢れるような果実味が調和のとれた味わい。
リーズナブルなのに高い品質で、初めてペンフォールズを試すのには最適な1本です。
クヌンガ・ヒル76・シラーズ・カベルネ
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル76・シラーズ・カベルネ
産地:オーストラリア、南オーストラリア
品種:シラーズ88%、カベルネソーヴィニヨン12%
もっともリーズナブルなシリーズ、クヌンガ・ヒルのシラーズとカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドです。
ラズベリーのような果実味、チョコレート、バニラなどの風味があります。タレの焼き鳥などしょうゆベースの軽めの肉料理とお楽しみください。
クヌンガ・ヒル・オータム・リースリング
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル・オータム・リースリング
味わい:やや辛口
産地:オーストラリア
もっともリーズナブルなシリーズ、クヌンガ・ヒルの白ワイン。
リースリングにトラミナーをブレンドしています。バラのような香り、ライムのような豊かな風味・酸味が食欲を刺激します。白身魚のムニエルなどと相性が良いです。
クヌンガ・ヒル・シラーズ・カベルネ
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル・シラーズ・カベルネ
味わい:ミディアムボディ
産地:オーストラリア
品種:シラーズ、カベルネソーヴィニヨン
もっともリーズナブルなシリーズ、クヌンガ・ヒルのシラーズとカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドです。
先に出てきたクヌンガ・ヒル76よりもチョコレートのような風味がしっかりと感じられます。こちらも、タレの焼き鳥などと合わせるとおいしいです。
クヌンガ・ヒル・カベルネ・ソーヴィニヨン
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル・カベルネ・ソーヴィニヨン
味わい:ミディアムボディ
産地:オーストラリア
品種:カベルネソーヴィニヨン
もっともリーズナブルなシリーズ、クヌンガ・ヒルのカベルネ・ソーヴィニョンです。
カシスやブルーベリーのような果実味、樽由来のバニラのような甘い風味を感じます。とても親しみやすい味わいです。
今飲んでいただいても、2、3年寝かして飲んでいただいてもお楽しみいただけます。牛フィレ肉のステーキなどと合わせてお楽しみください。
クヌンガ・ヒル・シャルドネ
ペンフォールズ クヌンガ・ヒル・シャルドネ
産地:オーストラリア
品種:シャルドネ
もっともリーズナブルなシリーズ、クヌンガ・ヒルのシャルドネです。
グレープフルーツのようなフレッシュな果実味と酸味、樽由来のクリーミーな風味が感じられます。レモンをたっぷりしぼったフライドチキンなどと合わせるとおいしいです。
ペンフォールズのワインまとめ
ペンフォールズのワインをご紹介しました。世界中のコレクターとワイン愛好家を魅了しているグランジは、いつかは飲んでみたい逸品です。
シリーズごとに違った味わいが楽しめるので、まずはリーズナブルなクヌンガ・ヒルシリーズから試してみてはいかがでしょう?
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