ペイ・ナンテはフランスのロワール地方にある地区です。
ミュスカデという白ワインで有名な土地なのですが、実はこのワイン、産地名やブドウ品種名と名前が同じという非常に特殊な存在でもあります。
今回はそんなミュスカデを中心に、ペイ・ナンテの白ワインについて紹介していきます。
目次
ペイ・ナンテとは
ペイ・ナンテはロワール川の下流から河口近くにあるナント市を中心にした地域です。
大西洋に面しており、海洋性気候がブドウ栽培にも大きく影響しています。ちなみに海洋性気候とは、日中の気温変化が少なく、また雨が多く風も強いのが特徴の気候です。こういった気候の中で育ったブドウはミネラルを含みやすくなります。
ペイ・ナンテで造り出されるワインは赤・白・ロゼの3種類ですが、割合的には白が一番多くなっています。造られるワインの中ではムロン・ド・ブルゴーニュ種を主体にしたミュスカデという辛口白ワインの産地として有名です。
ペイ・ナンテの白ワインの特徴
ペイ・ナンテのワイン生産における最大の特徴は、シュール・リーという独特の製法です。
これはワインの澱をあえて取り除かず、次の年の春に上澄みだけを瓶詰する方法になります。そうすることによって澱の中に含まれる旨味や風味を十分に引き出すことができるのです。
シュール・リー法で造られたワインは微発砲性で重厚な味わいと口当たりのいい酸味を持ち、そしてフルーティなアロマを楽しむことができます。特に良質なものはブルゴーニュの白ワインにも似たなめらかな口当たりを持ち、全体的に上品な印象です。
シュール・リー法で造ったワインは産地名同様に「シュール・リー」と表記することが義務付けられているので、探す際はこれを目印にするといいでしょう。
ペイ・ナンテの白ワインの選び方
A.O.Cで選ぶ
フランスワインの中でも最高品質として国が認めたカテゴリーをA.O.Cといいます。
ペイ・ナンテにはこのA.O.Cと認められた地区が11つあり、その中の4つはミュスカデの名を持ちます。
ここでは、そのミュスカデの名を持った4つのA.O.Cそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ミュスカデ
ミュスカデは、A.O.Cの名称であると同時に、ムロン・ド・ブルゴーニュで造られるワインの名前でもあります。ちなみにこのムロン・ド・ブルゴーニュは一般的にはミュスカデと呼ばれているブドウです。
とてもややこしいのですが、A.O.Cの名称、そこで造られるワインの名前、使われているブドウ品種名のすべてが「ミュスカデ」なのです。これは品種名がワインの名前となり、さらにA.O.Cの名称をそのワインから取ったことに由来します。
ロワール川下流域のワイン産地は、ナント周辺地区とアンジュー地区に大別することができ、A.O.Cミュスカデが属するのはナント周辺地区の方です。
このナント周辺地区では程よい酸味を含んだすがすがしい早飲みタイプのワインを造っています。特にA.O.Cミュスカデのワインはムロン・ド・ブルゴーニュの単一品種で、フルーティな香りが特徴です。
ほかのA.O.Cと比べても、品種の味を最もダイレクトに楽しむことができるので、シンプルな味わいが好きな人におすすめできます。
ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ
こちらもナント周辺地区内にあるA.O.Cです。217ヘクタールの栽培地で、ムロン・ド・ブルゴーニュが好む石灰質を多く含んだ土壌を持っているため、造られるワインも高品質です。
このA.O.Cのミュスカデは花と果実の香りを持ち、ミネラルのニュアンスも含んでいます。酸味が強めの味わいで、魚介類のほか和食とも相性がいいと好評です。
全体的に熟成に耐えられるものが多く、4つのA.O.Cの中でも特に優れたワインが作り出されています。
ちなみにこのA.O.Cで造られるワインの内、シュール・リー法を使ったものは全体の45%にとどまっています。そのため、選ぶ際は「シュール・リー」の記載を確かめるといいでしょう。
ミュスカデ・デ・コート・ド・ラ・ロワール
ロワール川の北岸、ナント市の上流に位置するA.O.Cです。189ヘクタールとやや小規模で、耕作面積も4つのA.O.Cの中では最も小さく、生産量も先述したメーヌの20%程度にとどまっています。
このA.O.Cのミュスカデワインは硬質なアロマを持ち、マスカットのようなさわやかさの中に強めの酸味を持っているのが特徴です。
さらにこのA.O.Cのワインはビンテージつまり醸造年に影響を受けやすいと言われています。つまりその年の気候が涼しかったか温かったかでワインの味わいが大きく変わるのです。
涼しかった年は熟成が遅くなるため酸味が強くなりすぎてしまいますが、温かった年は酸味とフルーティなアロマの調和がとれた理想的なミュスカデワインが誕生します。
このことから、こちらのA.O.Cのワインを選ぶ時は、ビンテージを見るのがおすすめです。
ミュスカデ・デ・コート・ド・グランリュー
