プーリアは、イタリアの中でもワイン生産量が1、2を争う銘醸地です。海に囲まれ、地中海性の恵まれた気候の中で伝統的に守られてきた固有品種が多く存在。カステル・デル・モンテに代表されるような、果実味豊かなワインが多く生産されています。
その多くは赤ワインで占められ、どれも高品質なのにリーズナブル。テーブルワインにも最適です。
そこで今回は、プーリアのワインの特徴や品種についてスポットをあててみました。おすすめのワインもご紹介。ぜひ参考にして、お気に入りの1本を見つけてください!
プーリアのワインの特徴
プーリアは、イタリアでもシチリアやヴェネトと並んでワインの生産量がトップクラス。その8割が赤ワインです。
プーリアには山岳地帯がほとんどなく、丘陵地帯と平野部が大部分を占める緩やかな地形です。土壌は主に粘土石灰と石灰質で保水性が高く、ブドウの栽培に適しています。
地中海性の気候で日照条件に恵まれ、一年を通して温暖な場所。広大で豊かな土壌と温暖な気候なので、イタリアでも有数の農業地帯として多くの作物を生産しています。
ブドウ栽培もその中のひとつとして盛んに行われ、イタリアではトップを争う生産量。もともと、瓶詰めされないブレンド用のバルクワインを大量に生産していました。
しかし、その需要が激減したことがきっかけで、ワイン造りは量から質へと転換。古くから栽培されている固有品種の個性に着目し、上質なワインが造られるようになりました。
プーリアのワインの産地について
プーリアはイタリアをブーツに例えるとカカトの部分。北はアドリア海、南はイオニア海に面し、830kmの長い海岸線があります。世界遺産に登録されたアルベロベッロがある州としても有名です。
生産地域は大きく北部と南部に分けられ、北部地域は丘陵地帯が多く、気温が低め。固有品種のウーヴァ・ディ・トロイアやボンビーノ・ビアンコを使ったワインが造られ、DOPに指定されているカステル・デル・モンテが有名です。
南部はほとんどが平野で、温暖な気候。プリミティーヴォやネグロ・アマーロから造られるワインが人気です。中でもプリミティーヴォ100%で造られるDOP指定のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアは、果実味が濃厚でアルコール度数の高い赤ワインで、日本でも人気を呼んでいます。
プーリアのワイン品種
プーリアで栽培されている品種で、代表的なものをご紹介しましょう。
赤ワインの品種
ネグロ・アマーロ
プーリアの固有品種です。ネグロ・アマーロは「黒くて苦い」という意味で、名前の通りほとんど黒に近いような濃い色調。カカオのようなほろ苦さのあるワインに仕上がります。
DOPサリーチェ・サレンティーノや、DOPコペルティーノなどの主要品種になり、果実味豊かでパワフルな味わいのワインが造られています。
プリミティーヴォ
古くからプーリアで栽培されていた品種で、19世紀初頭にアメリカ・カリフォルニアに渡り、ジンファンデルという名前で栽培されるようになりました。このふたつが同一品種であることは、DNA鑑定でも証明されています。
高温で雨の少ないプーリアの気候に適していて、イタリアでは一番多く栽培されている品種。
味わいはブドウの熟成度合いや産地などによって変わり、カリフォルニアのジンファンデルとは違った個性のワインが造られています。
温かい気候のプーリアで栽培されたプリミティーヴォからはブラックベリー、黒胡椒のような複雑な香りが感じられます。濃い色調でタンニン控えめ。まろやかでカシスやラズベリーの果実味があり、アルコールが高めのしっかりしたボディのワインに仕上がります。
長期熟成にも向いている品種で、熟成により重厚な味わいのワインが造られています。
白ワインの品種
フィアーノ
主にイタリア・カンパーニャ州で栽培されている品種です。
フィアーノで造られたワインはハチミツやナッツの香りが特徴的で、ほんのりとナツメグのようなスパイスのニュアンスも感じられます。
生き生きとしたバランスの良い味わいとテクスチャーがあり、口当たりが良く、女性やワイン初心者でも飲みやすいワインに仕上がります。
マルヴァジア
キャンティ地区を中心に、イタリア全土で栽培されている品種です。
日当たりのよい粘土質、石灰質土壌を好む品種で、プーリアはとても栽培に適しています。
丘陵部と平野部では異なるワインに仕上がる傾向があり、丘陵部ではアルコール度が高くアロマティックなワインに、平野部ではレモンなどの柑橘系のアロマでアルコール度の低い、飲みやすいワインになります。
プーリアのおすすめワイン
プーリアのワインで代表的なものをピックアップしました。
赤ワインはコレ!
プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 赤/ポッジョ・レ・ヴォルピ
11,231円 (税込)
コスパ抜群のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアです。
艶のあるルビーレッドの色合いで、陰干しブドウを思わせる甘く凝縮した香り。いきいきとしたタンニンがあり、滑らかな口当たりです。プリミティーヴォの力強さがうまく表現された、果実感溢れる上質な味わい。
リーズナブルなのに品質が高いと、リピーターが続出しているワインです。
コクのある、しっかりした味わいのワインが好きな人におすすめ。肉料理全般やイタリアンによく合います。鮮やかなブルーの葉のデザインが美しく、テーブルワインにすれば毎日の食卓が華やぐでしょう。プレゼントにもピッタリです。
白ワインはコレ!
レオーネ・デ・カストリス ロコロトンド ビアンコ
1,220円 (税込)
レオーネ・デ・カストリスは1665年創業の、プーリア最古のワイナリーです。ロコロトンドは世界遺産のアルベロベッロの近くにある町。1969年にDOCに認定されています。
町の周辺で生育する珍しい品種、ヴェルデーカとビアンコ・ダレッサーノをブレンドした辛口の白ワイン。
明るい麦わら色で、シトラスやパイナップルを思わせる香り。フレッシュで爽やかな味わいで、繊細な上品さを合わせ持ちます。
クセがなく飲み飽きない美味しさで、和食によく合います。日常使いのワインに、ぜひどうぞ。
プーリアのワインまとめ
プーリアのワインについて、ご紹介しました。
美味しくて品質も良いけどリーズナブル。プーリアのワインが愛される理由はそこにあります。
地中海の温暖な気候で育ったブドウで造られたワインは、どれも果実味豊か。プーリアで古くから育てられた固有品種の味わいを、ぜひ味わってみてください。
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