ロワール川の河口、ナント市南部に位置するA.O.Cです。約300ヘクタールの栽培地で、グランリュー湖のミクロクリマによる恩恵を受けている土地でもあります。ちなみにミクロクリマとは局所的な気候のことです。
このA.O.Cのミュスカデはフローラルなアロマを持ち、全体的にミネラル感が豊かな仕上がりになっています。
ミネラル感溢れる味わいが好きな人にはこのA.O.Cのワインがおすすめです。
価格で選ぶ
ミュスカデは全体的にリーズナブルです。少なくとも驚くような価格のものはほとんどなく、1,000円台から2,000円台で求められる品が多くなっています。全体的に、経済的なハードルは低い方です。
ただし、似たような価格帯のものが多いため、その分価格だけで決めることはやや困難かもしれません。希望する価格帯が決まったら、その上で各A.O.Cの特徴を考え、自分好みの味わいを持ったワインを選ぶといいでしょう。
ソムリエ厳選!ペイ・ナンテのおすすめ白ワイン10選
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日常使いにおすすめ!2,000円未満ベスト5
第5位
グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテ・シュール・リー
メーカー名 ドメーヌ・マルタン
魚料理と相性抜群!海の影響を色濃く受けたワイン
レモンを思い出す強い酸味の中に、塩気を持った貝類のような味わいを持ったワインです。
魚料理との相性がとてもよく、ドライな果実味を楽しめます。
第4位
ドメーヌ・マルタン・ミュスカデ・セーブル・エ・メール・シュール・リー・ヴィエイユ・ヴィーニュ
メーカー名 ワインズ東京
果実 % ミュスカデ100%
酸味とミネラルのバランスが絶妙なワイン
シトラスのような酸味と、塩気を含んだ厚いミネラル感を持ったワインです。
キレのある味わいと、全体を引き締める樽香を楽しむことができます。
第3位
ドメーヌ・シェロー・カレ・グロ・プラン・クロ・キャファン
味わい 辛口
原産国名 フランス
果実 % グロ・プラン100%
香りも味わいもすっきりさわやかなワイン
若々しい果実のさわやかな香りと、すっきりとした酸味の味わいが魅力的なワインです。
料理に合わせやすく、魚料理のほか白身のお肉とも合います。
第2位
ミュスカデ ド セーヴル エ メーヌ シュール リー ラングロワ シャトー
原産国名 フランス
果実 % ミュスカデ
キリっとした酸味と豊潤な果実感が魅力的なワイン
完熟したムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)から造られており、豊潤な果実感を楽しむことができます。
キリっとした酸味の中にほどよくミネラル分も含まれていて、生ガキとの相性は抜群です。
第1位
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー ラ・ルヴトゥリ
原産国名 フランス
メーカー名 オンラインワインストアWassy's
果実 % ミュスカデ
上品な酸が心地よい口当たりを演出!若々しい味わいのワイン
堂々の1位はムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)100%で造られたワインです。
若々しく果実味に富んだ味わいを持ち、口に含むとエレガントな酸を感じることができます。
ちなみにこのワインは2005年のパリ有機栽培ワインコンクールで金賞を受賞しており、その味わいは保証つきです。
2,000円以下!ペイ・ナンテの白ワイン比較表
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商品名 | ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー ラ・ルヴトゥリ | ミュスカデ ド セーヴル エ メーヌ シュール リー ラングロワ シャトー | ドメーヌ・シェロー・カレ・グロ・プラン・クロ・キャファン | ドメーヌ・マルタン・ミュスカデ・セーブル・エ・メール・シュール・リー・ヴィエイユ・ヴィーニュ | グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテ・シュール・リー |
詳細 | 味わい 辛口 原産国名 フランス メーカー名 オンラインワインストアWassy's 果実 % ミュスカデ | 味わい 辛口 原産国名 フランス 果実 % ミュスカデ | アルコール度数 11 % 味わい 辛口 原産国名 フランス 果実 % グロ・プラン100% | 原産国名 フランス メーカー名 ワインズ東京 果実 % ミュスカデ100% | 原産国名 フランス メーカー名 ドメーヌ・マルタン |
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特別な日に2,000円~5000円ベスト5
第5位
シャトー・ド・ラ・グラヴェーユ ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー
味わい 辛口
原産国名 フランス
果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ:100%
シトラスの香りと豊かなミネラルのニュアンスが魅力
シトラス系の香りと豊かなミネラルを楽しめるワインです。
日本酒のような柔和でエレガントなアロマがふくよかなうまみを演出しています。
第4位
シャトー・ド・ラ・グラヴェーユ ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー 2012
味わい 辛口
原産国名 フランス
果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ:100%
深いコクは飲み応え抜群!香りと風味が豊かなワイン
やわらかな酸味の中にメロンやバナナなど完熟した果実のニュアンスを持ったワインです。
豊富なミネラルを持っており、魚料理との親和性を高めています。
第3位
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー ル・フィエフ・デュ・ブライユ
原産国名 フランス
メーカー名 ドメーヌ・ランドロン
果実 % ミュスカデ
甘い香りとなめらかな果実味がおいしいワイン
洋ナシのニュアンスを含んだ甘い香りと、なめらかで豊潤な果実味の味わいを持ったワインです。
全体的にドライなイメージですが、かすかに甘味を感じられる整った仕上がりになっています。
第2位
ラ・グリフ・ベルナール・シェロー ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー
味わい 辛口
原産国名 フランス
メーカー名 メルシャン
果実味とコクが共存したさわやかなワイン
果実味が前面に出た味わいが特徴となっており、全体的にフレッシュな印象です。
コクを残しつつもさわやかな仕上がりになっており、飲み応えと飲みやすさが両立しています。
第1位
ドメーヌ・ド・ラ・セネシャリエール ニュイタージュ
原産国名 フランス
果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ100%
後味までさわやかなナチュラル風味のワイン
栄えある1位は、果実や花の複層的な香りを持つワインです。
とても自然で心地いい味わいを持ち、口に含むとアーモンドやアニスの風味が広がります。また、かすかな苦味とミネラル感がよいアクセントとなり、よりおいしさを引き立てます。
2,000円~5,000円!ペイ・ナンテの白ワイン比較表
商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
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商品名 | ドメーヌ・ド・ラ・セネシャリエール ニュイタージュ | ラ・グリフ・ベルナール・シェロー ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー | ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー ル・フィエフ・デュ・ブライユ | シャトー・ド・ラ・グラヴェーユ ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー 2012 | シャトー・ド・ラ・グラヴェーユ ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー |
詳細 | 味わい 辛口 原産国名 フランス 果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ100% | アルコール度数 12 % 味わい 辛口 原産国名 フランス メーカー名 メルシャン | 味わい 辛口 原産国名 フランス メーカー名 ドメーヌ・ランドロン 果実 % ミュスカデ | アルコール度数 12 % 味わい 辛口 原産国名 フランス 果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ:100% | アルコール度数 12 % 味わい 辛口 原産国名 フランス 果実 % ムロン・ド・ブルゴーニュ:100% |
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ペイ・ナンテのワインは日本人の舌と相性抜群
ペイ・ナンテが造り出すミュスカデは、日本酒にも似たすっきりとした口当たりを持ち、日本人の舌に合いやすい味わいを持っています。
また、和食を含む魚料理との相性がよく、日本人の舌や食生活にとてもマッチした特徴を持つミュスカデは活躍の場も広いのです。
たとえば魚料理と共にワインを楽しみたい時や、シンプルでさわやかな味わいが好みという人はミュスカデを試してみるといいかもしれません。
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